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換気方式と換気回数

感染症のこともあり、いま話題にあがることが多くなった換気についてですが今回取り上げるのは特別なことではなく設備工事や設備設計に携わるかたが知るべき基本的な換気方式の種類や換気回数の目安についてです。

筆者撮影

換気方式の種類

建築に関わらない方からは換気に種類などあるのか問われそうですが送風機を給気と排気どちらに使用するか、しないかなどで種類分けがあります。

建築関係の仕事をしていると換気方式については基本的な知識として知っているものとして打合せなどの会話で普通に出てくることもあるので覚えておいて損はないです。

換気方式の概要図を示します。

第1種は給気、排気とも送風機を用いる換気方式で換気量の設定によって室内の静圧を正圧にも負圧にも計画することが可能です。

ここで正圧と負圧の説明をしておきます。

正圧の状態は室内から空気が押し出される状態になります。

なので外部から汚染された空気を取り込みたくない手術室などは正圧にします。

負圧の状態は上記の逆で室内へ空気を引き込むイメージになります。

トイレの臭気など汚染された空気をその室から周囲へ漏らしたくない場合は負圧で計画します。

換気方式の説明にもどりますが、第2種は給気に送風機を用いる換気方式で室内は正圧になります。

第3種は排気に送風機を用いるので室内は負圧になります。

上記の3種に加えて自然換気も換気の種類としてあげられます。

給気も排気も送風機を用いずに自然の風圧や気温の差を利用して換気します。春や秋の気候が良いときは窓を開け放しで部屋の空気を入れ替えます、それが自然換気です。

建築的にボイドと呼ばれる空気の通り道を設けて風圧差と温度差で換気を促すのも自然換気の考え方です。

基準換気回数について

室の用途別で基準換気回数をまとめた表です。

換気設計風量基準換気回数 空気調和設備設計計画の実務の知識より             表中の×は一般的に採用されない方式を示す

上記以外の事務室の居室などは以前書いたブログ居室の換気量計算についてに詳細がありますがV=20Af/NとV=0.5Ahなどの計算で算出して決定していきます。

上記の表もあくまで目安なので居室あつかいになる室となる場合は必ず換気量計算をして必要な風量を確認する必要があります。

喫煙室の換気量はどうするか、度々問題になりますが最近は入口などの開口部で喫煙室の外側から内側に向けて0.2m/sの風速が確保できる風量で考えることが多いです。

入口ドアでW800 H2000の開口の場合は

0.8×2.0×0.2×3600=1152m3/h

という感じの計算になり、かなりの風量になることがわかります。

排水設備の機能について〜SARSはトイレから〜

コロナウイルスの一種であるSARS(重症急性呼吸器症候群)は日本では2類に分類される指定感染症ですが現在は収束しています。

2002年の11月に中国の広東省で初の感染者が確認されてから2003年9月の収束まで30カ国で8098人の感染者と774人の死亡者が確認されました。

感染が広がる中で香港の高層マンションで排水菅の不備により321人が感染したという事例がありますが排水管の不備とはいったいどういうことなのでしょうか。

Alexas_Fotos さんによるPixabay よりの画像

便器から飛沫が飛ぶ可能性

大便器まわりにウイルスが多く存在するという話がありますが、あながち嘘でもなく、ダイヤモンドプリンセス号においてもトイレ周辺から新型コロナウイルスが多数検出されたという報告があったようです。

香港城市大学の研究によればトイレの水を流す際に1回あたり最大80万個のウイルスを含む飛沫が空中に吹き上がるとのこと。新型コロナトイレの糞口感染対策が盲点

つまり排水管に不備などなくとも飛沫は飛んでいるということですがSARSの感染拡大のひとつの原因となった高層マンションでの排水管の不備はさらに多くの飛沫を飛ばす状態になっていた可能性があります。

このSARSの話は「感染症の世界史」という本にあります。

マンションの排水管の不備で(感染源となった)男性の飛沫や糞沫に含まれていたウイルスがトイレの換気扇に吸い上げられてマンション内に拡散した可能性が高い、という記載です。

