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潜熱負荷とは何なのか?

空調負荷計算〜3 すきま風熱負荷〜で書いた内容の中で外気を取り込んだときに顕熱負荷と潜熱負荷に分けて計算すると説明しました。

ところで、顕熱負荷そして潜熱負荷とはいったい何なのでしょうか。

潜熱負荷のイメージ

顕熱負荷というのは例えば外気温33℃の空気を27℃に下げる場合は温度差6℃を下げるための負荷ということになります。

では、潜熱負荷とは何でしょうか。

33℃の外気を27℃に下げる場合、空調機内の熱交換器は20℃程度となっていると想定したとき外気が熱交換器を通る際に外気に含まれている気体の状態である水蒸気が液体の水に変化します。

この状態変化のために熱が奪われています。

見かけ上に顕れる温度を下げているわけではないので潜んだ熱ということで「潜熱」と呼ばれています。

つまり、冷房する際は単純に33℃を27℃に下げる分の熱を奪えばよいのではなく、水蒸気が水になる状態変化のために奪われる熱の分もプラスして冷却しているのです。

ちなみに水蒸気が変化した水は空調機のドレンとして排水されています。

状態変化と熱のやり取りのイメージを以下に図示しておきます。

状態変化と熱のやり取りのイメージ 筆者作成

潜熱については中学校の理科でも話が出てきます。

氷⇒水⇒水蒸気という変化をする場合の時間と温度の関係を簡略的に示したグラフが以下になります。

 状態変化中の温度 中学理科のまとめ より

なんか中学校の時に勉強したかもな、となんとなく思い出す方もいると思います。

グラフが階段の踊り場のように水平になっている部分は氷が水へ、あるいは水が水蒸気へ状態変化してる最中であることを意味します。

この最中は温度変化はしません。

しかし加熱はし続けていて熱は移動しています、このとき移動している熱が「潜熱」です。

空気線図上で変化の動きをみてみる

夏期の空冷空調機による冷房時の温湿度の変化を空気線図上で追ってみると下図のようにななめ左下へ移動するような変化をたどります。

空気線図上で温湿度変化を矢印で図示 夏期の場合 

温度が下がると同時に絶対湿度も下がることがわかります。

また、気温が高いほどこの矢印の角度が急になります、つまり温湿度が高い時期の外気ほど少ない温度変化でも多くの結露水が発生することを意味しています。

次に冬期の温湿度変化をみてみます。

冬期は加湿機能のない通常の空冷の空調機では温度のみが変化して絶対湿度は加湿されないので変化しません。

よって相対湿度は下がることになります。

冬の室内の乾燥の原因のひとつがこの暖房によるものです。

加湿器を併用しなければかなり相対湿度が下がってしまうということになります。

室内の環境として相対湿度は最低でも40%以上にしておくべきです。

一般的な空調機で暖房する場合は室内の相対湿度が30%以下になっていることもあり得ますので冬場は加湿器の併用をしないと室内がかなりの乾燥状態になる可能性があります。

空調負荷計算〜4 内部発生熱負荷〜

仕事で負荷計算書が必要になったときに以前は教科書を見ながら手計算状態で作成していたので時間がかかっていましたが、今は負荷計算の書式をエクセルで資料として作ったので、と言うか作ってもらったのですが、とにかく書式が存在するので計算書作成が速くできるようになりました。

ただし、書式があるのをいいことに何も考えずに数字を代入するだけという考えで作成するとおかしな計算結果になります。

イレギュラーな要素がある場合もあるので、やはり案件に応じて慎重に計算書を作る必要があります。

室内で発生する内部発生熱負荷というものをどこまで考慮して計算するのがよいのか、よく悩みます。

結局、よきにはからうということになるのですがお客様への説明はできるようにしておく必要があるので、どのように考えて計算したかを明確にしておかなければなりません。

TicTac さんによるphotoACからの画像

人体発熱

人体からの発熱は人体表面からの対流と放射による顕熱(SH)と発汗により放熱される潜熱(SL)があります。

下の表のように作業状態や温度帯別で数値が示されています。

作業状態によって顕熱と潜熱の割合は異なりますが合計した全発熱量の数値は一定となることがわかります。

作用温度別人体発熱量
空気調和設備計画設計の実務の知識より

機器発熱・照明発熱

OA機器の発熱量と厨房機器による発熱量の資料が以下になります。

OA機器の発生熱量
空気調和設備計画設計の実務の知識より
厨房機器発生熱負荷原単位
空気調和設備計画設計の実務の知識より

照明発熱については照明器具の消費電力に遅れ係数を掛け算して求めます。

床単位面積あたりの冷房負荷qEは次式で求めることができます。


qE=W・rL

qE:単位床面積あたりの照明負荷[W/m2]

