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結露対策〜4〜夏場の結露いろいろな事例と露点温度計算

最近は5月でも真夏日が記録されることもあり夏本番となると熱帯のような高温多湿となる日があります。

条件によっては気温35℃相対湿度80%となるようなこともありますがこのような日は当然、冷房をガンガンかけて室内を冷やします。

ところで、35℃80%の空気の露点温度は何度かわかるでしょうか。

答えは31℃です。

冷房の設定温度はクールビズとは言っても28℃程度には設定していると思いますから設定温度に達したら露点温度以下なので、そりゃどこかが結露しますよ…というのが設備屋さんの本音でしょう。

そして、室内あるいは室外の場合もありますが、いたるところで結露が発生して、設備屋さんがメンテナンスに呼ばれるわけです。

施工不良が原因の場合もあるので、その時はもう、すぐに謝って是正工事です。

謝り方も年齢を重ねるごとに上手くなっていくものです。

しかし、これはこちらの過失なのか…?と思う微妙な場面もかなりあります。

そんな時にその後の対策を考えるうえで結露に関する知識が少しでもあるのとまったく無いのとでは差が出てきます。

お客様に解決策を素早く提案して、かつ、こちらの過失は50%くらいかな?という雰囲気をただよわせながら交渉してメンテナンス対応にかかった工事費全てはいただけなかったにしても材料と人工代になるくらいは工面できそうな金額はいただけたとなれば、少しでも苦労が報われるというものです。

Michiko Design さんによるPhotoAC よりの画像

夏場の結露はいたるところに現れる

夏場の結露は条件がそろえばいつでもどこにでも現れます。

結露対応とうたわれている製品でも条件次第で結露します。

メーカーの資料を調べてみると、結露しませんとは書いてはありせん。

カタログなどにこれ以上の条件になると結露しますよ、という説明が書いてあり、やはり条件の悪い場所で使用した場合、特に夏場になると結露したという話が耳に入ってきます。

結露対応のブリーズラインも条件次第でけっこう結露します…
結露対応のパンカールーバーですがこれも条件次第で結露します
断熱材付きのパンカールーバーの方が断熱材の厚みにもよりますが、このタイプよりももう少し悪条件でも使えます

空調機のパネルの際や空調吹出し制気口の際でカビが生えたりするケースもあります。

空調吹出し口まわりの結露によるカビの様子
空調機パネルの際での結露したことによるカビの様子

冷房時にパネルや制気口自体が低温になっているため際で室内の空気や天井内の空調されていない空気のと温度差で結露していると思われます。

天井内でEAダクトが結露し水分が滴下し、その跡がカビて天井面に出てきたのが下の写真です。

天井内の空気がかなり高温多湿の状態になっていたようですが、最高気温35℃程度が何日か続き降雨もあった夏場に発生した模様。

近くに空調吹出口が設置されていて冷やされたスチールドアが結露した様子が下の写真です。

例をあげるときりがないのでこの辺にしておきます。

共通して言えることは、結露した物の表面温度がまわりの空気の露点温度以下になっていたから結露したということです。

露点温度算出す

結露している場所、あるいは結露することが予測される場所のまわりの温度と相対湿度を測定すれば露点温度を算出することが可能です。

なのですが、先に言ってしまうと計算式がとてつもなく複雑で自然対数の計算も入ってくるので手計算での算出は無理です。

なので計算式をエクセルで作成して温度と相対湿度を入力すれば自動で露点温度が出るようにしておくしかありません。


td=13.715×LN((6.11×10^(7.5t+237.3))×U/100)/611.213))

+8.462×10-1× (LN((6.11×10^(7.5t+237.3))×U/100)/611.213)))2

+1.9048×10-2× (LN((6.11×10^(7.5t+237.3))×U/100)/611.213)))3

+7.8158×10-3× (LN((6.11×10^(7.5t+237.3))×U/100)/611.213)))4

td:露点温度[℃]

t:温度[℃]

U:相対湿度[%RH]


‥‥いやこの式を解説などする気は一切ありません。

こういう式で露点温度は算出できるんです!

とりあえずエクセルに式をブチ込むしかありません。

ちなみに式の中の LNは自然対数(log e底の計算)で10^は10のべき乗をあらわします、つまり10^2は10の2乗です。

また、空気線図を使用すればおおよその露点温度はわかります。

結露が起きてしまった部分のまわりが何度で湿度が何%か温湿度計で計測して露点温度が何度か算出する。

そして冷媒管の断熱材の表面を表面温度計で計測する。

露点温度と表面温度を比較すれば、再び結露が起きそうかどうかがわかります。

数字を提示しながら対策を提案していくとお客様の信用度は上がります。

数字が示されていると、どこを目標にすればよいかがわかりやすいため安心するのかもしれません。

当然、机上の計算だけでなく現場をよく確認、観察して考えてみることは大事です。

現実を見誤っていたら、いくら計算ができても正しい対策はできないので!

