カテゴリー別アーカイブ: 建築設備

建築設備に関する専門技術的なことから一般ユーザーのためになる情報まで

結露対策〜2〜天井内ダクトの結露について

ここ数年間、夏になると結露のメンテナンスで声がかかることが多くなった気がします。

温暖化で日本の気候が熱帯のそれに近くなっているからかもしれません。

また、建築や設備の施工業者への要求のレベルも何年か前より上がっているのではないかとも思っていて、期待値が上がるのはよいのですが施工業者としてはなかなか全てにうまく対応できていないのが現実です。

ファサードのガラス面が結露してますと言われても、では空調機の温度設定を弱めにしてくださいとお願いしたり、解決方法というより対症療法のような提案しかできない場面もありますが、お客様の要望を聞きながらなんとか対応しています。

夏場の結露対策について考えてみます。

oldtakasu さんによるPhotoAC よりの画像

天井内でダクトが結露する

天井面のボードが湿っていてカビが発生している、というクレームや空調の吹出口周りが異常に濡れていて水がしたたってくるなどのクレームで現場に確認に行き、天井内をのぞいてみたらSAダクト(空調のダクト、冷房時は低温の空気が通る)の結露が確認されることがあります。

経験の話になりますが、原因はいくつかあります。

・断熱の施工不良

そもそもSAダクトなのに断熱が施されていないということもありますが、これはあり得ないことなので自社で施工した物件の場合はただちに是正工事&平謝り、そして始末書提出ですね‥。

そもそも断熱していないパターンはあまり見かけません(極々まれにありますが…私が過去に発見したのは他社で施工した物件でした、ここでは詳しくふれるのは避けます!)。

また、断熱してあるものの断熱材がダクトやBOX類に密着しておらず隙間があるため断熱効果がなく結露するパターンは何度か発見しています。

この場合も施工不良として速やかに是正工事を実施して断熱工事のやり直しをします。

外気が入り込むなど天井内が高温多湿の状態となっている

最近はあまり見かけなくなってきましたがコストダウンのために給気ダクトを省くため生外気を天井内に取り込んで天井に取付けた空(から)器具から店内へ給気する方法で施工している場合があります。

この施工だと、それこそ夏場に気温31℃相対湿度70%などの状態の空気を天井内へそのまま取り込むことになります。

31℃70%の状態の空気の露点温度は24.9℃です。

SAダクトを通る気体の温度は10℃台などとなるので断熱材があっても断熱材の表面で24.9℃以下となる場合があり断熱材の表面で結露が見られることがあります。

写真のように天井内の温度と湿度が高いとSAダクトに断熱材の付きのフレキシブルダクトを使用していても表面で結露してしまう場合があります

排気のEAダクトでも結露する場合がある

ここ数年で何回か確認しましたが、EAダクトが結露してその経路の下に水滴が落ちて天井面にカビが発生したなどのクレームがありました。

ただの固定観念でしかなかったのですが、EAダクトが結露することはないと思っていたので最初に確認した時は少しショックを受けました。

それだけ天井内とEAダクト内に通る空気、つまり室内の空気の温度と湿度の差があるということになります。

例えば、折板屋根の物件の場合は天井内がよく高温になって空調機本体が結露して空調機周りの天井がカビてしまうなどの話はありますがEAダクトが結露して水滴がしたたる話はここ数年で聞く回数が多くなりました。

EAダクトというのは室内の温度と同じで天井内もそこまで室内のとの環境の違いがない想定で断熱材は基本的に巻きません。

しかし現実は天井内の環境が思っているより高温多湿になる日が夏場に存在しているということです。

これを発見した現場ではEAダクトにも断熱材を巻く提案をしました。

また、天井内に西日が射しこむ現場がありましたがやはり天井内が異常に高温となってしまい天井内のダクトや冷媒配管との温度差が大きくなり過ぎて結露しまくる事例もありました。

天井内がおそらくですが40℃は超えていたと思われます。

その場合何が起こるかというと、高温になった時に店内などからの湿気を高温になった天井内の空気が蓄えてしまうということです。

店内など他の場所の湿気を天井内の空気がスポンジのように吸い取るイメージです。

このため夜になって温度が下がると天井内の湿度は異様に高くなります。

測定値で相対湿度94%が記録された日もありこの場合SAダクトの断熱材の表面やEAダクトの表面が全体的に結論するという事態になります。

天井内が高温多湿の場合EAダクトでも結露が発生してしまいます

天井内の環境を高温多湿にしないためには断熱と遮熱をしっかりする

上記の現場ではとにかく西日の射しこみを防ぐために天井内にあった西側の窓面全てにグラスウール保温板+アルミシートで断熱し、天井内ダクトの断熱の補強をした結果改善はしました。

天井内を高温多湿にしないために除湿器を設置するなどの方法も考えられますが、やはり断熱と遮熱をしっかりするのが基本です。

折板屋根の場合は屋上に遮熱塗装などで日射の影響を抑えて、室内側にはウレタン吹付けなどによる断熱をするべきです。

予算がないのか5mm程度のペフシートしか貼っていない現場をかなり見かけるのですが屋根面に遮熱塗装などなんらかの対策がない場合、それだけでは夏場の天井内が異常な高温になります。

サーモセンサー付きの天井内用の排気ファンを設置すれば緩和される可能性もありますが、結局外気を天井内に取り込むことになるのでやはり基本は建築工事でしっかり断熱と遮熱の対策をしておくことこが基本です。

冷媒管が結露するときの話も書きたかったのですが長くなったので次回にしたいと思います!

