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排水配管のトラップについて

排水配管の基本的な事をまとめようかと思ったのですが、いろいろありすぎるなということで今回は排水トラップに関する事をまとめてみました。

管工事施工管理技士の試験にもトラップ関連の問題はよく出てくる印象があります。

これまでの経験もふまえて紹介してみます。

トラップの構造などについて

排水配管内の硫化水などを含む下水ガスや臭気、害虫などが器具を通して室内へ侵入してくるのを防止するためにトラップを設置します。

代表的なトラップの構造が以下のような形です。

排水トラップ各部の名称 給排水衛生設備計画設計実務の知識より

排水トラップの深さ、封水深(図のディップからウェアまでの距離)は5cm~10cmとします。

浅すぎても破封しやすいし、深すぎると流れを阻害する恐れがあるので注意が必要です。

トラップには以下の図のように様々な形があります。

トラップ中の水分がなんらかの理由でなくなってしまう、あるいは減ってしまい配管内の下水ガスが出てきてしまう状態を破封と呼びますが、破封する原因として代表的なものは

・誘導サイホン(排水管内が負圧になり封水が引っ張られる、あるいは正圧になり押し出されてしまう)

・自己サイホン(排水が満水状態で流れるために封水が誘引されて損失する)

・蒸発作用(長い期間にわたって衛生器具を使用しない場合に蒸発によって封水が消失する)

・毛細管現象(トラップ内に髪の毛などがひっかかり、毛細管現象により風水がすこしずつ下流へ流れ込むことにより封水が消失する)

以上があげられます。

洗濯パントラップの接続は排水用フレキを必ず使用する

トラップの話になったついでに洗濯パントラップについての話をしておきます。

TOTOの洗濯パントラップ

洗濯パントラップの接続を塩ビ管で直つなぎした場合、洗濯パントラップを固定する時に本体が微妙に回転して塩ビ管を差し込んだ接続部が剥離してしまうことがあります。

この状態は目に見えないところでおきていて、マンションを引き渡し、入居者が使用し始めてから数ヶ月後に床下が浸水していることが判明するという事故があります。

その住戸の床下全体が浸水しになり居室の壁のボードまで湿ってブヨブヨになった状態を見たことがあります。

一度、部屋の中のものを全て出して移住していただいて全部改装するということになった事例でしたが、これほんとに一大事です。

この解決方法として、洗濯パントラップの接続には排水用フレキシブルジョイントの使用をおすすめします。

排水用フレキシブルジョイント アキレス

雨水配管を汚水管に合流させるには

雨水配管を汚水管へ合流する場合は臭気があがってこないようにトラップマスを経由させて接続します。

溜めマスや塩ビのトラップマスを設置します。

場所が狭くてマスが設置できなければ塩ビ管でUトラップを組むなどで対処します。

雨水トラップマス設置イメージ
塩ビのトラップマス 前澤化成工業(株)

ダブルトラップの禁止

トラップは2つ直列に配置することは禁止されています。

トラップ内が満水状態のためトラップとトラップの間での流れが阻害されるためです。

たまに、グリーストラップへトラップ付きの器具からの排水を接続するのはダブルトラップなのではないのか?という質問をされることがありますがグリーストラップの上流に設置された器具にトラップが付いていてもダブルトラップにはなりません。

グリーストラップはゴミを沈殿させ油を分離するために一度、槽へ放流する形になりますが、この槽は大気に開放されている状態になるためダブルトラップの状態にはなりません。

今回はここまでになります、参考にしていただければと思います!

ウイルス感染ルートと感染対策としての設備について〜その2〜

前回は新型コロナウイルスがトイレにおいて、ふん口感染している可能性が高いことを書きました。

しかし、一般に言われているのは飛沫感染と空気感染になります。

よって、感染対策として換気設備についての話はよくあがります。

感染対策をしたいので換気回数を上げてほしいという要望はあります、あるのですが実際にこれを実行する方は少ないのが実感です。

私自身、換気回数を増やしたいという要望を聞いた時にまず考えてしまうのが換気回数、つまり換気量をやみくもに増やすことが感染対策につながるのだろうか、ということです。

もちろん換気設備が無い場合は設置すれば変わることはあり得ます。

換気が必要であるにも関わらず換気設備がない場合は違法建築になってしまうので感染対策関係なく換気設備を設置しましょうと言わなければならないのですが。

換気量は30m3/h 換気回数は2回/hが目安

居室において必要とされる換気量は居室の換気量計算について で紹介したように

V=20Af/N

で計算します。

簡単に言ってしまうと居室を使用する人数に20m3/hを掛け算すればよいということです。

店舗の設計の場合、客席をなるべく多くとる計画となっていることから100m2の店舗で40席あれば20m3/h×40席=800m3/hは必要になる、という感じの計算になります。

さらに厨房の排気が少なくとも2000m3/h程度はあるので店舗全体で2800m3/hとなります。

平均天井高2.5mだとしたら店舗全体の容積は

100m2×2.5m=250m3より

何回換気しているか計算すると

2800m3/h÷250m3=11.2回/h となります。

厨房の排気量がかなり大きくなる場合もあり、店によっては30回/h換気を超えている場合もざらにあります。

これまで知事など政治家からやり玉にあげられている飲食店は特に換気回数が多く取れている業態になるということです。

空気調和衛生工学会誌によるとカナダで行われた医療施設の職員に対する結核のツベルクリン反応の有無を長年追いかけて調査した結果が示されています。

その結果によると気回数2回/h未満の場合、2回/h以上の場合より感染リスクが3.4倍高いことが示されています。

カナダの一般病棟の一人あたりの気積が24m3と言われているので2回換気の場合は1人あたり48m3/hになります。

新型コロナウイルスと結核の感染力が同等である証拠はないが空気感染する疾病の予防に有効な換気量を確保するという観点から厚生労働省では30m3/h・人と2回/hの換気の確保を推奨している、とのこと。