その事実は確かに書かれていますが排水管の不備というのが具体的にどのようなことだったのかまでは残念ながら書いてありません。

ネットで調べたら何か出てくるかと思いましたが探し方も悪かったのかもしれませんが何も出てきません。

そこで、どのような状態だったことが考えられるかのか予想してみました。

排水管内からガスが逆流

排水は立管から各階で枝配管を分岐させる形で配管します。

例えば最上階のトイレからSARSに汚染された汚物が流れたとした場合、排水立管が全体的に汚染されます。

そして、ここがポイントだと思っていますが、排気のための換気扇を作動させたのはよいが、給気口がない、あるいは給気口はあるが何らかの理由で閉鎖している状態だった場合、室内およびトイレ内は負圧になります。

室内およびトイレ内が負圧の状態になると排水管内のガスを引っ張って吸い上げてしまうことがあります。

マンションの排水管と
排水管内ガスが移動するイメージ

さらに大便器のトラップの封水が便器の不良などで破られ易い状態だったとしたら大便器から排水管内のウイルスを含んだ飛沫が大量に逆流してくる可能性はあります。

321人の感染者を出したという事実を見ると、このような不具合が起こっていたのではないかということが予想されます。

現在の日本国内のマンションの計画はそこまで杜撰なものはないので同じようなことが起きる可能性は低いですが、施工時に室内やトイレ内が負圧になり過ぎないか、各器具のトラップは問題なく機能するかなどは確認しておく必要があります。

たとえSARSウイルスの飛沫でなくとも、大便器からかなりの量の飛沫が飛んでくるとしたら、それはよくないので…。

潜熱負荷とは何なのか?

空調負荷計算〜3 すきま風熱負荷〜で書いた内容の中で外気を取り込んだときに顕熱負荷と潜熱負荷に分けて計算すると説明しました。

ところで、顕熱負荷そして潜熱負荷とはいったい何なのでしょうか。

潜熱負荷のイメージ

顕熱負荷というのは例えば外気温33℃の空気を27℃に下げる場合は温度差6℃を下げるための負荷ということになります。

では、潜熱負荷とは何でしょうか。

33℃の外気を27℃に下げる場合、空調機内の熱交換器は20℃程度となっていると想定したとき外気が熱交換器を通る際に外気に含まれている気体の状態である水蒸気が液体の水に変化します。