結露対策〜1〜冬型結露と夏型結露の違い

夏場に空調の吹出口やファサードのガラス面が結露したなど結露に関するクレームでのメンテナンス対応が以前よりも増えています。

近年は温暖化の影響なのか夏の気候がやや熱帯性に近くなっていることが原因かもしれません。

結露の問題にも種類があって、冬型結露と夏型結露があります。

この違いを知らないまま対策をたてようとすると方針を間違う可能性もあるので注意が必要です。

今回は冬型結露と夏型結露の違いなどについて説明していきます。

胡麻油さんによるPhotoAC からの画像

結露が起きる原因は?

夏型と冬型の結露の違いの話の前に、まず結露が起きた状況のイメージと結露が起きる原因について。

冬場に朝起きたときに外部に面したガラス窓面いっぱいに水滴がついているのを見たことがあると思います。

触ってみると、部屋内側の面に水滴がついていることがわかります。

例えば外気温度が1℃でガラス面も同様に1℃だったとします。

室内温度が16℃相対湿度45%だった場合、空気に含まれる水蒸気が液体の状態の水となる露点温度は4℃程度です。

つまり、ガラス面が1℃だった場合露点温度を3℃下回っているので、そこに16℃45%の空気が触れると結露が発生します。

ちなみにこれは表面結露といいます。

この表面結露はカーテンをしてもそれを防ぐ効果はありません。

カーテンが、湿った暖かい空気を遮断することはできないからです。

窓面とカーテン間に空気が停滞するため結露が余計にひどくなる可能性すらあります。

水蒸気を含んだ空気が露点温度以下のもの、ガラスかもしれないしコンクリートかもしれません、そういうものに触れると結露します。

上空で湿ったあたたかい空気と冷たい空気が接触しても結露は発生して、その結露水は雨となって地上に降り注ぎます。

冬型結露で大きな問題となる内部結露

冬型結露で問題となることが多いのが内部結露(壁の内部で発生する結露)です。

外壁側から見ても部屋内から見ても進行していることがわかりにくいのですが気づいたときに木造建築においては腐朽がかなり進行していた場合に、その構造自体が破壊されてしまう重大な事故となり過失責任を問われる可能性があるので注意が必要です。

内部結露は条件によっては夏にも起きる可能性はあります。

ただし冬場とは違う箇所で起きます。

図を示しながら説明します。

メーカーによって仕様の違いはありますが木造住宅などの壁はおおよそ上記のようになっています。

夏場、冬場とも屋外と屋内の温度差があり温度分布と露点温度分布を上と下に折線グラフのようなイメージで示しています。

注目するところは露点温度分布との比較において、壁内で露点温度よりも低くなる部分が存在し得ることです。

夏場は室内側の防水シート付近、冬場は室外側の透湿防水シート付近です。

夏場の内部結露は冷房を強くかけていると起きているかもしれませんが問題にあがるのは冬場の内部結露が多いです。

いやいや、防水シートがあるのだから水蒸気を含んだ空気が断熱材の内部まで入り込まないようになっているのでは?しっかり施工していれば結露しないのでは?と思った方もいるかもしれません。

するどい指摘です、理論上は水蒸気を含んだ空気が断熱材の方まで入り込まないということになっていますが現実はそんなに甘くはなく、シートを固定するために打ったビスの穴やシートの隅の隙間などから入り込んでいます。

この問題をどう解決するかは断熱材を何にするか、どのように施工するかという材料と施工法でよりよい解決にたどり着くことができるかもしれません。

ネットでいろいろ見た感じでは「FPの家」という会社の住宅用ウレタンパネルという製品と工法が理想に近い断熱工法となっています。

FPの家のHP をぜひチェックしてみてください。

FPの家のような高圧高密度で注入した硬質ウレタンを四方枠と透湿防水シートで囲ったパネル状の材料を柱間にピッタリはめ込んでいく工法であれば湿気が断熱材の内部や壁の内部にまわることはほとんどないだろうなと感じます。

私自身は内装工事がメインで外壁などには詳しくないので他にもすばらしい材料、工法をご存知の方は教えていただけるとありがたいです。

次にRC造(鉄筋コンクリート造)の場合について、下図のようなイメージとなります。

冬場にコンクリートとウレタン断熱材の接触した面で結露の可能性はありますが現場でコンクリートに直接吹付けるウレタンで、コンクリートと密着しているため水蒸気を含んだ空気が入り込む余地があまりないように見えますが北面の壁内部でカビが生えるなどの事例はあります。

夏場の温度分布の例は結露がおきない場合の例を描きましたが、西面の壁において夕方16:00頃から壁面に対して垂直に日射が射した場合に時間差はありますが壁自体が高温になります。