W:単位床面積あたりの照明の消費電力[W/m2]

rL:証明負荷遅れ係数

(露出型0.85 埋込型0.75 だが安全をみて1.0とする場合が多い)


早い話が照明器具の消費電力を調べて合計して遅れ係数を掛け算すればそれが照明発熱による負荷と考えることができるという意味になります。

遅れ係数を1.0で考える場合は照明器具の消費電力の合計がそのまま照明発熱の負荷の数値ということになります。

厨房機器から発生する熱

上記の資料で厨房機器発生熱負荷の表を示しましたが、この表をよく見ると厨房機器の消費電力に対する負荷の量は書いてあります。

なのですが、ガス機器についての表がありません。

結局ガス機器の場合は直火で焼いたり煮たりするわけで、その熱量についてはうまいこと数値化できないということなのかわかりませんが空調用の熱負荷に換算するような表がありません。

ガス機器の厨房機器から発生する熱を空調熱負荷に換算する方法が見当たらない、かつそれを本当にやろうとするとかなり大きな空調負荷になることが予想されます。

ということで、この空調負荷計算の話題になってから何回か同じことを書いていますが、厨房はそこで作業する人に直接冷気を当てるスポット空調で考えてパンカールーバーなどを配置します。

パンカールーバー 筆者撮影

また厨房に設置する空調機の能力は想定で400~500W/m2で考えて選定すればほぼ問題は起きません。

ということで空調熱負荷計算はこの第4回目でいったん区切って他の話題に移ります。

またの機会に熱負荷計算書の書式を紹介できればと思っていますがしばらく換気や衛生などの記事も書きたいのでいつになるかわかりませんが、すいません。

空調負荷計算〜3 すきま風熱負荷〜

居室や火気使用室は換気をするために必ず外気を取り入れる必要があります。

夏期に室内へ外気を取り込んで冷やす際に空気中の気体の状態で存在する水蒸気が液体の水へと状態変化するために熱がうばわれます。

この潜熱負荷が夏期の空調負荷が大きくなるひとつの要因となっています。

にこにこ** さんによるphotoACよりの画像

すきま風負荷の計算式

すきま風負荷には顕熱負荷と潜熱負荷があり以下の計算式によって計算します。


すきま風による顕熱負荷qs[W]を求める計算式は

qs = cp・ɤ・Δt・Qi / 3600

= 0.33 Δt・Qi

すきま風による潜熱負荷qL[W]を求める計算式は

qL= r・ɤ・1000・Δx・Qi / 3600

= 833 Δx・Qi

cp:空気の低圧比熱 1.0×103[J/kg・k]

ɤ:空気の比重量 1.2[kgf/m3]

r:水の蒸発潜熱 2500[J/g]

Δt:室内外乾球温度差 [k]

Δx:室内外絶対湿度差 [kg/kg(DA)]

Qi:すきま風の風量 [m3/h]


上記の式を使って実際に数値を代入して計算してみます。

外気温度34.7℃ 室内温度設定27℃で取り込む風量が3000m3/hの場合の顕熱負荷は

qs = 0.33 Δt・Qi より

qs = 0.33 ×(34.7-27.0)×3000[m3/h] = 7623[W]

となります。

外気の絶対湿度0.0186[kg/kg(DA)]で室内がの絶対湿度が0.01229[kg/kg(DA)] 取り込む風量が3000m3/hの場合の潜熱負荷は

qL = 833 Δx・Qi  より

qL = 833 (0.0186 – 0.01229)×3000[m3/h] = 15768.7[W]

となります。

厨房に取り込む給気もすきま風負荷として計算

すきま風負荷という名前がついているため、あくまですきまから入ってくる風量を計算するイメージかもしれませんが厨房に給気として取り込む外気による負荷もこの計算で求めてしまいます。