この状態変化のために熱が奪われています。

見かけ上に顕れる温度を下げているわけではないので潜んだ熱ということで「潜熱」と呼ばれています。

つまり、冷房する際は単純に33℃を27℃に下げる分の熱を奪えばよいのではなく、水蒸気が水になる状態変化のために奪われる熱の分もプラスして冷却しているのです。

ちなみに水蒸気が変化した水は空調機のドレンとして排水されています。

状態変化と熱のやり取りのイメージを以下に図示しておきます。

状態変化と熱のやり取りのイメージ 筆者作成

潜熱については中学校の理科でも話が出てきます。

氷⇒水⇒水蒸気という変化をする場合の時間と温度の関係を簡略的に示したグラフが以下になります。

 状態変化中の温度 中学理科のまとめ より

なんか中学校の時に勉強したかもな、となんとなく思い出す方もいると思います。

グラフが階段の踊り場のように水平になっている部分は氷が水へ、あるいは水が水蒸気へ状態変化してる最中であることを意味します。

この最中は温度変化はしません。

しかし加熱はし続けていて熱は移動しています、このとき移動している熱が「潜熱」です。

空気線図上で変化の動きをみてみる

夏期の空冷空調機による冷房時の温湿度の変化を空気線図上で追ってみると下図のようにななめ左下へ移動するような変化をたどります。

空気線図上で温湿度変化を矢印で図示 夏期の場合 

温度が下がると同時に絶対湿度も下がることがわかります。

また、気温が高いほどこの矢印の角度が急になります、つまり温湿度が高い時期の外気ほど少ない温度変化でも多くの結露水が発生することを意味しています。

次に冬期の温湿度変化をみてみます。

冬期は加湿機能のない通常の空冷の空調機では温度のみが変化して絶対湿度は加湿されないので変化しません。

よって相対湿度は下がることになります。

冬の室内の乾燥の原因のひとつがこの暖房によるものです。

加湿器を併用しなければかなり相対湿度が下がってしまうということになります。

室内の環境として相対湿度は最低でも40%以上にしておくべきです。

一般的な空調機で暖房する場合は室内の相対湿度が30%以下になっていることもあり得ますので冬場は加湿器の併用をしないと室内がかなりの乾燥状態になる可能性があります。

ガスマイコンメーターの機能などを紹介

住宅や店舗にガス設備がある場合は必ず設置されているガスメーターですがガスの使用量を計測するのはもちろんのこと、他にも機能があります。今回は都市ガスのガスメーターをメインにしてその種類やサイズなどについて説明していきます。

stevepbさんによるpixabayからの写真

ガスマイコンメーターの機能は使用量の計測だけではない

まず、ガスのメーターの外観ですが下の写真になります。

ガスマイコンメーター 筆者撮影

建築や設備関係の仕事に携わっているかたでなくても見たことがあるかと思います。

職人さんなどはランドセルと呼んでいることもあり、厚みもあってゴツい外観です。

16号メーターは300W×215D×422Hなのでちょうどランドセルくらいの大きさです。

ガスメーターですからガスの使用量の計測をして中央部の表示にカウントされた数字が出ます。

その他、安全などに関するいろいろな機能が備わっています。

1.遮断機能

合計流量オーバー、個別流量オーバー : ガス栓の誤解放、ゴム管外れなどメーターの下流に異常な大流量が流れた場合に1分以内にガスの流れを遮断します。

安全継続使用時間オーバー : ガス機器の消し忘れなどによる異常長時間使用の場合の遮断

感震 : 約200ガル(震度5)以上の地震発生時に遮断

圧力低下 : マイコンメーターの上流(ガスが入ってくる側)のガス供給圧力が30mmAq以下になった場合に遮断

外部信号入力 : 都市ガス警報機や不完全燃焼警報機などとの連動遮断

2.復帰機能

地震の後にガスが止まってしまうことがあります。

マイコンメーター上側中央あたりの表示ランプが赤く光って点滅していたら感震機能が働いて遮断した状態となっています。

復帰ボタンを止まるまで指でしっかり押す(押し込んだまま2秒間待ってから離す)と復帰します。

ただし、リスク回避の機能として復帰後2分以内にガスが流れた場合再遮断しますので、3分間程度はガス機器などを使用せずに待つ必要があります。

3.警報機能

メーターから先の配管での少量漏れや口火を連続使用した場合など30日間連続してガスが流れ続けた場合にガス漏れ警報を表示します。

常時口火を使用する場合は誤警報防止のため口火流量を登録することが可能です。

ガスマイコンメーターのサイズとメーター番号

マイコンメーターのサイズについて製造メーカーの愛知時計電機㈱の製品を参考に紹介します。

愛知時計電機㈱リンク https://www.aichitokei.co.jp/products/gas/

1~6号までは家庭用に取り付けられていることが多いです。マンションのPS(パイプスペース)の点検口を開けると水道メーターとこの1~6号のガスメーターが見られると思います。

家庭用に取り付けるガスメーターは4~6号あたりです。広い家で給湯器が2台付いていたりすると10号の家庭もあるかもしれません。

メーターひとつひとつにメーター番号があてがわれています(この番号はガス料金の明細などに記載されるお客様番号とは異なります)。

上の写真のようにメーター番号はメーターに添付されているラベルの9桁の番号で確認できます。メーター番号の上に記載されているNS16というのは遮断機能、通信機能付きでサイズは16号であることを意味します。