ちょっと難しい記述ですがとりあえず30m3/h・人で2回/h以上を確保がとりあえずの目安ということはわかります。

換気の現実的な運用

居室の換気はV=20Af/Nで計算しますが実際は余裕をみて30m3/h程度で計算することはかなりあり、飲食店においては厨房の換気量が膨大なので、これを加えると2回/h換気は大幅にクリアしている店がほぼ100%と思われます。

物販店では換気量が2回/hに届かないパターンもあると思いますが物販店の場合そんなに喋ったりしないので飛沫やエアロゾルがそこまで多く舞わないことを考えるとお金をかけて換気量を増やそうというところまでは考えないのではないでしょうか。

必要以上の換気量を求めても、結局、感染者がそうでない人間と近い距離で接触して飛沫を浴びせてしまう状況やトイレでのふん口感染の対策をしなければ意味がありません。

また、寒い冬に外気を取り入れるために窓を開け放している例もあるようですが利用者の体が冷えて体調を崩すなど逆効果になることも考えられるため気温を考慮して実施する必要があります。

対策としての設備は

ウィルスの大きさはどれくらいか?ものすごく小さいです。

新型コロナウイルスは0.1μm程度という大きさと言われています。

ちなみにμmという長さの単位ですが1mmの1/1000という長さです。

「クリーンルームのお話」日本規格協会 より

ウイルスを捕捉できるような家庭用の空気清浄機なんかあるのかな、と思っていたところダイキンが0.3μmのものを捕捉できるという商品を発売しました。

0.3μmの微小粒子を99.97%捕集して紫外線で滅菌するという代物で、家庭用の商品でそこまでの能力のものが出てきたのか、と思いました。

しかし、これが発売してから間もなく0.0146μmの微粒子を捕捉できるというAirdogというメーカーの空気清浄機が発売されました。

もう、ほんとかよ?というレベルなのですが、ガンガン宣伝してます。

おそらくかなり売れているのではないかと思います。

いやでも、フィルターの性能が高いと言ってもそんな小さいものがこれで本当に補集できるのかあやしいですが…だって部品と部品の隙間があれば0.0146μmのものなんて入り込めると思うんですよね….隙間から通過している粒子もあると思うんです…考えすぎ?

いつか、メーカーの人から説明を開いてみたいですね。

とりあえず信じるものは救われるということでお勧めしてみてもいいかもしれません。

よくコロナ対策という名目で全熱交換器を宣伝されることがありますが、あれは寒い地域で給気と室内の温度差を緩和する意味では良いと思いますが特に換気量がアップするわけでもないし空気清浄機能力があるわけでもないので(フィルターはついていますがそこまで高性能ではない)私は取り立てておすすめすることはありません。

換気については法律で決められた換気量が確保されていれば、それ以上増やしたからと言って感染対策としての効果が上がるとはあまり思えません。

換気が足りないと思う場合は定期的に窓を開放するなどの工夫で乗り切った方が得策と思われます、ただし寒冷地では冷たい空気が流れ込むのが問題になるので注意が必要ですが。

全く換気設備がない、という場合は設置した方がよいかもしれません、単純にそれは違法建築の可能性もありますから建築や設備に詳しい方に相談してもよいと思います。

あとは、カラオケ屋さんは飛沫が飛ぶ量はどうしても多くなりそうなので心配であれば換気量を増やして、それを宣伝して少しでもクリーンなイメージを伝えるという考え方はありだと思います。

ウイルス感染ルートと感染対策としての設備について〜その1〜

以前、排水設備についてSARSの感染ルートも絡めた話として記事に書きました排水設備の機能について〜SARSはトイレから〜 。

これは「感染症の世界史」という本に数ページ書いてある内容と自分自身の仮説をもとに書きました。

というのは、香港の高層マンションでSARSの集団感染が発生した話についてはその情報をネットで調べて補足すればよいと考えていたのですが調べてもこの話題がまったく出てこなかったのです。

あきらめて、自分の仮説、まあ、いわば妄想で補足しながら記事を無理矢理書いたので、いつもの駄文にさらに輪をかけてショボい文章になってしまったわけですが。

最近、空調衛生学会誌の切り抜きを先輩からいただいたら、そこに、この香港高層マンションのSARSの話題が書いてあり、目を皿のようにして読んだわけです。

丸岡ジョーさんによるphoto AC よりの写真

SARSはふん口感染していた

香港のアモイガーデンという高層マンションで2003年に集団感染が発生しました。

SARSウィルス(SARS-CoV)が排水管内から浴室の破封したUトラップを経由し換気扇を通じてライトコートへ排出され給気とともに各戸へ侵入して感染拡大していきました。

空調衛生学会誌 第95巻 第6号 に掲載の「トイレ空間におけるCOVID-19の感染リスクと防止に向けた研究動向と課題」(関東学院大学 大塚雅之)より資料をそのまま添付します。

図を見るとウイルスがどのように拡散したかよくわかります。

これは、ふん口感染と呼ばれるもので排泄物中に含まれるウイルスの一部が直接、あるいは手指を経由して体内へ取り込まれる感染ルートになります。

2020年2月、ダイヤモンドプリンセス号の船内で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の集団感染が起きた際に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のRNAが船内の各部所から検出されました。

浴室内トイレ床 13室 (39%)

枕 11室(34%)

電話機 8室(24%)