この場合、室内側が強く冷房されているとプラスターボードの壁内側で結露が発生してボードが水分を含んだ状態になりカビが生えたりする可能性はあります。

空気線図で見る結露のイメージ

空気線図で結露が起きる時にどのような状態をたどるか冷房時の空気の状態変化をたどりながら確認しておきます。

青い線が冷房時の空気の状態ですが、まず例えば夏場において30℃60%の状態の点をとります。

その点から左へまっすぐ線を引いていき相対湿度100%の線とぶつかります。

そのぶつかった点から真っ直ぐ下へ線を引っ張って温度の目盛りに当たります。

そこの温度を読み取れば露点温度となります、おおよそ26℃であることがわかります。

冷房の温度設定が24℃だった場合さらに空気の温度が下がっていきますが湿度は100%のまま、露点温度に達して水蒸気から水分へ変化した結露水が連続して発生します。

この結露水は空調機のドレン管から排水されます。

ついでに暖房時の状態変化もみていくと15℃50%の空気を23℃まで暖めると相対湿度は32%まで下がります。

ビル管理法でも相対湿度は40%以上とすることが記載されており32%では乾燥し過ぎていることになります。

冬の場合は温度を上げるのと同時に加湿をしなければ良い環境にならないということがわかります。

今回はここまでにして、次回以降で店舗の内装工事でよく問題が発生する夏型の結露について考察していきます!

高置水槽のサイズ選定

前回は受水槽のサイズについて話しましたが、今回は高置水槽についてです。

高置水槽のサイズや水槽に水を送る揚水ポンプの揚程についても検討してみます。

筆者撮影

高置水槽の有効容量

揚水ポンプと高置水槽の有効容量のは次式の関係があります。


Ve≧(Qp-Qpu)・T1+Qpu・T2

Ve:高置水槽の有効容量[L]

Qp:ピーク時予想給水量 [L/min]

Qpu:揚水ポンプの揚水量[L/min]

T1:ピークの継続時間[min]15~30分

T2:揚水ポンプの最短運転時間[min]


一般に高置水槽容量Veは時間平均給水量の1時間分としています。

下の図のように、高置水槽の低水位部分は (Qp-Qpu)・T1 

なのでピーク時に水槽が空にならないような考え方となっています。

また、低水位から高水位の間の水量は電極によるポンプの発停の間に揚水ポンプで汲み上げる水量を意味します。

揚水ポンプの揚程

揚水ポンプの揚程は次式となります。


H≧H1+H2+V2/2g

H:揚水ポンプの揚程[m]

H1:揚水ポンプの吸水面から揚水管頂部までの実高さ

H2:揚水管路における継手部などの摩擦損失水頭[m]

V2/2g:揚水管の吐き出し口における速度水頭[m]

g:重力加速[m/S2]


実際に数値を入れて計算してみます。

1日の水使用量120m3=120000L/日で使用時間9時間、ピークの継続時間は30分、揚水ポンプの最短運転継続時間は15分とします。

時間最大予想流量を時間平均流量の2倍として

120000/9 × 2=26600[L/h] 

時間最大予想流量=揚水ポンプの揚水量として

Qpu=26600[L/h]=443.5[L/min]

ピーク時予想給水量Qpは時間最大予想流量を時間平均流量の3倍として

Qp=120000/9 × 3=39900[L/h]=665[L/min]

このとき高置水槽容量Veを求めるには

Ve≧(Qp-Qpu)・T1+Qpu・T2 に上記の数値を代入していきます。

Ve≧(665-443.5)×30+443.5×15=13298[L]=13.3[m3]

また、受水槽から高置水槽までの高さを50m、管路の長さを60m摩擦損失は配管長の2倍と仮定して、配管内流速1.5m/s 単位当たり摩擦損失0.34kPa/mの場合の揚水ポンプの揚程Hを計算すると

H≧H1+H2+V2/2g より

H≧50+60×0.34×2/9.8+1.5×1.5×/(2×9.8)=54.2[m]

※V2/2g の速度水頭部分は省略しても差支えはありません。

 

最近は高置水槽で計画する案件は少ない

私の知る限りでは、高置水槽で計画する新規案件はあまりないという印象です。

小規模から中規模の建築物の場合、まず検討されるのは増圧ポンプです。

増圧ポンプを設置するのがコスト面においても施工的にもメリットがあります。

わざわざ受水槽室を計画する必要もなければ、受水槽清掃などのわずらわしいメンテナンスもなくなります。

階段の下のスペースや外部の隣地との隙間などに増圧ポンプは設置できてしまうので計画の幅が広がります。

ある程度大きいマンションなどは地下ピット内に受水槽を設置してそこから加圧ポンプで直送するという方法が多いのではないでしょうか。

私の場合、店舗工事がメインであまり規模の大きい建築に関わっていないためそのあたりの事情はもっとわかる方がいると思いますので別途、確認していただければと思います!