新規案件の現場調査で入った空きテナントにガスメーターがポツンと残されていることなどがよくあります。

メーター番号を確認して、その後の工事などの相談時に東京ガスなど地域のガス業者へ伝えると話がスムーズに進むので建築、建築設備関係者のかたは現場調査時にこの番号をメモする癖をつけておくとよいと思います。

ガスメーターのサイズ選定の考え方

ガスメーターサイズの選定について簡単に説明しておきます。

まず、その住居や店舗で使用されるガス消費量の合計を確認します。この数値は給湯器や厨房機器などガス消費機器の種類および台数で決まります。

ガスメーターサイズ選定の計算例を示します。


40坪程度のレストランに下記のガス機器(それぞれのガス消費量(kw)も記載)が設置されていると想定した場合

・24号給湯器 52.3kw 1台

・ガスコンロ 40.0kw 1台

・ガスフライヤー 15.0kw 1台

ガス消費量の合計は52.3+40.0+15.0=107.3kw

消費量の単位をkcal/hに直します

107.3kw × 860 = 92278kcal/h…①

ガス流量1m3/hあたりのガス消費量は10250kcal/hなので

①より 92278 ÷ 10250 = 9.0m3/h

メーターの1号あたりが1m3/hなので9.0m3/h以上の流量で使用できるメーターサイズとして10号メーターを選定します。


ガス消費量は1m3/hあたり10250kca/hに切り替わるころ10年以上前の話ですが

メーターサイズの選定について、こちらで計算して東京ガスの担当者に、このサイズでいいですか?

と相談したら今は10250kcal/hで計算しているのでそれだとだめかもしれないという話が出てきました。

以前はガス消費量は1m3/hあたり10250kcal/hではなく11000kcal/hで計算していました。

10250kcal/hでは今までより同サイズのメーターで使用できるガス消費量が少なく算出されるからメーターサイズや配管サイズが大きくなってコストアプップではないのか、とちょっとクレームをしたのを覚えています。

結局、同時使用率を調整することでメーターサイズを大きくすることは避けるよう調整してくれました。

あと、昔は16号メーターがなくて15号メーターでした。

なぜ15号がなくなったかというと10号メーターと15号メーターが聞き分け難かったからです。「じゅうごう」と「じゅうごごう」確かに当時は混同されないように慎重に発音していた記憶があります。

ということで最後は昔話になりましたが建築や設備関係の方は営業トークの雑談ネタにでもしていただければと思います!

住まいの換気をコントロール

朝晩が肌寒い季節になってきました。なぜかこの家のこの場所で寝ているとすごく冷える感じがする、という時は近くに給気口があるのでは?工夫をしながらある程度住まいの換気をコントロールする方法を考えてみます。

kscz58ynkさんによる写真ACからの写真 

冷たい風を感じたら給気口の開閉で調整してみる

冬場、家の中でレビを見ているときや寝ているときに妙に寒さというか冷たい風のようなものを感じる場合は給気口からの外気流入が影響している可能性があります。

ソファーが置いてあるすぐそばに給気口がある場合もあります。

ご存知かとは思いますが住居の給気口は下のカタログ写真のようなものとなります。

UNIXのHPより

上の四角い給気口はプッシュ式で開閉します。下の丸い給気口は真ん中の部分を回して開閉します、開き具合を変えれば風量の調整も可能です。

寒いと感じた時にはこの給気口を閉めてしまうか調整可能なタイプであれば風量を絞ってしまえばかなり寒さは緩和できます。寒ければ寒い日ほど閉めた時にその違いを感じると思います。