机  8室(24%)

上記のように浴室トイレ内での検出頻度が高い結果となっています( 空調衛生学会誌 第95巻 第6号 より)。

大便器洗浄をする際の洗浄水の飛沫による汚染も指摘されています。

洗浄水は便器から20cm以上の高さまで飛沫が飛びます

でも、コロナウイルスって感染者の肺炎による飛沫感染や空気感染によるものではなかったの?という疑問を持たれた方もいると思います。

コロナの受容体ACE2は腸内にもっとも多く存在する

ここからの話は井上正康教授(大阪市立大学名誉教授)の「新型コロナが本当にこわくなくなる本」などを参考にして進めていきます。

新型コロナウイルスは体内の受容体によって細胞内へ取り込まれることにより感染に至ります。

この受容体はそれぞれのウイルスによって異なります。

インフルエンザウイルスの受容体は気管支粘膜や肺胞細胞の表面に多く存在するシアル酸という糖タンパク質です。

インフルエンザは気管支や肺胞の内側から感染することで肺炎を誘発します。

では、新型コロナウイルスの受容体は何か。

アンギオテンシン変換酵素(ACE2)という酵素タンパク質です。

このACE2は人体中の小腸や大腸に最も多く存在します。

以下に示したACE2受容体の相対的組織濃度のグラフで組織濃度の比較を確認できます。

井上正康教授の講演資料より

新型コロナウイルスは、体内の腸からACE2受容体によって血管内表面の細胞内に取り込まれてそこでRNA遺伝子コピーを増産します。

さらに新たなスパイクタンパクと細胞膜をまとったコロナウイルスが細胞外へ飛び出します。

この時に血管壁の細胞を傷つけるためにその障害部位を覆うために血液が凝固して血栓が生じます。

その血栓は血液に乗って門脈を通って肝臓へ至ります。

血栓は肝臓で処理されますが、すり抜けるものもあります。

そのすり抜けた血栓が肺に集まり肺の血管に詰まります。

この状態で肺のCTを撮影するとスリガラス状の影が写りますが、肺の予備機能が大きいため息苦しさは感じずに無症状で経過します。

インフルエンザでもこのスリガラス状の影が観察されますが、この場合は肺組織での強い炎症反応が原因なので大半は高熱や息苦しさで大変な思いをされます。

もちろん新型コロナでも重症化しサイトカインストームと言われる状態になれば血栓が多くなり肺の血管に詰まるため呼吸が苦しくなってICUの人工呼吸器で酸素を取り込む処置が必要になります。

さらに、肺の血管が血栓で塞がれているため人工呼吸器でも効果が得られず、ECMOにより体外循環によるガス交換が必要になることもあります。

同じ肺炎でもそれに至るプロセスはインフルエンザと新型コロナでは違うということがわかります。

感染者の咳などによる飛沫感染や空気感染のイメージが強いですが、それはインフルエンザのイメージを引き継いでいるものであり新型コロナウイルスはトイレからの感染もかなり発生している可能性を考慮する必要があります。

感染対策として考えられること

新型コロナは小腸や大腸から感染が始まるのでウイルスは便と一緒に体外へ排泄されます。

つまり、トイレでの暴露も重要な感染ルートになっているということです。

すると、香港のアモイガーデンでの集団感染が排水設備の不備が原因だったこともダイヤモンドプリンセス号で浴室トイレ内におけるウイルスの検出頻度が高かったことも辻褄が合ってきます。

井上正康教授は手洗いうがいなどの対策に加えてトイレをこまめに消毒・洗浄することも対策のひとつに加えることをご自身の著書などで述べています。

感染対策となり得る設備についてですが、最新のPanasonicアラウーノ大便器には便座の蓋を閉じてから洗浄する機能が追加されています。

画像クリックでPanasonicのページにリンクします
画像クリックでPanasonicのにリCM動画にリンクします

この便器であれば洗浄水の飛沫による汚染は抑えることができます。

洗浄後に便蓋の消毒も忘れずに行っていただきたいです。

このような商品をおすすめすることがお客様の安心につながるのであれば積極的におすすすめするべきです。

もちろん、トイレ内の消毒・清掃についてもこまめに実施していただくことも説明に付け加えておすすめするとよりよい感染対策になるはずです。

スプリンクラーヘッドと周辺部材について

今回は仕事で設計の方から質問がありスプリンクラーヘッドのことについて調べたので、そのついでにスプリンクラーヘッド及びその周辺の部材についてブログに書くことにしました。

たまに見かけるスプリンクラーヘッドの上についているまるいお皿について。

これは集熱板だと、みんなそう呼んでいたはずなのですが。

しかし、2年前に行った消防設備士の免許更新の講習で実はこれは集熱板ではないという、かなり衝撃の事実を知らさせて個人的にはびっくりと言うか、そぉなんだ、と思わされたことがありまして…。

tsu234ta によるPhoto AC よりの画像

集熱板というものは存在しない、今は防護板と呼ばれている

集熱板と言われたら字のごとく、火事などになった際にその熱を受け止めてヘッドへ伝えることにより間違いなく作動するために設置するものと思っていました。

しかし、講師の方が実験の結果、集熱板と呼ばれていたまるい板にはあまり集熱効果がないことがわかった、という話をし始めたので眠気が吹き飛んだのですが。

最近では集熱板とは呼ばずに防護板と呼んでいるとの説明。

更新講習のテキストにも集熱効果が認められないという記載があり、思わずアンダーラインを引いてしまいました。

防護板の設置例 消防設備士講習用テキスト消火設備より

読んでみると、平成10年(1998年)には他のヘッドからの被水を防止するものと位置付けられたと書いてありますから、ずいぶん前から集熱板ではないという話はあったことがわかります。