受水槽のサイズ選定

受水槽方式の場合に受水槽のサイズをどのように考えて選定すればよいのか。

建築物の規模が大きくなれば受水槽も大きくなるであろうことはわかりますが何を基準に選定すればよかいのか、どのような計算に基づき選定するのか説明します。

筆者撮影

受水槽の容量を計算

受水槽の容量Vsは使用時間から考えたときに以下の計算式により考えます。


Vs ≧ Vd – Qs・T ‥①

Vs :受水槽の有効容量[m3]

Vd:一日の使用水量[m3/日]

Qs:水源からの給水能力[m3/h]

T:1日の平均水使用時間[h]


また、水の使用時間帯意外の時間帯に受水槽を満水にする必要があるため次式も満たすようにします。


Qs ・(24-T) Vs ‥②


実際に数値を代入しての計算例を示します。

事務所で Vd:一日の使用水量120[m3/日]

Qs:水源からの給水能力127[L/min]

T:1日の平均水使用時間9[h]

の場合を計算します。

まず給水能力Qsの単位を直しておきます。

Qs=127[L/min]=0.127×60 [m3/h] =7.62 [m3/h]

以上の数値を①の式に代入していきます。

Vs ≧ Vd – Qs・T= 120-7.62×9=51.4 [m3]

次に②の式も確認しておきます。

Qs ・(24-T) Vs ‥②

7.62×(24-9)=114.3 [m3]

よって受水槽容量は51.4[m3]以上 114.3[m3]以下 で選定します。

受水槽の容量の目安は一日使用水量の半分程度となるので

60[m3] で決定します。

半分程度なので70[m3]などでもよいですが、とりあえずジャスト半分ということで。

1日の使用水量について

受水槽の容量については各自治体や水道事業所によって規定があるので必ず各地域の水道局などへ確認する必要があります。

各自治体で規定はそれぞれですが、よく見かけるのは1日の使用水量の4/10~6/10の範囲で計算する規定です。

1日の使用水量については下記の資料などを参考に求めてください。

給排水衛生設備計画設計の実務の知識の資料を参考に筆者作成

水同局の担当者とはよく打合せをする必要があります

類似の既存施設や既存店舗の過去の給水使用量のデータを参考にすれば、もっともその現場に合致した選定ができるはずであるし受水槽サイズを小さくしたいときなど、水道局との交渉にそのような資料を持っていくと話がまとまりやすいです。

ただし、水道局によって考え方がだいぶ異なるためその水道局独自の規定に従ってくださいの一点張りの場合もありますので気をつけてください。

既存店舗の使用量の資料を持って、受水槽の容量を抑えたい要望を水道局に相談した場合に8割〜9割は柔軟な対応をしてくれます。

受水槽のサイズダウンが可能な場合もありますが、やはりその水道局の規定にどうしても従ってほしい、ということも当然あります。

その場合は、交渉を長引かせても意味がないので妥協できるところで妥協するしかありません。

そんなに水の量は使わないのにな、と思いつつかなり大きい受水槽を設置した例は過去にも何回かありました。

本来、受水槽の容量が大きすぎると水槽内の残留塩素濃度が減少し雑菌繁殖の原因となるため好ましくはありません。

類似既存店の過去データという、もっとも信頼に値するデータを無視して規定に従わせる水道局の判断が正しいのか疑問は残ります。

ただ、「この地域の他の店舗もこの規定に従っていますので平等性を考慮すると特例を認めるわけにはいきません」という話にも一理あるため、なかなかゴリ押しはできません。

まあ、仕事が滞ることは問題なのでそのときの状況を見ながらうまくやるしかないです!

一酸化炭素中毒は死に直結する〜給湯器の設置について〜

室内に給湯器を設置して排気筒により排気する場合やダクト対応型の排気ダクト内に燃焼後の汚染された空気を排気する方法の給湯器を設置する場合は特定ガス工事監督者の資格を持つ者が施工を指導しなければいけない決まりになっています。

給湯器の設置工事は取り扱いを間違えると一酸化炭素中毒により最悪は死亡事故につながる可能性もあるほどのリスクを伴うものです。

fotoblend さんによるpixabay よりの画像

過去におきた重大事故例

平成5年5月、山梨のリゾートマンションで密閉式の暖房機能付瞬間湯沸器の機器のみを交換して排気筒の健全性を確認せずに再利用したことが原因で7名の死亡と中毒者2名となる事故が発生しています。

ガス消費機器設置工事監督者 再講習テキスト より

既存の排気管は20年以上使用されていたもので腐食によって穴が空いていたことに加えて給排気トップの金網が破れて、そこから鳥が入り込み排気管内部に巣が作らてれている状態でした。

また、機器交換時に排気管と機器接続部のサイズが合わずガムテープで隙間を塞ぐという杜撰な施工がなされていました。

鳥の巣が障害になり排気が正常に排出されない状態のまま運転し続けたことにより一酸化炭素が発生し、排気管の穴などの隙間から天井内を経由して居室へ流れ出ました。

一酸化炭素を吸い込んだ結果、居室にいた7名が死亡、2名が中毒となる重大な事故に至っています。

事故から考えられる対策としては

・機器交換時に排気管の確認を行い、新設する機器と合うものか確認する。

・天井裏の排気管に異常がないか確認する、目視できない場合は内視鏡などで確認する。

・排気管については容易に外れないよう抜け防止の処置が講じられていること、気密保持の処置が講じられていることを確認する。

以上になります。

正直、この事例を見た時に私が思ったのは20年以上使用された排気管の再利用を安易にしてはいけないということです。

現場確認をよくした上で排気管の再利用でなく新規に交換する機器に合わせて排気管も更新する判断をすべきでした。

気を抜くとこのような判断をしてしまう可能性はゼロではないので、自分自身も現場調査は丹念に行い安易な判断に繋がらないように心がけたいです。

CO濃度と吸入時間および体に現れる症状について

一酸化炭素、COの比重は0.967で無色無臭なので空気中に拡散しても気づきにくいですが、発生時にアルデヒド等の刺激物も発生するのでその異臭はします。

COは血中の酸素を運搬するヘモグロビンと結びつきやすい性質がありますが、酸素よりも200から300倍も結合力が強いため微量でもCOを吸込むと酸素の運搬能力は著しく低下します。