様々なメーカーのいろいろな商品があるので自宅に取り付けられている製品の可能な範囲で調整してみてください。

本来は24時間換気の給気の意味で開けておくべきなのですが、寒い日は仕方がないです。

空気のよどみを感じたら窓を開けて換気しましょう。

また、1ヶ所を閉じたとしても部屋が複数あって複数の給気口がある住宅の場合は他の給気口からは新鮮空気が入ってきます。

屋内側の結露を緩和したい場合は

紺色らいおんさんによる写真ACからの写真 

冬場は朝方に屋内側の窓面で結露することがあります。窓面の表面温度は外気温の影響でかなり低くなります。

例えば室内温度が20℃相対湿度50%の場合、露点温度は10℃程度なので窓面温度が10℃を下回ってくると結露し始めます。

外気温度一桁の朝などはかなり結露する確率は高くなってきます。

特に機密性の高い新築のRC造のマンションなどではこのタイプの結露が起こりやすいです。

では、この結露を緩和するにはどうしたらよいかですが外気温と室内温度の差が小さければ結露は起こりにくくなるので給気口を開けてなるべく外気を取り込むということになります。

すると、冬場の室内温度を下げたくないから給気口を閉じたいのに結露を緩和させたい場合は開けることになり相反する調整をどうすればよいのか、ということになります。

では、どう考えるかですが例えば夜中の間、人が過ごさないリビングは給気口を開けておいて寝室となる部屋は閉めておくという調整をするかです。

あるいは換気扇の強弱で風量の調整、タイマーで朝方の数時間は換気扇の電源をオフにして寒さ対策とするなどが考えられます。

給気口のフィルター掃除をして空気がよどまないようにする

給気口にフィルターが付いているタイプが多いですが、このフィルターも放置していると目詰まりします。

フィルターが目詰まりすると外気の取り込みがスムーズにできないため室内空気のよどみの原因になります。

簡単にですがフィルターなどの清掃方法を以下に紹介します。

以上、換気をコントロールするというより給気口の管理をどうするかという話に終始した感じになりましたが参考にしていただければと思います!

空調機選定の考え方~2~

空調機の形にはさまざまな種類があります。どのような形の機種がどのような用途の部屋で選定、使用されているのでしょうか。

mohamed_hassanさんのイラスト pixabayより

事務所などで使用されている天井カセット形

・天井カセット4方向形

天井カセット4方向は事務所でもっともよく使われている形状です。どこの施設に行っても必ずどこかでみかけると思います。

天カセット4方向形  写真ACより

吹出し方向が多いので小さい部屋であれば中央あたりに配置すれば1台で部屋を均等に空調できます。

広い事務所や飲食店の客席においても天カセ四方向を複数台バランスよく配置して設計することが多いです。

各メーカーともこの形の空調機のオプション機能や周辺部材が最も充実しています。

加湿機能や中性能フィルターの追加、少し離れた位置にダクト延長により吹出し口を取付けることができるなどシチュエーションに応じて様々な対応が可能です。

・天井カセット2方向形

天井カセット2方向 三菱電機のHPより

廊下の長手方向に吹出すように配置したり事務所などのライティングレールに沿って配置して見た目を整える目的で使用するなどが考えられます。

・天井カセット1方向形

天井カセット1方向形 三菱電機のHPより

天井のレイアウトの都合上、空調機を部屋の片側に寄せたい場合があります。

そんな時は天井カセット1方向形を選定し、片側に寄せて配置します。こちらも事務所や店舗の客席などで使用されています。

デザイン重視の場合は空調機を隠す

・天井ビルトイン形

天井ビルトイン形 三菱電機のHPより

デザインの都合上天井に空調機があらわになることを避けたい時はこのビルトイン形を選定して写真で丸い穴が見えますが、そこにダクトを取付けて延長し吹出口を取付けます。

ダクト延長のイメージ  三菱電機の仕様書に筆者加筆

吸込みパネル部分は見えてくるのでデザイン的に邪魔にならない位置に配置します。

吹出口を自由な位置に取付けられること、吹出口のデザインを自由に選べることが利点でこの形の機種を選定すればデザインの幅が広がります。

また店舗の厨房はこのビルトインで空調することが多いです。吸込口を厨房の汚れた空気に影響されない位置に配置して空調機自体の劣化を防止するねらいがあります。

・天井埋込形

天井埋込形 三菱電機のHPより

さらに吸込口の形状や色も自由にしたい、位置も自由に配置したいという場合には天井埋込形を選定します。メーカーによっては天井隠蔽形と呼ぶ場合もあります。

吸込み側もダクティングするので全体の工事費用はアップします。

天井内に納まらない場合は天吊形

・天吊形(1方向)