それで昔、消防設備士の試験勉強をした時の問題集H13年版ですが、これも見てみたら、もうすでに集熱板ではなく「ほかのスプリンクラーヘッドから散水された水がかかるのを防止する装置」と書かれていました。

ということは‥集熱板という認識は逆にただ私の思い込みだったということになります。

いや、試験勉強する時点ですでに集熱板という名称は出てきていないので、自分の記憶力や事実の認識がいかに適当で曖昧かを再認識させられました。

でもね、15年前くらいでしょうか、そのころスケルトンで施工した現場で集熱板をつけなさいと上司から言われて何個か発注して取り付けた記憶があります、絶対「集熱板」と呼んでいました。

呼び方も、取り付ける目的も間違っていたということになりますが‥。

まあ、当時の消防検査も通ったし、いまはそのお店も存在していないから完全に過去の歴史として闇に葬りますが。

とにかく、スプリンクラーヘッドの上のまるいお皿は防護板という名称で他のスプリンクラーヘッドの放水による被水を避けるためのものであるということです。

防護板の設置例 消防設備士講習用テキスト消火設備より

スプリンクラーヘッドの種類について

ヘッドの種類について、上記の表のようになります。

閉鎖型ヘッドの1種と2種というのは感度の種別のことで、1種はr=2.3m以上、高感度であればr=2.6m以上のものもあります。

2種はr=2.3mでr=2.6m以上のものは設置できません。

消防設備士1類の試験でもよく問われる内容になりますがヘッドの表示温度と最高周囲温度についての表が以下になります。

ヘッド本体の集熱部あるいはデフレクターの中心部に色別されています。

スプリンクラーヘッドの設置個数と必要水源水量

スプリンクラーヘッドの必要個数、この個数は火災時に同時開放するヘッドの個数です。

これは防火対象物の種類とヘッドの種類により下の表のようになります。

防火対象物とヘッドの種類によるヘッドの必要個数 衛生設備計画設計の実務の知識より

また、必要となる水源水量は上の表から算出した個数に下記の表の右の欄の水量を掛け算して求めます。

ヘッドの種類と必要水源水量 衛生設備計画設計の実務の知識より

例えば地階を除く階数が8階の事務所ビルの場合、標準型ヘッドであれば必要な個数は10個です。

必要な水源水量は

1.6m3/個 × 10個 =16m3

となります。

ヘッドの必要個数は10階までの建築物であれば10個、11階以上だと15個になります。

建築物の床面積に比例して増えるような考えではなく、初期消火にどれくらいのヘッドが必要か、という考え方であることを覚えておいた方が良いです。

改修工事などで床面積が多少増えたからといってスプリンクラーの水源水量まで増えることはあまりないということです。

排水通気配管について

今回は通気配管について書きます。

通気配管については正直に言うと店舗工事の場合、床下の納まりも厳し過ぎるし、どこかで通気立上げるとしてもその場所を確保できない、どうやって通気とるの?という現場がほとんどなのでまともに通気をとれていないという現実があります。

とれる場合はとっていますが、最悪はドルゴ通気頼みという現場がほとんどではないでしょうか。

ドルゴ通気弁は配管内が負圧になった場合しか機能しないので本当の通気の役割を果たしているのかわかりませんが、ないよりはあった方が良いということで取り付けています。

案件によってはドルゴ通気弁の使用を禁止していたりする場合もあるので注意が必要ですが。

まずは通気の取り方の種類から説明していきます。

筆者撮影

代表的な排水通気方式

1.ループ通気方式

ループ通気方式の例

上の図のように最遠の排水器具のトラップの下流で分岐をとり、立ち上げて通気立管にまで延長して接続する形をとります。

通気横間の通気立管への接続高さはそのフロアの最高位の衛生器具のあふれ縁から150mm以上、上方向に離した位置で接続します。

これは万が一、排水管が詰まって器具が満水になってしまったとしても通気配管内へ汚水や雑排水が流れ込まないようにするためです。

この接続高さは気を付けていないと意外と最高位のあふれ縁より下だった、ということもあるので施工時によく確認する必要があります。

2.各個通気方式

この方式は、各器具のトラップから通気を延長して通気横菅にそれぞれ接続するというかたちですが現実的にこの方法で施工している現場を私は見たことがないです。

器具ひとつづつから通気管をとるような施工は想像してみただけでも納まりが悪いし現実的にそのような配管スペースを意匠上確保できない現場がほとんどでしょう。

この方式は指定されない限り現実的に採用されることはほぼないので説明を省きます。

3.伸長通気方式

この方式は通気立管を省略して排水立管上部の伸長通気管のみを用いて通気を行う方式です。

ただし排水立管下部の正圧緩和機能や横枝管内の負圧緩和機能がループ通気に比べて劣り許容流入値も小さくなるため以下の点に留意する必要があります。

1.通気管路には過度の通気抵抗を持つ部材を使用してはならない

2.排水立管にはオフセットを設けてはならない

3.排水立管と排水横主管の接続には大曲ベンドまたはそれと同等以上の性能を持つ継手を使用する

4.排水横主管の水平曲がりは排水立管の芯から3m以内は設けてはならない

5.複数の排水立管を同一の排水横主管に接続する場合は排水横主管に十分な通気を設ける

6.排水横主管または敷地排水管が満流にならない場合は伸長通気方式を使用してはならない

7.排水立管の高さが30mを超える場合はSHASE-S218集合住宅の排水立管システムの排水能力試験法により把握できた排水能力値を許容流量値としその範囲内で使用する。