ガス機器の使用中に頭痛や脱力感、または目が痛くなったり異臭を感じた場合はすぐにそのガス器具の使用を中止して窓を開けるなどして換気をしてください。

CO濃度によって中毒症状は大きく違います。

以下にCO濃度と中毒症例についてに資料を添付します。

CO濃度と吸入時間による一酸化炭素中毒症例  ガス消費機器設置工事監督者 再講習テキスト より

ガス消費機器設置工事監督者は排気筒の確実な施工を実施することが重要

特定ガス消費機器工事の監督に関する法律は、特定ガス消費機器の設置工事の欠陥に関わる災害を防止するために工事事業者の工事の監督に関する義務等を定めたものです。

特に排気筒の確実な施工は重要なものなので強制給排気型や強制排気型、フード対応型の給湯器を設置するなどの特定工事を特定工事業者が施工した場合には表示を付すことが第6条に規定されています。

いわゆる特監シール これを給湯器などに添付します

FF(強制給排気型) および FE(強制排気型)の場合の表示ラベル貼付位置の例を下に示します。

フード対応型の場合の表示ラベル貼付位置の例を下に示します。

最近の給湯器はセンサーで汚染物質を感知して自動で運転停止するなど性能が向上してることもあり事故は減少傾向です。

しかし過去の事故事例から死亡者が発生している事例もあり、このような痛ましい事故を起こさないために排気筒などが確実に施工されているか確認することは大事なことです。

ちなみにこのシールを貼ることができるのはガス消費機器設置工事監督者の資格者となります。

講習のみで資格はもらえるので必要があればお金はかかりますが講習を受けて資格をとりましょう!

給水方式について

建築物への給水の仕方について、その建築物の規模や用途などで違った方式が採用されます。

今回は、給水方式にはどのような方式があって、どのような特徴があるのか説明していきます。

kscz58ynk さんによるphotoAC よりの画像

給水方式の分類

給水本管から配管を分岐して受水槽を経由しないで直接的に給水する方式を水道直結方式といいます。

水道直結直圧方式 と 水道直結増圧方式があります。

建築物内に受水槽を設けて給水する方式を受水槽方式といいます。

高置水槽方式 ポンプ直送方式 圧力水槽方式

がありますが、圧力水槽方式については新規の採用がないため説明を省きます。

水道直結方式は衛生的

・水道直結直圧方式

水道本管から直接、建築物内へ給水を引き込む方式で2F建てまでの建築物に限定されていましたが、最近は高圧配水システムを採用してる水道事業所において4~5Fまで供給できるようになっています。

受水槽を設けないので水が滞留する時間がなく衛生的であることがメリットですが、水道本管が断水した場合は直ちに断水することがデメリットとなります。

・水道直結増圧方式

給水本管から直結の形ですが10F程度までの中規模建築物についても対応できるように増圧ポンプを設置して水圧を制御する方式です。

増圧ポンプのイメージ テラル㈱のHPより

インバーターによる変速制御と台数制御によって流量をコントロールしています。

また、ポンプユニットから本管側へ逆流しないように逆流防止装置が設けられています。

水道本管の圧力を利用できるため省エネルギーになるのと、1年毎の清掃が義務付けられていない10m以下の受水槽の建築物を水道直結増圧方式にすることによる衛生面の向上がメリットとしてあげられます。

この方式も水道本管が断水すると断水します。

増圧ポンプを設置する場合に水道局メーターはバイパスユニットとしなければなりません。

メーターバイパスユニット ㈱日邦バルブのHPより

受水槽が無いためメーター交換時でも給水可能とするためにこのような処置がとられています。

受水槽方式は給水本管が断水してもすぐに断水しない

・高置水槽方式

高置水槽方式は1FあるいはB1Fなどのレベルで受水槽を設け揚水ポンプで屋上の高置水槽まで水を持ち上げます。

高置水槽からは自然の重力によって給水する方式です。

最上階での水圧確保ができるように高置水槽の高さを設定しなければならないので、ペントハウスの上にさらに架台を組んで屋上のスラブから7~10m上になるように設置されている水槽を見かけたことがあるのではないでしょうか。