結露対策〜3〜空調配管の結露

夏場の結露について、前回は天井内ダクトの結露について話しました。

今回は空調の冷媒管やドレン管の結露について、発生する原因と解決方法などについて考えていきます。

saki.zaki さんによるPhotoAC からの画像

断熱材の施工不良による結露

天井内配管の冷媒管が夏場に結露してしまいメンテナンス依頼が来ることはある程度の頻度であります。

これまで、いろいろな現場を見てきましたが原因として頻度が多いものをいくつか以下に列挙します。

冷媒管の断熱不良

冷媒管の一部分、断熱材の継ぎ目などで隙間ができてしまい銅管が露出状態になっていることがたまにあります。

冷媒管は長い距離を配管する時は当然、単管を継いでいくのですが断熱材も同様に継いでいきます。

断熱の継ぎ目を接続用テープで巻くのですが人間のやることなのでたまに巻き忘れがあって見逃したまま引き渡して隙間ができたままになっていることがあるのです。

そんなに環境が悪い物件でもないのに冷媒管の結露でメンテナンスが入ったらまず、この断熱の不良を疑ってみた方がよいです。

冷媒管の断熱が潰れている部分で結露

躯体の開口部に冷媒管をまとめて何本も通した結果、断熱材が潰れてしまい断熱材としての機能が発揮できず結露してしまうことがあります。

貫通部付近が結露水でビショビショになっている現場をこれまでにいくつか見てきました。

100φの開口部に9.5×15.9の冷媒管2系統など開口の大きさに対してある程度余裕をもって計画した方がよいです。

また、冷媒管が束で配管されている場合も吊りバンドで支持された部分で束の下の方にある配管の断熱材が重さで潰れてしまうため、結露することがあります。

その他、ダクトなどと接触して潰れるなど、とにかく断熱材が潰れた状態になっていないかの確認は大事です。

ドレン管の断熱不良

ドレン管も冷媒と同様に断熱の不良で結露します。

やはり断熱材の継ぎ目などで隙間ができてVP管が直接湿った空気に触れる状態だと結露します。

ただ、ドレン管は冷媒管ほど低い温度ではないのと冷媒管のように束にして配管することはないため問題となる頻度は比較的低いです。

温度差が大きければ断熱材の表面でも結露は発生する

断熱材の施工不良が原因の場合は、結露の発生箇所は局所的です。

結露水が配管伝いに拡がって、断熱の不具合がある部分からかなり離れたところから結露水が出ている場合もありますが。

断熱材の継ぎ目の隙間や潰れている部分を発見してそこを直せば解決することがほとんどです。

しかし、天井内が高温多湿になるような現場で冷媒管全体が結露してしまう事例もあります。

断熱材の表面温度が天井内の露点温度より低ければ結露は発生します。

天井内が高温多湿のため冷媒管全体が結露してしまった例 支持材の全ネジが断熱材と接触している部分も気になります

断熱材の表面温度がいったい何度くらいになっているのか、いまいち想像がつかないと思います。

内部の冷媒温度が何度かにもよりますが外側の温度が30℃前後の時に表面が20℃前後になっていることはあり得ます。

断熱材の表面温度は計算式からある程度予測することはできます。


熱貫流量 q=(θ0r) / (1/α+x/λ)

断熱材の表面温度 θs=q/α+θr

q:貫流熱量[w/m2]

θ0:断熱材の内側の温度[℃]

θs:断熱材外側の表面温度 [℃]

θr:断熱材外側の気温 [℃]

x:断熱材の厚さ [m]

λ:断熱材の熱伝導率 [w/m・k]

α:断熱材の熱伝達率 [w/m2・k]

保温の場合(暖房時)はα=12 保冷の場合(冷房時)はα=8 とする


断熱材の内側の温度θ0を冷媒管温度と同等として3℃、断熱材外側の気温θrを天井内の気温30℃と想定して計算してみます。

断熱材はGW24K 熱伝導率は0.038とします(空気調和設備計画設計実務の知識より)。

断熱材の厚さは20mmとします。

このとき、各数値を上記の式に代入していくと

熱貫流量 q=(3-30)/(1/8+0.02/0.038) =-41.5[w/m2] ※保冷なので値がマイナスになります。

断熱材の表面温度 θs=-41.5/8+30=24.8[℃]

このように計算である程度表面温度が予測できます。

ちなみに、上記表面温度のときに天井内気温30℃で相対湿度80%だった場合に結露するかどうかですが、露点温度は26℃程度なので断熱材表面が24.8℃だとしたら結露してしまいます。

この場合の解決策としては断熱材の厚さをもっと厚くすることや天井内の気温と湿度を下げるために天井内を空調する、あるいは室内の空調された空気を天井内に循環させるなどが考えられます。

水分が含まれた断熱材の機能は著しく低下してしまう

断熱材に水分が含まれてしまうとその断熱機能は著しく低下してしまいます。

断熱材が水浸しの状態になっているとき、仮に水と同じ熱伝導率になってしまっているとします。

条件は上記と同様、断熱材内側3℃、天井内気温30℃とします。

水の熱伝導率は0.582[w/m・k]で代入していきます。

すると熱貫流量が-169.4[w/m2]

表面温度は8.8[℃]

という計算結果になります。

この温度ではもう結露はとまりません、断熱していないも同然の状態になってしまうことがわかります。

しかも断熱材は一度水分を含んでしまうとなかなか乾かないため、条件が悪い日があるとすぐに結露が発生するようになってしまいます。

今回はこのあたりまでにして、次回は露点温度を求める計算式やその他の結露事例などについて話したいと思います、たぶん次回で結露対策最終回になる予定です!