4.特殊継手排水システム

伸長通気方式の一種で特殊な継手を設けて配管します。

排水管を立管に接続する特殊継手は管内の負圧を緩和するために流速を抑えて流れるようにします。

排水立管と横主管の接続部には正圧を緩和するための特殊継手を設置します。

一般に高層、超高層の集合住宅やホテルで採用されています。

特殊継手のメーカーによって許容流入量値が異なるので確認が必要です。

特殊継手の参考として、クボタケミックスの集合管のカタログの抜粋を以下に掲載しておきます。

クボタケミックスのHPより

排水通気配管の例

排水通気配管の例

教科書には低位通気管は避ける方がよいと書いてありますが、横引き配管は低位通気管として床下を配管するのが現実的な方法です。

できるだけ長さを短くするしかありません。

店舗工事の場合は木工事で床上げすることが多々ありますが、スラブと床の仕上げの間でなんとかするかです。

なのですが、現実は排水管ですらぎりぎり納まるかどうかという現場がほとんどで通気管配管ができない…というかそもそも計画に考慮されていないことがほとんど、というのが現実です。

通気管をとる場合は排水管の真上から45°以内で取り出すので床仕上げが排水管ぎりぎりになっていると、どうしても無理があるのです。

先ほども述べた通り通気立管に接続する位置はそのフロアのあふれ縁から150mm以上上で接続します。

通気管を横引きする場合も内部の水分が溜まらないように勾配をとって配管し、途中でアップダウンさせるような配管はしないようにします。

補助的な通気方式となりますがドルゴ通気弁を使用することが店舗工事ではかなりあります。

ただしドルゴ通気弁は排水管内の負圧の緩和はできますが正圧の場合は臭気の流出を防ぐため閉じる機構になっているので正圧の緩和はできないと覚えておいてください。

森永エンジニアリング㈱のHPより

排水通気配管の図をもう少し補足しておきます。

排水立管の上部の最上階の横管の接続部分より上の部分の立ち上がりと解放部分までを伸長通気と呼んでいます。

この部分は縮小させずに排水立管径のまま立ち上げます。

また、汚水槽の通気は単独で配管します。

汚水槽はポンプアップするときに汚水槽内が急激に負圧に変動します。

この変動の影響を受けないようにするため、他の通気管とは切り離して考えて単独で外部へ解放する必要があります。

今回はこのあたりまでにしておきます!

排水については意外と論点が多いので次回も排水について書こうと思っています。

雨水管の配管サイズを選定する

今年も梅雨入りしました。

雨に関する内容ということで今回は雨水配管の配管サイズ選定などについて説明したいと思います。

と言っても、いままで季節にちなんだテーマで書いたことなどないのですが…紫陽花がきれいだったので雨に関する内容を書こうかなと思ったわけです。

簡単なモデルを使って計算していきます。

筆者撮影 

簡単なモデルで配管経を選定してみる

図に示したa~dの配管径を求めていきます。

ただし最大雨量は80mm/hとして考えていきます。

表1 雨水立管の管径
表2 雨水横管の管径 給排水衛生設備設計計画の実務の知識より

aの配管径:受け持つ屋根面積は3×4=12m2です。

表1を参考に立管の管経を選定しますが、この表は100mm/hの場合の数値になるので80mm/hの場合は80/100をかけて換算します。

よって12×(80/100)=9.6m2となります。

表1より配管径は50Aを選定します。

bの配管径:bの立管は屋根面にと壁面にあたって落ちてくる雨水も受け持つことになります。

垂直壁面はその面積の半分を計算に参入していきます。

面積の合計は 12+(4×4)×0.5+4×18=92m2

80mm/hなので 92×(80/100)=73.6m2となります。

表1より配管径は65Aを選定します。

cの配管径:受け持つ面積は上記の計算より73.6m2です。

表2より75A 勾配1/100 で選定します。

dの配管径: 排水ポンプからの250L/minをどう考えるかですが、この250L/minをいったん雨水を受け持つ屋根面積に逆に換算します。

雨水負荷流量1L/sごとに雨水100mm/hにおいて36m2の屋根面積とします(SHASE-S206 -2009より80mm/hであるかどうかなど関係なく100mm/hの時を基準で屋根面積換算する)。

よって 250/60×36=4.17×36=150m2

これにcの配管径を求めるときに算出した73.6m2をプラスします。

150+73.6=223.6m2

表2より配管径125A 勾配1/200 で対応可能ということがわかります。

雨水排水量は汚水よりも多い

雨水排水の量は汚水よりも大量になります。

ゲリラ豪雨のような大雨が降った場合を想像するとわかると思いますが一気に大量の雨水が流れ込んでくる可能性があるのです。

よって、雨水配管は建物内では必ず汚水雑排水系統とは分けて配管します。

大雨の時に雨水が逆流して大便器などからあふれ出るようなリスクを回避するためです。

雨水配管を外部で汚水配管に合流させる場合、東京都など都市部ではほとんどこの方法で排水していますが、臭気が上がってこないようにトラップますを設置して合流させます。

あるいは汚水ますに接続する手前で配管でUトラップなどを組むかですが、とにかく臭気などの影響を防ぐための処置が必要となります。

ということで、簡単に説明しましたが参考にしていただければと思います!