ちなみに10m上に持ち上げれば約0.1Mpa(1.0kgf/cm2)の水圧を確保できます。

しかし最近はこの高置水槽の採用はかなり減っています。

水槽は2つ必要なのでその設置場所および維持管理に労力や経費がかかることが避けられる理由だと考えられます。

改修工事の際に高置水槽をやめて水道直結増圧方式かポンプ直送方式かいずれかに変更している事例が多いです。

新築工事にいたっては、現在ほとんどこの高置水槽方式は採用されていないというのが実感です。

・ポンプ直送方式

受水槽でいったん水を貯めて、そこから直送ポンプ(加圧ポンプとも言う)で建築物内の各所へ水を送る方式です。

受水槽方式のメリットとしては給水本管が断水しても受水槽内に貯められた水は電源喪失さえしてなければ使用できることです。

受水槽への給水には定水位弁(通称FMバルブ)を使用します。

定水位弁は副弁(ボールタップから電磁弁に至る部分)と主弁がセットになっていて水位が下がってボールタップが下がると副弁が開きそれに連動して主弁が開きます。

主弁はマンションなど流量が多い場合は50Aなどのサイズとなるため、この配管径のバルブの開閉はウォーターハンマーを起こす可能性が高く、その衝撃音が問題となることや配管継手部や機器類の損傷につながる可能性があるためそれらを防止する目的で定水位弁を用いています。

20Aまでの細い配管であればボールタップそのままで給水していますが25A以上では副弁を用いた定水位弁での供給をしています。

定水位弁の配管例 ㈱ベンのHPより

今回のテーマである給水方式の説明はここまでになります。

参考にしていただければと思います!

給排気ファンの選定

風量と静圧がわかればファンを選定できます。

メーカーのカタログなどに線図があるので、線図に風量と静圧を書き込めば選定できます。

ファンもいろいろ種類があるので、店舗などの設備工事でよく使用するものについて説明します。

筆者撮影

シロッコファンを性能表から選定

風量と静圧の条件につては

風量:5350m3/h

静圧:480Pa とします。

今回は荏原製作所シロッコファンの性能表に風量と静圧をプロットして選定します。

機種は一般的な空調、換気用に使用するSRM4 を選びます。

番手については No.2 1/2 で検討

性能表に上記の風量と静圧をプロットすると以下のようになります。

SRM4 No.2 1/2 の性能表

風量と静圧の線が交わった点は2.2kwの範囲に入っているのでモーターは2.2kwとなります。

では、同じSRM4で番手が No.2 だったらどうなるでしょうか。

サイズが小さければコストダウンになるので検討してみます。

性能表に風量と静圧をプロットします。

SRM4 No.2 の性能表

風量5350m3/h 静圧467Paをとった点が選定エリアから外れていることがわかります。

この場合はNo.2での選定は不可であることを意味します。

コストダウンしたくてもファンの能力が出ない可能性があるのでNo.2はあきらめてNo.2 1/2 で選定することになります。

また、風量と静圧から求めた性能表上の点の位置はできるだけ性能表の中央付近になるように番手を選定します。

あまりにも上の方に点が来てしまった場合は例えばファンを設置した後に風量がやや足りなかったりすることがありますが、その時にモーターの能力を上げたりプーリーアップして回転数を上げたりしますが、それらの対応ができないことになります。

性能表上にプロットした点の位置が下の方によってしまう場合は能力を過剰にみている可能性が高いので番手をひとつ下げる検討が必要です。

ファンの種類はどのように使い分けているのか

シロッコファン

シロッコファンについては、風量および静圧が大きくとれるので排気量が多めに必要となる場合に選定します。

厨房排気はシロッコファンの選定が多いです。

荏原製作所で言えばSRMや気体温度80℃まで対応可能なSRMOが選定されます。

シロッコファン 荏原製作所のHPより

ストレートシロッコファン

ストレートシロッコファンは天井のふところ内に本体が納まるようにコンパクトな形をしています。

ストレートシロッコファン 三菱電機のHPより

居室の一般換気で使用することが多いです。

かなり運転音が静かで最近の機種は40dBを下回るものもあります。

また、厨房用のストレートシロッコファンもあります。

風量は大きいもので10000m3/h程度まで対応できる機種があるので(風量大きい場合はシロッコファンの方が良いですが)必要に応じて選定することになります。

天井扇

天井扇はマンションや事務所などの建築物で比較的風量が小さい居室やトイレの排気などで選定されます。

天井扇 三菱電機のHPより

一台あたり風量が小さいもので50m3/h、大きいもので400m3/h程度までの対応となります。

風量と静圧ともに小さめの時に選定されます。

風量や用途で細かく品番が分かれていて、かなり多くのバリエーションが存在しています。

サニタリー用や事務所用など用途によって最適な天井扇を選定することができます。

全熱交換器

ロスナイ(三菱電機商品の商品名ですが)と呼ばれる全熱交換器は事務所によく設置されます。

全熱交換器 三菱電機のHPより

室内空気と室外空気の顕熱と潜熱ともに交換できます。

エンタルピー交換効率が75%の機種を採用すれば空調負荷計算の際に外気風量を75%減じて計算することができます。

ラインファン

ラインファンについては給気用で設置することがあります。

得られる風量に対してファンの値段は安いと言えますが、運転時の騒音が問題視されることがあります。

LFMのNo.3で59〜56.5dBです。

過去の現場において何度か「音がうるさいからなんとかしてほしい」というクレームをいただいたことがあります。

ラインファン 荏原製作所のHPより

消音型の機種もありますが消音部材の大きさが大きく納まりが悪くなるので、それならばストレートシロッコの方がコンパクトで納まりが良いため最近は給気ファンもストレートシロッコで選定してしまうことが多いです。