上記の計算では風量を3000m3hとしましたが、これは喫茶店などのお店全体の風量を想定しました。

居酒屋などの飲食店の場合は厨房の換気量がもっと大きいため8000~10000m3/h程度にはなります。

さらにここに機器類からの発熱も考慮すると空調負荷がかなり大きくなり、空調機の台数が増えて厨房の天井が空調機だらけになるような設計になってしまう可能性もあります。

このため、厨房は作業員に直接風を当てるスポット空調という考え方で計画されることがほとんどです。

空調負荷計算〜2 透過日射熱負荷〜

空調熱負荷計算の中で方角による差がもっとも顕著に現れるのがこの窓ガラスを通ってくる透過日射熱負荷です。

夏場に西側の窓まわりが異様に暑くなるのはこの透過日射熱の影響によるものです。

ジグザグ さんによるphoto ACからの画像

透過日射熱とは何なのか

室外から室内に侵入する熱は以下の3つに分けて考えることができます。

1.ガラス面の内外温度差による貫流により侵入する熱

2.日射のうち一度ガラスに吸収されガラス温度を高めたあと対流と放射に分かれて侵入する熱

3.ガラスを透過して直接侵入する熱

この3つのうち、2と3を合わせた熱を透過日射熱と呼んでいます。

窓ガラスを通る熱 イメージ図

貫流熱負荷は外部と内部の温度差によって発生するものですが、日射は太陽からの電磁波が直接物体に作用して温度を上昇させます。

太陽光をルーバーなどで遮ることでその影響を抑えることができます。

透過日射熱負荷の計算式

透過日射熱負荷の計算式は以下になります


qG = A・Sn・SC

qG: 透過日射熱量[W]

A: 窓ガラス面積[m2]

Sn:窓ガラスからの標準日射熱取得[W/m2]

SC: 遮蔽係数


日射熱取得のデータを以下に示します。

ガラス窓標準日射熱取得
空気調和設備計画設計の実務の知識より

窓の遮蔽係数などの資料を以下に示します。

窓の遮蔽係数など空
気調和設備計画設計の実務の知識より

簡単にですが計算例を示します。

東京で時刻12時、南面の窓ガラスで透明フロートガラス8.0mm明色ブラインド、ガラス面積A=17.4m2の場合

Sn:ガラス窓標準日射熱取得の表より180[W/m2]

SC: 遮蔽係数は資料から読み取って0.48

各数値を qG = A・Sn・SCに代入すると

qG = 17.4×180×0.48=1503.4[W]

西の窓ガラスからの透過日射熱には気を付けたほうがよい

日射熱取得の表を見てわかる通り、西面と東面の直達成分が大きいことがわかります。

これは日が沈む時間帯と日が昇る時間帯に日射が窓ガラスに対して垂直に射し込むからです。

そしてたいてい問題になるのは西の窓ガラスからの日射です。

東側があまり問題にならないのは朝から午前中にかけてまだ空気が温まりきらない時間帯であることや、朝早い時間は出勤している人があまりいないから、など問題になりにくい要素があります。

西側から日射が射した場合、夏場14時くらいから16時にかけて窓際の温度はかなりの高温になっていき日が沈むまでその状態が続きます。

また躯体や部屋内の材料にこもった熱が室内に放出されるその影響によって暑さが夜まで続いたりすることもあり東側に比較して問題になることが非常に多いです。

ちなみにガラス窓標準日射熱取得の値は東京夏期、南面12時で180[w/m2]に対して西面16時で609[w/m2]なので西面の日射の値の大きさがわかります。

過去に西側の窓ガラスまわりの客席が夏場は暑くて座っていられないというクレームに何度か対応したことがあります。

西の窓際に温湿度計を置いて数値を確認したところ14時ころから温度が上昇し始めて15時から16時のピークにかけて40℃~45℃になる席もありとてもそこに座って過ごすことのできる環境ではありません。

西に窓面が多くある場合は必ず、ブラインドやロールカーテンの設置を予め提案しておかなければいけません。

ロールカーテンを設置し日陰の状態にして、店内空調をしっかり効かせて温度を計測したら30℃以下になり、とりあえず席を使用できる状態にはなったのでお客様に納得していただけましたが。

建築士の製図試験でも西側の日射を考慮して窓の外側に鉛直ルーバーを描き込ませる問題があります。

たまたま通りがかった埼玉県ふじみ野の市役所の西側ルーバーの写真

上の写真のように西側全面に外付けで縦方向のルーバーがあるのが理想的ですが、なかなかこのような形で計画設計が進められる案件はないのが現実です。

その建物や状況に応じてでき得る限りで日射の対策を心がけたいです。

空調負荷計算〜1 貫流熱負荷〜

以前のブログで空調負荷を用途別、単位面積あたりで想定して簡易的に求める方法を紹介しました空調機選定の考え方〜1〜。しかしあくまで想定の数値であり、例えば壁の材質や厚さによって失われる熱量も違えば窓ガラスの面積が異なれば射し込む日射量も異なるので、あたりまえなのですが、単位面積あたりの負荷も建物ごと、さらには部屋ごとに異なります。