排水負荷計算について

店舗工事においては店内の排水管を新規で配管して既存排水管の立ち上がりなどへ接続することがよくあります。

新築工事の場合はそれなりに排水管サイズも考慮された計画がされているのですが、築何十年かの物件で立ち上がっている既存排水管を利用しようとする場合、そのサイズが細い場合がかなりあります。

この排水管使えますか、と現場調査依頼いただいたお客様から聞かれたりするのですがサイズによっては即答で「使えません」と答えざるを得ません。

今回のテーマは排水管サイズの判断基準としての排水負荷計算についてです。

ラッキーエースさんによるphotoAC よりの画像

簡単なモデルで計算してみる

まずは教科書にならって排水負荷単位数から排水管サイズを選定していく方法を以下に示します。

ここでは、図のような衛生器具が配置されたフロアが10フロアの10階建てと仮定して計算していきます。

表1:器具排水負荷単位数

給排水衛生設備計画設計の実務の知識より

表2:排水枝管および排水立管の許容最大器具排水負荷単位数

給排水衛生設備計画設計の実務の知識より

①の枝管について、表1より小便器の負荷単位数は4で2台設置されているので 4×2=8

表2より50Aだと負荷単位数6まで、65Aで12まで許容できるので65Aを選定します。

②の枝管については同様に大便器(公衆用)で6、2台なので12ですが大便器の接続が75Aなのでそれより細い管は使用しないので75Aで選定することになります。

③については洗面器の負荷単位数1より2台で2なので40Aとなります。

④について負荷単位数合計22になるので100Aとなります。

⑤について負荷単位数合計23.5になるので100Aとなります。

⑥について負荷単位数合計22+23.5=45.5なので100Aとなります。

⑦立管について45.5の排水負荷単位数のフロアが10フロアあるので合計で455となります。

表2の右側の3階を超える欄を確認すると立管100Aで500まで許容できるので立管は100Aを選定します。

また1フロアあたり45.5で1階分の負荷単位数合計が90を超えていないことも確認しておく必要があります(表2の一番右の欄を確認)。

最後に表3で排水横主管、敷地内への引き込み管口径について確認しておきます。

表3 排水横主管および敷地排水管に接続可能な許容最大器具排水負荷単位数

給排水衛生設備計画設計の実務の知識より

排水負荷単位数合計455より勾配1/100とるものとして150Aで700まで許容可能なので引き込み口径は150Aとします。

実際の設計をする場合は負荷単位数による計算よりも少し安全をみている部分があります

排水モデル図の②の枝管については排水負荷単位数をもとにした考え方では75Aにしました。

しかし、実際に設計する場合は大便器を2台以上受け持つ排水枝管については100Aで描いてしまいます。

とくに店舗の設備設計においては大便器2台が合流するのであれば、その枝管は100Aにしておいた方がよいです。

飲食店においてですが、事務所に比較して使用頻度が高くなり詰まりなどのトラブルの頻度も多いので。

店舗のトイレ詰まりメンテナンスで呼ばれて対応したことも何度かありますが、携帯電話はよく詰まっていることありますね‥ガラケーが多いイメージです。

あとはメガネもありました、まあこれらは配管径がどうこうの話ではなく大便器のトラップに引っかかっているのですが。

また、ここ最近は節水型の便器が主流ですがこれも排水の詰まりの一つの原因になっていますね、メーカーに言っても認めてはくれませんが確実にこのトラブルは増えています。

使用したティッシュなどの固形物の量に対して節水型の4Lや5Lという水量が少ないため固形物が搬送されずに配管の途中で留まってしまうという現象が起きています。

配管の横引き長さが長いとこのトラブルが起きる可能性は上がるのでなるべく横引きを短くできればよいですが、なかなかそうもいかない現場も多いです。

お客様の使用の仕方として、何回か流すようにしていただくという場合もあります、これはもう頭を下げてお願いをしている感じの最後の手段的な話になります。

あとは、節水型便器とは言ってもほとんどの機種で流量調整はある程度できるので7Lや8Lまで設定を変えて流量を増やすことも可能です。

これで解決してクレームが止んだ現場もあるので試してみていただければと思います!

排煙設備について〜2~排煙口サイズやダクトサイズの選定

前回に引き続いて排煙設備の話をしていきます。

今回は機械排煙の風量設定、排煙口のサイズ選定、ダクトサイズ選定など。

排煙ダクト内の風速の考え方について過去の失敗から学んだことも紹介しておきます。

筆者撮影

排煙風量は1m2あたり60m3/h

排煙風量についてどのように決定するかですが簡単な計算で決めています。

排煙したい居室などの面積1m2あたり60m3/h(1m3/min)で計算して決めます。

100m2の居室に対して必要な排煙風量の計算については

60[m3/h ]× 100[m2] =6000[m3/h]

となります。

100m2に対して6000m3/hですから、かなり大きい風量です。

100m2つまり30坪程度の店舗などざらにあります、さらに60坪となると約12000m3hの排煙風量が必要ということになります。

ダクトサイズについてはダクト内風速を15m/sで考えた場合

ダクト断面積は 12000m3/h÷3600s/h÷15m/s=0.22m2

正方形の場合の一辺は √0.22=0.47m

よって470mm×470mm、切りよく現場では500×500のダクトサイズでしょうか。

10m/sで考えると同様の計算で580mm×580mm、現場では600×600など切りよい数字で図面に書き込む感じです。

納まりがきつければ逆に550×550にするかもしれません、むしろ実際の施工の際は納まりに加えて予算などの都合も絡んでサイズをギリギリまで落とそうとする傾向の方が大きいですから余裕をみることはなかなかできないかもしれません。

