風量と静圧がわかればファンを選定できます。
メーカーのカタログなどに線図があるので、線図に風量と静圧を書き込めば選定できます。
ファンもいろいろ種類があるので、店舗などの設備工事でよく使用するものについて説明します。

シロッコファンを性能表から選定
風量と静圧の条件につては
風量:5350m3/h
静圧:480Pa とします。
今回は荏原製作所シロッコファンの性能表に風量と静圧をプロットして選定します。
機種は一般的な空調、換気用に使用するSRM4 を選びます。
番手については No.2 1/2 で検討
性能表に上記の風量と静圧をプロットすると以下のようになります。

風量と静圧の線が交わった点は2.2kwの範囲に入っているのでモーターは2.2kwとなります。
では、同じSRM4で番手が No.2 だったらどうなるでしょうか。
サイズが小さければコストダウンになるので検討してみます。
性能表に風量と静圧をプロットします。

風量5350m3/h 静圧467Paをとった点が選定エリアから外れていることがわかります。
この場合はNo.2での選定は不可であることを意味します。
コストダウンしたくてもファンの能力が出ない可能性があるのでNo.2はあきらめてNo.2 1/2 で選定することになります。
また、風量と静圧から求めた性能表上の点の位置はできるだけ性能表の中央付近になるように番手を選定します。
あまりにも上の方に点が来てしまった場合は例えばファンを設置した後に風量がやや足りなかったりすることがありますが、その時にモーターの能力を上げたりプーリーアップして回転数を上げたりしますが、それらの対応ができないことになります。
性能表上にプロットした点の位置が下の方によってしまう場合は能力を過剰にみている可能性が高いので番手をひとつ下げる検討が必要です。
ファンの種類はどのように使い分けているのか
・シロッコファン
シロッコファンについては、風量および静圧が大きくとれるので排気量が多めに必要となる場合に選定します。
厨房排気はシロッコファンの選定が多いです。
荏原製作所で言えばSRMや気体温度80℃まで対応可能なSRMOが選定されます。

・ストレートシロッコファン
ストレートシロッコファンは天井のふところ内に本体が納まるようにコンパクトな形をしています。

居室の一般換気で使用することが多いです。
かなり運転音が静かで最近の機種は40dBを下回るものもあります。
また、厨房用のストレートシロッコファンもあります。
風量は大きいもので10000m3/h程度まで対応できる機種があるので(風量大きい場合はシロッコファンの方が良いですが)必要に応じて選定することになります。
・天井扇
天井扇はマンションや事務所などの建築物で比較的風量が小さい居室やトイレの排気などで選定されます。

一台あたり風量が小さいもので50m3/h、大きいもので400m3/h程度までの対応となります。
風量と静圧ともに小さめの時に選定されます。
風量や用途で細かく品番が分かれていて、かなり多くのバリエーションが存在しています。
サニタリー用や事務所用など用途によって最適な天井扇を選定することができます。
・全熱交換器
ロスナイ(三菱電機商品の商品名ですが)と呼ばれる全熱交換器は事務所によく設置されます。

室内空気と室外空気の顕熱と潜熱ともに交換できます。
エンタルピー交換効率が75%の機種を採用すれば空調負荷計算の際に外気風量を75%減じて計算することができます。
・ラインファン
ラインファンについては給気用で設置することがあります。
得られる風量に対してファンの値段は安いと言えますが、運転時の騒音が問題視されることがあります。
LFMのNo.3で59〜56.5dBです。
過去の現場において何度か「音がうるさいからなんとかしてほしい」というクレームをいただいたことがあります。

消音型の機種もありますが消音部材の大きさが大きく納まりが悪くなるので、それならばストレートシロッコの方がコンパクトで納まりが良いため最近は給気ファンもストレートシロッコで選定してしまうことが多いです。
・ミニシロッコファン
ミニシロッコファンも騒音が比較的大きく過去現場でクレームをいただいたことがあります。

BF-21S4の吸込部分で63dBなのでかなりの騒音が出ます。
これもできれば居室の天井内設置は避けたいです。
過去に一度でもクレームをいただいてやむなく是正工事で交換という経験をしてしまうとなかなかその機種を同じシチュエーションで選定することはできませんが、騒音があまり関係のない場所では使用できるので臨機応変に選定してください。
最後は騒音のクレームの愚痴みたいになってしまいましたが、ファン選定の参考にしてみてください!