よって本来は個別に負荷計算をしなければなりません。

熱負荷をそれぞれの要素に分解して説明していくため説明は長くなります、3~4回に分けて説明になりそうです。

今回はその1として貫流熱負荷を説明します。

kscz58ynkさんによるphotoACからの画像

空調負荷をそれぞれの要素に分解

空調負荷を計算するときそれを要素ごとに分解して考えます。

主に以下に示す要素に分解します。

1.貫流熱負荷

2.透過日射熱

3.すきま風熱負荷

4.室内の内部で発生する熱負荷

機器発熱などは機器が多ければ負荷を追加して考えることになりますが厨房機器については熱量が多すぎて全ての負荷を空調機で処理することはできません、と言うかしません。

それをしようと思うと現実的に設置不可能な空調機の大きさになってしまうからです。

厨房は外気取り込み量が多いので、厨房機器からの熱は排気される空気とある程度一緒に処理されていると考え通常の負荷計算にプラスαで考え、ここは経験値になってしまいますが、おおむね400w/m2~500w/m2で考えて、スポット空調として作業者に向けてパンカールーバーなどで直接風をあてる考えで設計すれば問題になることはほとんどありません。

貫流熱負荷の基礎式

今回のテーマである貫流熱負荷というのは、壁や天井、床などから出て行く熱がどれくらいなのかを意味しています。基礎式は下記になります。


qn = A・U・ETD

qn:壁体の貫流熱負荷 [W]

A:壁・床・屋根などの面積 [m2]

U:その部位の熱貫流率 [W/(m2・K)]

ETD:実行温度差 [K]


熱貫流率が大きいほど出て行く熱が大きいということになります。

断熱がしっかりしている建物や部屋ほど熱貫流率は小さくなります。

上記の式自体は単純なのですがこれを求めるまでには手間がかかります。

Aの値は壁や床の面積なので、図面などから読み取ります。

Uの熱貫流率は壁の素材の厚みそれぞれの熱伝導率とその厚さを調べて計算していきますが、これが少しめんどうな作業かもしれません。

熱貫流率を求める式は下記になります。


U = 1/(1/h0+l11+l22+l33+ ‥‥‥ +l+1/hi)

U:熱貫流率 [W/(m2・K)]

0:室外側壁表面での表面熱伝達率 [W/(m2・K)]

hi:室内側壁表面での表面熱伝達率 [W/(m2・K)]

l:構造を構成する各材料の厚さ [m]

λ:構造を構成する各材料の熱伝導率 [W/(m・K)]


熱伝達率と実行温度差の値

具体的な値が示された資料が以下になります。

・外表面熱伝達率 (h0の値)

空気調和設備設計計画の実務の知識より

・室内側熱伝達率 (hiの値)

空気調和設備設計計画の実務の知識より

・熱伝導率 (λnの値)

・実行温度差 (ETDの値)

・壁タイプ選定表

以上の参考資料は全て空気調和設備設計計画の実務の知識より抜粋

貫流熱負荷を実際に計算してみる

以下の素材で構成される西側外壁の面積100m2の貫流熱負荷を求める。

吹付け硬質ウレタン 20mm

コンクリート 150mm

モルタル 20mm

タイル 8mm 以上で壁が構成されているものとした場合

qn = A・U・ETD より

Aの値は壁面積なので100[m2]

次に熱貫流率Uを求める。

U = 1/(1/h0+l11+l22+l33+ ‥‥‥ +l+1/hi)より

U = 1/(1/8.3+0.020/0.034+0.150/1.6+0.020/1.5+0.008/1.3+1/23)

= 1.16[W/(m2・K)]

次に実行温度差ETDを読み取る

ウレタン20mmコンクリート150mmより壁タイプはⅢ

西側の外壁なので実行温度差の表より3.8 6.4 8.8 12.0 となる。

最悪の条件である12.0[K]を採用する。

qn = A・U・ETD に値をそれぞれ代入すると

qn = 100・1.16・12.0 = 1392[W]

