ウイルス感染ルートと感染対策としての設備について〜その1〜

以前、排水設備についてSARSの感染ルートも絡めた話として記事に書きました排水設備の機能について〜SARSはトイレから〜 。

これは「感染症の世界史」という本に数ページ書いてある内容と自分自身の仮説をもとに書きました。

というのは、香港の高層マンションでSARSの集団感染が発生した話についてはその情報をネットで調べて補足すればよいと考えていたのですが調べてもこの話題がまったく出てこなかったのです。

あきらめて、自分の仮説、まあ、いわば妄想で補足しながら記事を無理矢理書いたので、いつもの駄文にさらに輪をかけてショボい文章になってしまったわけですが。

最近、空調衛生学会誌の切り抜きを先輩からいただいたら、そこに、この香港高層マンションのSARSの話題が書いてあり、目を皿のようにして読んだわけです。

丸岡ジョーさんによるphoto AC よりの写真

SARSはふん口感染していた

香港のアモイガーデンという高層マンションで2003年に集団感染が発生しました。

SARSウィルス(SARS-CoV)が排水管内から浴室の破封したUトラップを経由し換気扇を通じてライトコートへ排出され給気とともに各戸へ侵入して感染拡大していきました。

空調衛生学会誌 第95巻 第6号 に掲載の「トイレ空間におけるCOVID-19の感染リスクと防止に向けた研究動向と課題」(関東学院大学 大塚雅之)より資料をそのまま添付します。

図を見るとウイルスがどのように拡散したかよくわかります。

これは、ふん口感染と呼ばれるもので排泄物中に含まれるウイルスの一部が直接、あるいは手指を経由して体内へ取り込まれる感染ルートになります。

2020年2月、ダイヤモンドプリンセス号の船内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の集団感染が起きた際に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のRNAが船内の各部所から検出されました。

浴室内トイレ床 13室 (39%)

枕 11室(34%)

電話機 8室(24%)

机  8室(24%)

上記のように浴室トイレ内での検出頻度が高い結果となっています( 空調衛生学会誌 第95巻 第6号 より)。

大便器洗浄をする際の洗浄水の飛沫による汚染も指摘されています。

洗浄水は便器から20cm以上の高さまで飛沫が飛びます

でも、コロナウイルスって感染者の肺炎による飛沫感染や空気感染によるものではなかったの?という疑問を持たれた方もいると思います。

コロナの受容体ACE2は腸内にもっとも多く存在する

ここからの話は井上正康教授(大阪市立大学名誉教授)の「新型コロナが本当にこわくなくなる本」などを参考にして進めていきます。

新型コロナウイルスは体内の受容体によって細胞内へ取り込まれることにより感染に至ります。

この受容体はそれぞれのウイルスによって異なります。

インフルエンザウイルスの受容体は気管支粘膜や肺胞細胞の表面に多く存在するシアル酸という糖タンパク質です。

インフルエンザは気管支や肺胞の内側から感染することで肺炎を誘発します。

では、新型コロナウイルスの受容体は何か。

アンギオテンシン変換酵素(ACE2)という酵素タンパク質です。

このACE2は人体中の小腸や大腸に最も多く存在します。

以下に示したACE2受容体の相対的組織濃度のグラフで組織濃度の比較を確認できます。

井上正康教授の講演資料より

新型コロナウイルスは、体内の腸からACE2受容体によって血管内表面の細胞内に取り込まれてそこでRNA遺伝子コピーを増産します。

さらに新たなスパイクタンパクと細胞膜をまとったコロナウイルスが細胞外へ飛び出します。

この時に血管壁の細胞を傷つけるためにその障害部位を覆うために血液が凝固して血栓が生じます。

その血栓は血液に乗って門脈を通って肝臓へ至ります。

血栓は肝臓で処理されますが、すり抜けるものもあります。

そのすり抜けた血栓が肺に集まり肺の血管に詰まります。

この状態で肺のCTを撮影するとスリガラス状の影が写りますが、肺の予備機能が大きいため息苦しさは感じずに無症状で経過します。

インフルエンザでもこのスリガラス状の影が観察されますが、この場合は肺組織での強い炎症反応が原因なので大半は高熱や息苦しさで大変な思いをされます。

もちろん新型コロナでも重症化しサイトカインストームと言われる状態になれば血栓が多くなり肺の血管に詰まるため呼吸が苦しくなってICUの人工呼吸器で酸素を取り込む処置が必要になります。

さらに、肺の血管が血栓で塞がれているため人工呼吸器でも効果が得られず、ECMOにより体外循環によるガス交換が必要になることもあります。

同じ肺炎でもそれに至るプロセスはインフルエンザと新型コロナでは違うということがわかります。

感染者の咳などによる飛沫感染や空気感染のイメージが強いですが、それはインフルエンザのイメージを引き継いでいるものであり新型コロナウイルスはトイレからの感染もかなり発生している可能性を考慮する必要があります。

感染対策として考えられること

新型コロナは小腸や大腸から感染が始まるのでウイルスは便と一緒に体外へ排泄されます。

つまり、トイレでの暴露も重要な感染ルートになっているということです。

すると、香港のアモイガーデンでの集団感染が排水設備の不備が原因だったこともダイヤモンドプリンセス号で浴室トイレ内におけるウイルスの検出頻度が高かったことも辻褄が合ってきます。

井上正康教授は手洗いうがいなどの対策に加えてトイレをこまめに消毒・洗浄することも対策のひとつに加えることをご自身の著書などで述べています。

感染対策となり得る設備についてですが、最新のPanasonicアラウーノ大便器には便座の蓋を閉じてから洗浄する機能が追加されています。

画像クリックでPanasonicのページにリンクします
画像クリックでPanasonicのにリCM動画にリンクします

この便器であれば洗浄水の飛沫による汚染は抑えることができます。

洗浄後に便蓋の消毒も忘れずに行っていただきたいです。

このような商品をおすすめすることがお客様の安心につながるのであれば積極的におすすすめするべきです。

もちろん、トイレ内の消毒・清掃についてもこまめに実施していただくことも説明に付け加えておすすめするとよりよい感染対策になるはずです。

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