天吊形 三菱電機のHPより

天井ふところが200mmしかない場合など、そもそも空調機が天井内に隠せない場合はきよく天吊形を選定します。

なにか物体が天井から出てくる感じになるので高級感のある雰囲気重視の店舗などでは選定されませんが、事務所や量販店の売場などではよく選定されています。

・厨房用天吊形

厨房用 三菱電機のHPより

ステンレスボディで汚れに強くオイルガードフィルター付きで内部の熱交換器を保護しています。

調理時にあまり油煙の出ない喫茶店の厨房であれば厨房用以外の天井カセット形を設置することもありますが、フライヤーや大型のグリルを使用するような厨房には厨房用空調機をつけたりビルトイン形で吸込み口を汚染されない位置に配置するなどの対策をします。

これらの対策を怠ると空調機が短期間で傷んだり故障したりするので注意が必要です。

家庭用といえば壁掛形

・壁掛形

家庭用の空調機はほとんどが壁掛形です。

 壁掛形 三菱電機のHPより

なぜかと言われるとはっきり答えられませんが、一般的に住居は天井高がその他の用途の建築物に比べて低く設計される傾向があり天井内に空調機本体を納める前提で設計されていないことが多いからかもしれません。

壁掛形で計画される場合多くは空調機を取り付けた壁の外部側に室外機を設置する計画にします。

壁掛形で計画された場合でも室外機の位置が屋上など離れた位置にある場合もありますが冷媒管の長さに制限があるため家庭用の場合と業務用の場合で室外機設置条件の自由度は変わってきます。

そのあたりの詳細はまた次の機会に書きたいと思います。

便器と便座の隙間から

衛生設備関連でお客様からよくいただくクレームに大便器まわりの床が濡れているので便器のソケットから排水管が外れているのではないか、というものがあります。

私のところに半年から1年に1回は相談が来る感じなので全国の設備屋さんが対応している総数はかなりの件数と思われます。

lyperzytによるPixabayからの画像 

なぜ便器まわりの床だけが濡れているのか?

結論から言うと、大便器と便座の隙間に尿が入り込んでそれが便器を伝って重力で下に流れ、最終的に便器と床の際に溜まります。これが原因であることが多いです。

この原因となる使用者がトイレを出たあと、しばらくして次にトイレを使用する人が見たときに、床と便器の隙間からなにか液体が漏れ出しているように見えるのですが実はその前にトイレを使用した方の尿が床に溜まっている状態なのです。

尿が便器と便座の隙間から外へ出て便器先端部から下へ便器表面を伝って床の便器まわりに溜まるイメージを下図に水色で示しました。

床の便器周りから水が漏れている、とか、便器まわりの床が水浸しだから排水管が外れているのではないか、というクレームについてはまず便器と便座の隙間から外へ出てしまった尿が原因ではないか疑ってみてください。

便器と便座の隙間から尿が出ないようにする対策方法

原因がだいたいわかったところで、お客様にこれをどう説明してどう対策するか。

最近は座りション派の男性も増えました。

マンション住まいの方は特に飛沫の影響で汚れるのを嫌う家族から立って小便をすることを禁止されている家庭も多いと思います。

私自身も公衆トイレの使用以外ではほぼ座りションです。

意図せず放った尿がちょうど隙間に到達して結果的に汚してしまっていたということがあったかもしれません。

尿が外に出てしまうことを防止する商品がいくつかあるので紹介します。

Panasonic アラウーノのモレガード

Panasonicが販売している樹脂性の大便器アラウーノはその形状により便器と便座の隙間から尿が飛び出ないような対策をしています。

PanasonicのHPより アラウーノ モレガードの説明

SANKO トイレ汚れ防止パッド

汚れ防止パッドという商品もあります。

便器先端部の便座との隙間に貼って飛び出そうになる尿を吸い取るという作戦です。

AmazonよりSANKO商品のページを抜粋

その他にも対策できる商品がありますので調べてみてください。

排水管が外れているのではないか?という話を真に受けてお金をかけて大便器を外して確認作業をしたけど何の解決にもつながらなかった、ということにならないように紹介してみました!