ミニシロッコファン

ミニシロッコファンも騒音が比較的大きく過去現場でクレームをいただいたことがあります。

ミニシロッコファン 三菱電機のHPより

BF-21S4の吸込部分で63dBなのでかなりの騒音が出ます。

これもできれば居室の天井内設置は避けたいです。

過去に一度でもクレームをいただいてやむなく是正工事で交換という経験をしてしまうとなかなかその機種を同じシチュエーションで選定することはできませんが、騒音があまり関係のない場所では使用できるので臨機応変に選定してください。

最後は騒音のクレームの愚痴みたいになってしまいましたが、ファン選定の参考にしてみてください!

角ダクトの静圧計算

丸ダクトの計算の次に来るのは角ダクトの計算ですよね。

この計算もちょっと複雑といえば複雑というのと結局どう計算していいかわからないパターンなどが出てきたりするため混乱するのですが簡易的な例を示しながら計算の説明をしてみます。

筆者撮影

ダクト経路の図とその静圧計算書

言葉だけで説明しようとしてもわけがわからなくなるので、まずはダクト経路の図と計算書を示します。

筆者作成
筆者作成

直管部分は丸ダクトの計算と同様に単位あたりの静圧と管路長をかけ算します。

継手のエルボや分岐部分は 抵抗係数ζ×動圧ρv2/2 を計算していきます。

継手の形状毎に抵抗係数や計算方法が違うので資料を見ながら計算していきます。

この計算で行き詰まるパターンとして現実のダクトの形状にあてはまる局部抵抗の計算式が資料に見当たらないということがあります。

局部抵抗の計算は参考書によって異なるものもある

まだ駆け出しのころは一冊の参考書を頼りに勉強しており、局部抵抗の計算の種類はその教科書に掲載されているものが全てだと思っていました。

しかし、いろいろな参考書を見るようになって、それぞれの参考書によって書いてある種類の数も違うし、同じ形状の継手の計算式でも違う計算方法が書いてある場合もあることがわかってきました。

ちなみに上の計算に用いた局部抵抗の資料は以下です。

・エルボ部分

空気調和設備計画設計の実務の知識より

・合流部分

建築設備設計基準(いわゆる茶本と呼ばれる参考書です)より

角ダクト合流部分の直通の流れの静圧は丸ダクトの計算と同様でよいとのことで合流部分については丸ダクト合流の資料を参考にしています。

細かい説明もしたほうがよいのかもしれませんが、うまい説明の仕方が思いつかないです。

この静圧計算については計算例や参考書を見ながら自分で何度も計算して理解していくしかないのかもしれません。

あるいは最近は簡単に計算できるプログラムを誰かが組んでいるかもしれませんが。

混乱するといけないのでひとつ言っておきたいこととして、シロッコファンなど選定する時に計算しているのは機外静圧です。

前回のブログで機器静圧も足し算した計算を紹介していますが、今回の計算では機器内の静圧は無視してゼロとして計算しています。

経験上では、ほとんどのメーカーが機外静圧の計算で機器選定しますので混乱しないようにしてください。

丸ダクトの静圧計算〜2〜

前回は継ぎ手部分などを直管部分の50%とする簡易的な計算方法を紹介しました。

最近の教科書にはこの計算例しか掲載されていませんがエルボとチーズ部分の静圧を別途算出して加算する方法もあります。

今回はその計算方法について説明します。

筆者撮影

エルボ部分と分岐部分の静圧

エルボ部分静圧の計算式があるのですがこの計算式はそのまま使うことはありません。

教科書見るたびに、あれ、こんな式で計算していたかなと思ってしまうのですが私の記憶力が悪いだけで、エルボの静圧計算はエルボ部分をその直径の何倍の長さの丸ダクト直管長に相当するかを計算するのみです。

なので、難しい式は書いてありますがやることは単純です。

エルボ部分の静圧⊿PTを具体的に求めるための資料が以下です。

いろいろ式が書いてありますが一番右のle/dを判断すればよいだけです。

例えば直径300mmの丸ダクトでエルボの曲がり具合を示すR/dの値が1.0の場合は le/d=17です。

つまり直管相当長はダクト直径の17倍ということなので

le=0.3×17=5.1[m]