排煙口のサイズについては排煙口が解放した時の面風速8m/s程度で考えて選定します。

例えば6000m3/hの排煙口のサイズを検討する場合

排煙口面積は 6000÷3600÷8=0.21m2

排煙口が正方形の場合の一辺は √0.21=0.46m

切りよく450mm × 450mm を選定などします。

排煙ダクトのダクト内風速は8〜10m/sで抑えて計画した方がよい、最悪でも12m/sまで

排煙風量は計算するとかなり大きな風量になることはわかりました。

それに伴ってダクトサイズも大きくしなければならないのですが、現場での制約があり、大きなダクトサイズでの計画ができないことがかなりあります。

天井ふところに納まらない、外部を立ち上げたいが隣地境界が近すぎて大きなサイズを立ち上げるだけの余裕がないなど、このような問題がほとんどの現場で出てきます。

このような事情を知ってか知らずか、排煙ダクト内の風速は換気ダクトよりも速い風速で考えてよいことになっています。

風速が早ければダクトサイズは小さくなります。

ダクト内風速の許容値(低圧ダクト)空気調和設備計画設計の実務の知識より

上の資料はダクト内風速と静圧について でも紹介していますが表の下の方に排煙ダクトはダクト内風速20〜15m/sと記載があります。

私自身は換気ダクトについては6〜8m/s程度で考えて計画できればよいと思っています。

風速20m/sまで許容されればダクトサイズはかなりコンパクトにできます。

しかし、現実20m/sでの計画は避けた方がよいです。

若かりし頃、設計施工の改修工事で10F建の8F部分の排煙ダクトの改修工事を教科書に書いてある通りに20m/sで計画して工事したところ、試運転時に風量が予定の半分くらいしか出ていないということがありました。

冷や汗が止まらなかったですが。

この是正工事は困難でした。

天井に何回もぐったかわかりません。

バイパスでなんとかダクティングして、関係者のみなさんの協力を得ながらなんとかギリギリ風量確保することができました。

思い出したくもないですね、解決まで1年くらい引っ張ってしまった案件でかなり精神的にもやられましたからね…。

竹中工務店の設備担当の方と打合せをして、この建物の排煙ダクトの風速はどれくらいで考えて設計しているのか問い合わせたところ、あっさり「10m/s程度ですよ」と答えが返ってきたことはいまも覚えています。

ちなみに、この改修工事を進めるときに既存の排煙設備図面がないため全体が把握できずにかなり困っていて、仕方なく建築した会社に問い合わせた、という経緯になります。

この建物の4Fでも改修工事が少しずれた時期にあって排煙ダクト内風速を8〜10m/sで設計したところ、この階は問題なく風量確保できました。

要するに、言いたいことは排煙ダクトの風速は通常の換気ダクトと同程度かやや速いくらいの風速で計画するのが無難です。

そして、20m/sという風速を出そうとするのはシロッコファンの能力をあげても無理がある、というのが実感です。

いけて15m/sではないでしょうか。

設計するときは基本は8〜10m/sで考える。

最高でも12m/sで計算するというのが現実的なライン、というのが経験から得た感覚です。

排煙風量計算の例

話を風量計算に戻します。

排煙ファンの風量は以下の条件を満たすものとします。

1.1防煙区画のみを対象とする場合は7200m3/h以上でかつ防煙区画の床面積×60m3/h以上

2.2以上の防煙区画を対象とする場合7200m3/h以上でかつ最大防煙区画の床面積×2倍×60m3/h以上

計算例の図を以下に示します。

カラオケ屋さんなど小部屋がたくさんあるような業態で100m2以下不燃仕上げで逃げられない地下階で各カラオケルームに排煙口を設けることがあります。

この場合は10ルームまとめて同時開放で計画されたりします。

現場の状況によって排煙の計画もまったく違うので臨機応変に対応しましょう!

排煙設備について~1~排煙設備の設置基準と構造概要

火災が起きた時に火傷によって死亡するイメージがありますが、実は煙を吸い込むことによる呼吸困難からの窒息が原因で亡くなる方が多く存在することはよく知られています。

防災設備のひとつとしてその建築物の用途や規模によっては排煙設備を設置しなければなりません。

排煙設備の設置基準は建築基準法と消防法に定められています。

排煙窓を開けて煙を排出する自然排煙と排煙ファンで強制的に排出する機械排煙がありますが、今回は主に機械排煙についてその概要を説明していきます。

天井に設置された排煙口 筆者撮影

建築基準法における排煙設備の設置基準

建築基準法における排煙設備の設置対象については以下の表になります。

特定の人が使用する建築物や天井が高く広々としている建築物については設置が免除されています。

不特定多数の人の使用が見込まれる、ある程度の規模の建築物には基本的に排煙設備が必要だと考えたほうがよいです。

設置義務免除部分の要件①~⑩が下記の表になります。

建築基準法施行令126条の2、平成12年建設省告示第1436号より

消防法における排煙設備の設置基準

消防法においては用途と面積で設置するかどうか決められています。

劇場、集会場等は舞台部床面積≧500m2

キャバレー、遊技場、性風俗関連特殊営業店舗、カラオケボックス、百貨店、車庫、これらを含む複合用途施設、などは地階または無窓階床面積≧1000m2

この条件で排煙設備を設置しなければいけません。

消防法施行令より

不特定多数の利用が見込まれる建築物には設置が必要になると考えたほうがよいです。

排煙設備の設置については建築基準法と消防法の両方の条件を満たすようにしなければなりません。

地階(地下の階のこと)には用途によって排煙設備(地下なので機械排煙になる)が必要になるので気をつけたほうがよいです。

また、31mを超える室において準耐火構造の壁で100m2以内に仕切れない場合、経験上だいたいそれは設計計画上やらないか予算上やらないので31mを超える位置にある室については排煙設備の緩和が適用されず、何らかの排煙設備が必ず必要になると思っていたほうがよいです。

排煙設備の構造概要

排煙の区画は最大500m2で排煙垂壁などで区画します。

排煙垂壁は50cm以上(地下街の場合80cm以上)とします。

TEIJINのwebサイトより 不燃シート防煙垂壁

排煙口は歩行距離で30m以内をカバーするように設置します、30mを超える部分があれば排煙口をプラスしていきます。

排煙口は排煙ダクトに直結します、排煙ダクトは不燃材で作製し防煙壁を貫通する場合は隙間をモルタル等不燃材で隙間なく埋めます。

排煙口は通常閉鎖されていて開放装置により開放します。

開放装置は床から0.8~1.5mの位置に設置します。

排煙風量は1m2あたり60m3/hで計算しますが風量やダクトサイズの選定などについては次回説明していくことにします!