問題解決につなげていただけると嬉しいです。

空調機選定の考え方 〜1〜

空調設備設計の際に空調機を選定するためにはまず、どれくらいの空調能力が必要になるかを検討する必要があります。

今回は空調負荷 概算値の算出方法について説明します。

業態・用途別の単位面積あたり空調負荷について

空調負荷は日射負荷 貫流熱負荷 外気負荷 照明負荷 人体熱負荷などがあり本来はそれぞれを計算し合算して熱負荷を求めます。

しかし、これらを計算して空調負荷を求めるのは手間がかかるので概算値を知りたい場合は面積あたりの空調負荷を想定して算出する方法がよくとられています。

単位面積あたりの空調負荷はおおよそ以下になります。


業態・用途別の単位面積あたり空調負荷


一般家庭の住居の居室…………………150〜180w/m2

事務所 保育園の保育室
アパレル店舗の売場 …………………180〜250w/m2


喫茶店の客席    …………………250〜350w/m2


レストラン・
居酒屋などの客席  …………………350〜450w/m2


焼肉店などの客席  …………………450〜550w/m2


上記値についてはあくまでも概算のための想定値になりますので日射が直接差し込む室などについては日射負荷をプラスした数値で考える必要があります。

その詳細ついてはまたの機会に説明したいと思います。

面積を掛け算するだけ

あとは空調負荷を知りたい部屋の面積に上記の単位あたり空調負荷の値を掛け算するだけで概算値が出せます。

例えば、家に新しいエアコンを付けたいと思った時は一般家庭の住居の居室、この値を使ってください。

150〜180w/m2ですね。

一般家庭の通常のリビングであれば150w/m2みておけばよいです。縦6m、横4mの部屋の場合面積は24m2です。よってこの部屋の空調負荷を算出する式は

150w/m2 × 24m2 = 3600w=3.6kw

これで空調負荷がわかりました。空調機の品番で例えばダイキンの家庭用壁掛け空調機、ルームエアコンと言われているものですが、の品番で AN36XCS-W や AN36XSS-F などがあります。

品番中の36という数字、これが空調機の能力を表しています。察しの通り36が入っている場合の能力は3.6kwとなります。

算出した空調負荷3.6kwにぴったりの能力の空調機がAN36XCS-W や AN36XSS-F ということになります。

壁掛ルームエアコンAN36XSS-F ダイキンHPより

微妙な面積の場合は?

わかりやすくするために空調負荷と空調機能力が同じになる計算例で説明しましたが部屋の広さが20m2の時は空調負荷の計算結果は3.0kwになります。このような場合はどのように考えればよいか。

やはりこの場合も3.6kwの空調機を選定することになります。基本は空調負荷を上回る能力の空調機を選定します。

ちなみに空調機能力は

2.2kw 2.8kw 3.6kw 4.0kw

5.6kw 6.3kw 7.1kw

この刻みの能力でラインナップされています。メーカーや機種によっては3.2kwがあるかもしれません。

と言っても家庭用空調機についてはこの機種は何畳用です、という売りかたをしているので何畳かわかれば計算は不要なのですが。

自分の家の部屋が何畳かわからない場合や、お店で勧められた機器の能力がはたして適正なのか、ある程度の基準を自分で計算したいという方

納得いく買い物をするために是非、スケールで部屋の縦横の長さを計測して求めた面積から空調負荷を求めてみてください!

次回はどのような場所にどのような形状の空調機を設置すればよいか説明したいと思います。