ということになります。

次に、丸ダクト分岐部分の静圧計算についてですが以下の資料のようになります。

分岐方向と直流方向で係数ζ(ゼータ)の値の選び方が違うので気をつけます、ρv2/2の部分は動圧です。

具体的に計算

前回ブログと同じダクトルートで具体的に計算をしてみます。

条件:吹出口の風量はそれぞれ300m3/hとします

最遠のルートA-H間を計算していきます。

R/d=1.0として計算していきます。

A-H間の全長は49mです。

ダクトサイズはすべて1.0Pa/mとなるサイズで選定しているとして(前回ブログを参考にしてください)直管部分の静圧は

1.0×49=49Pa‥①

エルボBの静圧について、直管相当長はR/d=1.0よりle/d=17

A-C間は350Φなので 0.35×17=5.95m

よってエルボBの静圧は 1.0×5.95=5.95Pa‥②

同様にエルボEは 0.25×17=4.25mより4.25Pa‥③

エルボGは 0.175×17=2.975mより2.975Pa‥④

次に分岐Cについてv1=1800/3600/(0.175*0.175*3.14)=5.2m/s

v3=1800/3600/(0.15*0.15*3.14)=4.72m/s

v3/v1=4.72/5.2=0.9よりζ=1.3

分岐Cの静圧は ζρv32/2=17.4Pa‥⑤

次に分岐Dについてv1=1200/3600/(0.15*0.15*3.14)=4.72m/s

v2=600/3600/(0.125*0.125*3.14)=3.4m/s

v2/v1=4.72/3.4=1.39よりζ=0

分岐Dの静圧は ζρv22/2=0Pa‥⑥

次に分岐Fについてv1=600/3600/(0.125*0.125*3.14)=3.4m/s

v2=300/3600/(0.0875*0.0875*3.14)=3.47m/s

v2/v1=3.47/3.4=1.02よりζ=0

分岐Fの静圧は ζρv22/2=0Pa‥⑦

①~⑦を合計すると

49+5.95+4.25+2.975+17.4+0+0=79.6Pa

吹出しHの静圧15.0Paとしてこれを足して漸拡大および漸縮小の継手を無視しているなどのため安全率10%見込むと

(79.6+15)×1.1=104Pa

ファンを選定する場合は機器抵抗を考慮し200Paであればその数値を加えて最後に動圧分を差し引きます。

動圧は機器吹出し部分で7.0m/sの場合ρv2/2=29.4≒30Pa

よって 104+200-30=274Pa

ファンは1800m3/h 274Paで選定します。

丸ダクトの静圧計算〜1〜

空調や換気のためのダクトサイズや送風機の選定をする際に静圧を考慮しなければなりません。

静圧は配管で言うところの圧力損失のようなものです。

店舗の設備設計においては静圧計算書の提出を求められることはあまりないのですが例えば設計図書で設定された風量が出ない場合などは静圧が大き過ぎないか確認しなければならなくなります。

後から計算したのでは遅いので本来は設計時に計算しながらダクトサイズ選定していくのが理想ですが、まずは1.0Pa/mという静圧の目安を守って設計していればまずトラブルになることはありません。

今回は丸ダクトの簡易的な静圧計算方法について説明してきます。

筆者撮影

静圧の簡易的な計算方法

下図のダクトサイズと静圧を求めます。

条件:吹出口の風量はそれぞれ300m3/h       吹出口の静圧抵抗を6Paとします

最遠のルートであるA-H間を計算していくことにします。

単位あたりの静圧は1.0Pa/mとして下に示したダクト流量線図を利用してダクトサイズを選定します。

ダクト流量線図 空気調和設備計画設計の実務の知識より抜粋

選定したサイズを以下に示すと

A-C間 1800m3/h 350Φ

C-D間 1200m3/h 300Φ

D-F間 600m3/h 250Φ

F-H間 300m3/h 175Φ

となります。

次に静圧の計算ですが、エルボやチーズ部分の局部抵抗については簡易的にダクトルート全長の50%分とします、単純な経路の場合はこのように計算してかまいません。

ダクトルート全長を求めると

10+10+6+6+10+6+1=49m

よってダクトルート全体の静圧は

1.0Pa/m × (49m + 49m × 0.5)+ 6Pa =79.5Pa となります。

数字上静圧が大きくなくても風量確保困難の場合がある

静圧計算をいくらしっかりしても風量が確保できない場合があります。

と言うのは、ダクトルートの途中にダクトサイズが細すぎる部分があると、抵抗がかかり過ぎてその先は風量が全く確保できないということがあるからです。

例えば1400m3/hの風量が通過するメインダクトのサイズを350Φで施工するとしてこのダクトを途中で200Φに縮小するとします。

350Φのときは長さ単位あたり1.0Pa/mの静圧ですが200Φの場合は10Pa/mと静圧は10倍となります。

200Φの部分が2mあってまた350Φにもどせば計算上はその2m分で20Paを足せばいいのだから大丈夫だろう、という考えは間違いです。

ダクトルートの途中で急激にサイズを縮小した場合は、縮小部分で抵抗が大きくなり過ぎてその先へ空気がうまく搬送されなくなります。

つまり、誤って途中でおかしなダクトサイズ選定をしてしまうと計算上はそこまで静圧の数値は大きくならないが風量が確保できないということが起こり得るということです。

経験値の浅い設計者が以外とこのミスをしてしまいます、どこまでサイズを絞っても大丈夫そうかという勘が働かないからです。

まずは1.0Pa/mを目安に設計することです。

ちなみに低圧ダクトは0.8〜1.5Pa/mで設計することになっています。

なのですが、店舗の換気設備を設計する場合は、納まりが厳しい現場が多くダクトサイズを大きく取れないことが多いので1.5〜2.0Pa/mまでは許容範囲として計算しながらサイズ選定および静圧計算していけばよいです。

もし、その現場や施設において静圧に関する設計基準がある場合はそちらを順守してください。