結露対策〜4〜夏場の結露いろいろな事例と露点温度計算

最近は5月でも真夏日が記録されることもあり夏本番となると熱帯のような高温多湿となる日があります。

条件によっては気温35℃相対湿度80%となるようなこともありますがこのような日は当然、冷房をガンガンかけて室内を冷やします。

ところで、35℃80%の空気の露点温度は何度かわかるでしょうか。

答えは31℃です。

冷房の設定温度はクールビズとは言っても28℃程度には設定していると思いますから設定温度に達したら露点温度以下なので、そりゃどこかが結露しますよ…というのが設備屋さんの本音でしょう。

そして、室内あるいは室外の場合もありますが、いたるところで結露が発生して、設備屋さんがメンテナンスに呼ばれるわけです。

施工不良が原因の場合もあるので、その時はもう、すぐに謝って是正工事です。

謝り方も年齢を重ねるごとに上手くなっていくものです。

しかし、これはこちらの過失なのか…?と思う微妙な場面もかなりあります。

そんな時にその後の対策を考えるうえで結露に関する知識が少しでもあるのとまったく無いのとでは差が出てきます。

お客様に解決策を素早く提案して、かつ、こちらの過失は50%くらいかな?という雰囲気をただよわせながら交渉してメンテナンス対応にかかった工事費全てはいただけなかったにしても材料と人工代になるくらいは工面できそうな金額はいただけたとなれば、少しでも苦労が報われるというものです。

Michiko Design さんによるPhotoAC よりの画像

夏場の結露はいたるところに現れる

夏場の結露は条件がそろえばいつでもどこにでも現れます。

結露対応とうたわれている製品でも条件次第で結露します。

メーカーの資料を調べてみると、結露しませんとは書いてはありせん。

カタログなどにこれ以上の条件になると結露しますよ、という説明が書いてあり、やはり条件の悪い場所で使用した場合、特に夏場になると結露したという話が耳に入ってきます。

結露対応のブリーズラインも条件次第でけっこう結露します…
結露対応のパンカールーバーですがこれも条件次第で結露します
断熱材付きのパンカールーバーの方が断熱材の厚みにもよりますが、このタイプよりももう少し悪条件でも使えます

空調機のパネルの際や空調吹出し制気口の際でカビが生えたりするケースもあります。

空調吹出し口まわりの結露によるカビの様子
空調機パネルの際での結露したことによるカビの様子

冷房時にパネルや制気口自体が低温になっているため際で室内の空気や天井内の空調されていない空気のと温度差で結露していると思われます。

天井内でEAダクトが結露し水分が滴下し、その跡がカビて天井面に出てきたのが下の写真です。

天井内の空気がかなり高温多湿の状態になっていたようですが、最高気温35℃程度が何日か続き降雨もあった夏場に発生した模様。

近くに空調吹出口が設置されていて冷やされたスチールドアが結露した様子が下の写真です。

例をあげるときりがないのでこの辺にしておきます。

共通して言えることは、結露した物の表面温度がまわりの空気の露点温度以下になっていたから結露したということです。

露点温度算出す

結露している場所、あるいは結露することが予測される場所のまわりの温度と相対湿度を測定すれば露点温度を算出することが可能です。

なのですが、先に言ってしまうと計算式がとてつもなく複雑で自然対数の計算も入ってくるので手計算での算出は無理です。

なので計算式をエクセルで作成して温度と相対湿度を入力すれば自動で露点温度が出るようにしておくしかありません。


td=13.715×LN((6.11×10^(7.5t+237.3))×U/100)/611.213))

+8.462×10-1× (LN((6.11×10^(7.5t+237.3))×U/100)/611.213)))2

+1.9048×10-2× (LN((6.11×10^(7.5t+237.3))×U/100)/611.213)))3

+7.8158×10-3× (LN((6.11×10^(7.5t+237.3))×U/100)/611.213)))4

td:露点温度[℃]

t:温度[℃]

U:相対湿度[%RH]


‥‥いやこの式を解説などする気は一切ありません。

こういう式で露点温度は算出できるんです!

とりあえずエクセルに式をブチ込むしかありません。

ちなみに式の中の LNは自然対数(log e底の計算)で10^は10のべき乗をあらわします、つまり10^2は10の2乗です。

また、空気線図を使用すればおおよその露点温度はわかります。

結露が起きてしまった部分のまわりが何度で湿度が何%か温湿度計で計測して露点温度が何度か算出する。

そして冷媒管の断熱材の表面を表面温度計で計測する。

露点温度と表面温度を比較すれば、再び結露が起きそうかどうかがわかります。

数字を提示しながら対策を提案していくとお客様の信用度は上がります。

数字が示されていると、どこを目標にすればよいかがわかりやすいため安心するのかもしれません。

当然、机上の計算だけでなく現場をよく確認、観察して考えてみることは大事です。

現実を見誤っていたら、いくら計算ができても正しい対策はできないので!