夏場に空調の吹出口やファサードのガラス面が結露したなど結露に関するクレームでのメンテナンス対応が以前よりも増えています。
近年は温暖化の影響なのか夏の気候がやや熱帯性に近くなっていることが原因かもしれません。
結露の問題にも種類があって、冬型結露と夏型結露があります。
この違いを知らないまま対策をたてようとすると方針を間違う可能性もあるので注意が必要です。
今回は冬型結露と夏型結露の違いなどについて説明していきます。
結露が起きる原因は?
夏型と冬型の結露の違いの話の前に、まず結露が起きた状況のイメージと結露が起きる原因について。
冬場に朝起きたときに外部に面したガラス窓面いっぱいに水滴がついているのを見たことがあると思います。
触ってみると、部屋内側の面に水滴がついていることがわかります。
例えば外気温度が1℃でガラス面も同様に1℃だったとします。
室内温度が16℃相対湿度45%だった場合、空気に含まれる水蒸気が液体の状態の水となる露点温度は4℃程度です。
つまり、ガラス面が1℃だった場合露点温度を3℃下回っているので、そこに16℃45%の空気が触れると結露が発生します。
ちなみにこれは表面結露といいます。
この表面結露はカーテンをしてもそれを防ぐ効果はありません。
カーテンが、湿った暖かい空気を遮断することはできないからです。
窓面とカーテン間に空気が停滞するため結露が余計にひどくなる可能性すらあります。

水蒸気を含んだ空気が露点温度以下のもの、ガラスかもしれないしコンクリートかもしれません、そういうものに触れると結露します。
上空で湿ったあたたかい空気と冷たい空気が接触しても結露は発生して、その結露水は雨となって地上に降り注ぎます。
冬型結露で大きな問題となる内部結露
冬型結露で問題となることが多いのが内部結露(壁の内部で発生する結露)です。
外壁側から見ても部屋内から見ても進行していることがわかりにくいのですが気づいたときに木造建築においては腐朽がかなり進行していた場合に、その構造自体が破壊されてしまう重大な事故となり過失責任を問われる可能性があるので注意が必要です。
内部結露は条件によっては夏にも起きる可能性はあります。
ただし冬場とは違う箇所で起きます。
図を示しながら説明します。

メーカーによって仕様の違いはありますが木造住宅などの壁はおおよそ上記のようになっています。
夏場、冬場とも屋外と屋内の温度差があり温度分布と露点温度分布を上と下に折線グラフのようなイメージで示しています。
注目するところは露点温度分布との比較において、壁内で露点温度よりも低くなる部分が存在し得ることです。
夏場は室内側の防水シート付近、冬場は室外側の透湿防水シート付近です。
夏場の内部結露は冷房を強くかけていると起きているかもしれませんが問題にあがるのは冬場の内部結露が多いです。
いやいや、防水シートがあるのだから水蒸気を含んだ空気が断熱材の内部まで入り込まないようになっているのでは?しっかり施工していれば結露しないのでは?と思った方もいるかもしれません。
するどい指摘です、理論上は水蒸気を含んだ空気が断熱材の方まで入り込まないということになっていますが現実はそんなに甘くはなく、シートを固定するために打ったビスの穴やシートの隅の隙間などから入り込んでいます。
この問題をどう解決するかは断熱材を何にするか、どのように施工するかという材料と施工法でよりよい解決にたどり着くことができるかもしれません。
ネットでいろいろ見た感じでは「FPの家」という会社の住宅用ウレタンパネルという製品と工法が理想に近い断熱工法となっています。
FPの家のHP をぜひチェックしてみてください。
FPの家のような高圧高密度で注入した硬質ウレタンを四方枠と透湿防水シートで囲ったパネル状の材料を柱間にピッタリはめ込んでいく工法であれば湿気が断熱材の内部や壁の内部にまわることはほとんどないだろうなと感じます。
私自身は内装工事がメインで外壁などには詳しくないので他にもすばらしい材料、工法をご存知の方は教えていただけるとありがたいです。
次にRC造(鉄筋コンクリート造)の場合について、下図のようなイメージとなります。

冬場にコンクリートとウレタン断熱材の接触した面で結露の可能性はありますが現場でコンクリートに直接吹付けるウレタンで、コンクリートと密着しているため水蒸気を含んだ空気が入り込む余地があまりないように見えますが北面の壁内部でカビが生えるなどの事例はあります。
夏場の温度分布の例は結露がおきない場合の例を描きましたが、西面の壁において夕方16:00頃から壁面に対して垂直に日射が射した場合に時間差はありますが壁自体が高温になります。
この場合、室内側が強く冷房されているとプラスターボードの壁内側で結露が発生してボードが水分を含んだ状態になりカビが生えたりする可能性はあります。
空気線図で見る結露のイメージ
空気線図で結露が起きる時にどのような状態をたどるか冷房時の空気の状態変化をたどりながら確認しておきます。
青い線が冷房時の空気の状態ですが、まず例えば夏場において30℃60%の状態の点をとります。
その点から左へまっすぐ線を引いていき相対湿度100%の線とぶつかります。
そのぶつかった点から真っ直ぐ下へ線を引っ張って温度の目盛りに当たります。
そこの温度を読み取れば露点温度となります、おおよそ26℃であることがわかります。

冷房の温度設定が24℃だった場合さらに空気の温度が下がっていきますが湿度は100%のまま、露点温度に達して水蒸気から水分へ変化した結露水が連続して発生します。
この結露水は空調機のドレン管から排水されます。
ついでに暖房時の状態変化もみていくと15℃50%の空気を23℃まで暖めると相対湿度は32%まで下がります。
ビル管理法でも相対湿度は40%以上とすることが記載されており32%では乾燥し過ぎていることになります。
冬の場合は温度を上げるのと同時に加湿をしなければ良い環境にならないということがわかります。
今回はここまでにして、次回以降で店舗の内装工事でよく問題が発生する夏型の結露について考察していきます!