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給水方式について

建築物への給水の仕方について、その建築物の規模や用途などで違った方式が採用されます。

今回は、給水方式にはどのような方式があって、どのような特徴があるのか説明していきます。

kscz58ynk さんによるphotoAC よりの画像

給水方式の分類

給水本管から配管を分岐して受水槽を経由しないで直接的に給水する方式を水道直結方式といいます。

水道直結直圧方式 と 水道直結増圧方式があります。

建築物内に受水槽を設けて給水する方式を受水槽方式といいます。

高置水槽方式 ポンプ直送方式 圧力水槽方式

がありますが、圧力水槽方式については新規の採用がないため説明を省きます。

水道直結方式は衛生的

・水道直結直圧方式

水道本管から直接、建築物内へ給水を引き込む方式で2F建てまでの建築物に限定されていましたが、最近は高圧配水システムを採用してる水道事業所において4~5Fまで供給できるようになっています。

受水槽を設けないので水が滞留する時間がなく衛生的であることがメリットですが、水道本管が断水した場合は直ちに断水することがデメリットとなります。

・水道直結増圧方式

給水本管から直結の形ですが10F程度までの中規模建築物についても対応できるように増圧ポンプを設置して水圧を制御する方式です。

増圧ポンプのイメージ テラル㈱のHPより

インバーターによる変速制御と台数制御によって流量をコントロールしています。

また、ポンプユニットから本管側へ逆流しないように逆流防止装置が設けられています。

水道本管の圧力を利用できるため省エネルギーになるのと、1年毎の清掃が義務付けられていない10m以下の受水槽の建築物を水道直結増圧方式にすることによる衛生面の向上がメリットとしてあげられます。

この方式も水道本管が断水すると断水します。

増圧ポンプを設置する場合に水道局メーターはバイパスユニットとしなければなりません。

メーターバイパスユニット ㈱日邦バルブのHPより

受水槽が無いためメーター交換時でも給水可能とするためにこのような処置がとられています。

受水槽方式は給水本管が断水してもすぐに断水しない

・高置水槽方式

高置水槽方式は1FあるいはB1Fなどのレベルで受水槽を設け揚水ポンプで屋上の高置水槽まで水を持ち上げます。

高置水槽からは自然の重力によって給水する方式です。

最上階での水圧確保ができるように高置水槽の高さを設定しなければならないので、ペントハウスの上にさらに架台を組んで屋上のスラブから7~10m上になるように設置されている水槽を見かけたことがあるのではないでしょうか。

ちなみに10m上に持ち上げれば約0.1Mpa(1.0kgf/cm2)の水圧を確保できます。

しかし最近はこの高置水槽の採用はかなり減っています。

水槽は2つ必要なのでその設置場所および維持管理に労力や経費がかかることが避けられる理由だと考えられます。

改修工事の際に高置水槽をやめて水道直結増圧方式かポンプ直送方式かいずれかに変更している事例が多いです。

新築工事にいたっては、現在ほとんどこの高置水槽方式は採用されていないというのが実感です。

・ポンプ直送方式

受水槽でいったん水を貯めて、そこから直送ポンプ(加圧ポンプとも言う)で建築物内の各所へ水を送る方式です。

受水槽方式のメリットとしては給水本管が断水しても受水槽内に貯められた水は電源喪失さえしてなければ使用できることです。

受水槽への給水には定水位弁(通称FMバルブ)を使用します。

定水位弁は副弁(ボールタップから電磁弁に至る部分)と主弁がセットになっていて水位が下がってボールタップが下がると副弁が開きそれに連動して主弁が開きます。

主弁はマンションなど流量が多い場合は50Aなどのサイズとなるため、この配管径のバルブの開閉はウォーターハンマーを起こす可能性が高く、その衝撃音が問題となることや配管継手部や機器類の損傷につながる可能性があるためそれらを防止する目的で定水位弁を用いています。

20Aまでの細い配管であればボールタップそのままで給水していますが25A以上では副弁を用いた定水位弁での供給をしています。

定水位弁の配管例 ㈱ベンのHPより

今回のテーマである給水方式の説明はここまでになります。

参考にしていただければと思います!

給水ポンプの選定について

給水設備において受水槽から高架水槽までの送水、あるいは受水槽から直接各水栓などへはポンプによって送水されてます。

ポンプを選定するときにどのように考えればよいのか、建物の高さや配管の距離によって変わることは想像がつきます。

計算例を示しながら説明していきます。

croissant. さんによるphotoAC からの画像

直送ポンプの選定について

給水ポンプ選定をする際に能力を決定するために瞬時最大流量と揚程を確認する必要があります。

給水ポンプの送水量は瞬間最大流量以上とし、揚程は算出した揚程以上として選定します。

まず瞬時最大流量の求め方は以前のブログで紹介した給水の負荷流量計算を参照してください。

瞬時最大流量は210L/minとします。

次に揚程ですが下記に示す式で求めます。


H≧H1+H2+H3

H:直送ポンプの揚程[m]

H1:直送ポンプの吸水面から最高位にある器具までの実高さに相当する水頭[m]

2:管路における摩擦損失水頭[m]

H3:最高位にある器具や水栓の必要圧力に相当する水頭[m]


ちなみに揚程とは摩擦損失などを水柱の高さとして表現したものになります。

下に図示した系統について揚程の計算をしてみます。

また、計算を簡略化するために条件を下記のように設定します。

最遠の器具までの配管長は60mとし摩擦損失はその配管長の摩擦損失と同等とします。

単位当摩擦損失は0.35kPa/mとします。

以上の条件での計算例を示します。

H1は図より11.0m

H2については配管長60mで摩擦損失はその配管長の摩擦損失と同等という条件より配管長の2倍に対する摩擦損失をもとめればよい

2=60×2×0.35/9.8=4.3m

3については最高位かつ最遠の位置にある大便器洗浄弁の流水時必要圧力が70kPaより

H3=70/9.8=7.14m

これらの値を代入して計算していきます。

H≧H1+H2+H3

=11.0+4.3+7.14=22.44m

H≧22.44m という結果が得られます。

ポンプ選定図で品番を決定する

エバラポンプのカタログを参照します。

F1300型吐き出し圧力一定・並列交互運転方式で選定していきます。

下記の選定図で給水量210L/min を垂直にとり、揚程22.44mを水平にとって交わる点がどこに位置するかを確認します。

ポンプ選定時 エバラポンプのカタログより

ちょっと微妙な位置になりますが32-5.6Sの範囲に交点が記入されます。

次に下に示した仕様表から32-5.6Sの機種は 32BIPME5.6S となります。

この機種は単相100Vなのでもし三相200Vで選定したい場合は32BIPME5.75 を選定すればよいです。

エバラの給水ポンプユニットF1300型、交互並列運転方式の外観は下の写真です。

エバラポンプ F1300型

とりあえずはポンプの選定ができました。

本音を言うと配管経路の摩擦損失計算をもっと細かくしたかったのですが煩雑になるので今回は簡略化しました。

またの機会に挑戦したいと思います。