このような計算を各方向の壁と床、天井ごとでしていき、最後に合算して貫流熱負荷の値としています。

ガス配管サイズの選定について

ガス配管サイズも給水配管と同様に圧力損失を計算しながら決定していくのですが、この計算についてはガス会社が責任を持ってしてくれるのでこれについてはお任せしています。

ですが設計されてあがってきた図面の配管サイズが適正なのかある程度判断できなければチェックができません。

halfway さんによるphoto ACからの画像

ガスメーター接続配管サイズを利用して考える

そこで、ガスメーターへの接続配管サイズを配管選定の目安として利用しています。

本来、煩雑な計算が必要なのですがこの方法を使えばおおよその配管サイズを簡便に求めることができます。

まずガスメーターサイズとガス流量の関係の表とサイズを求めるガス配管のモデル図面を下記に示します。

ガス設備とその設計 を参考に筆者作成
ガス配管サイズモデル 筆者作成

では上記表の数値とモデル図面より実際に配管サイズの選定を考えていきます。


A-B間の配管サイズについて

使用機器すべての合計のガス消費量に対するガス流量となる

合計のガス消費量は

52.3+34.9+7.5+2.5+2.5+14=113.7kw

113.7kw × 860kcal/h/kw =97782kcal/h

ガス流量は 97782kcal/h ÷ 10250kcal/h/m3/h = 9.54m3/h

上記の表より9.54m3/hの時は10号メーターで接続配管径32Aとなり A-B間の配管サイズも32Aとなります。

B-C間は ガス消費量合計99.7kwより上記と同様の計算でガス流量に換算すると8.37m3/h となります。

表の設計流量6.01〜10.0以下の範囲なので32Aとなります。

同様に計算していくとFまで32Aとなります。

最後のF-G間が52.3kwなので流量に換算すると4.39m3/hより表の1.01〜6.0以下の範囲なので20Aとなります。


選定されたガス配管サイズがおかしいと思ったときは

このように簡易的な計算でおおよその配管サイズを判断していくことができます。

冒頭でも述べたように本来は圧力損失計算をして配管サイズを決めていくのですが設備工事全体を管理するような立場の場合はそこまでの計算はしなくてもよいです。

過去に一度だけ、ガス屋さんが選定してきた配管サイズが異様に大きいサイズで、見積も高額となってしまっていた現場があり自分で教科書を見ながら計算をしたことがあります。

ガス屋さんから配管サイズ選定の計算書を提出してもらい、自分の計算と比較しながらこんなに太いサイズになるわけがない、とツッコミを入れて結局、配管サイズを修正してもらいました。

でも、後にも先にもそのようなことはその1回だけです。

その時はたまたまレベルの低い担当者にあたってしまったのかもしれません。

そして、そこまでガチンコの計算はしなくても上記に示した考え方で計算した配管サイズで話をしても十分に打合わせはできますので、おおよその配管サイズを知りたいときには上記の方法を参考に計算してみていただければと思います!

給水配管径を流量線図と許容摩擦損失から決める

今回は給水配管の配管径はどのように考えて決定するかを説明します。わかりにくい部分もあるので私も苦手意識がありますが設備屋さんとしては避けて通れないテーマです。長めになりそうですが、なるべくわかりやすく説明していきます。

kscz58ynkさんによるphotoACからの画像

まず許容摩擦損失を求める

まず2F建ての建築物のイメージでの給水配管のモデルを以下に示します。

給排水・衛生設備計画設計の実務の知識を参考にしていますが、現在では採用が避けられがちな高架水槽の計算がモデルになっています。

たぶん、話をわかりやすくするための高架水槽のモデルだと思いますがそれでも教科書を読んで一回で理解するのは難しいので詳細の説明を追加していきます。

給排水・衛生設備計画設計の実務の知識を参考に筆者作成

図示された給水配管の配管径を求めていきますが、まず許容摩擦損失の公式を示しておきます。


R=((H-P/K(L+l))×1000

R:単位長さあたりの許容摩擦損失(mmAq/m)

H:静水頭に相当する水圧(mAq)

P:器具の水圧または標準水圧(mAq)

K:局部損失を考慮した管路係数(2.0~3.0)

L:主管の直管長(m)

l:枝管の直管長(m)


高架水槽で給水する場合、最も条件が悪いのは最上階の最遠の器具です。

上記モデルの場合はGの大便器洗浄弁が最も条件が悪い水が出にくい器具です。

このGすなわち2Fの大便器洗浄弁までの配管径を考えるための許容摩擦損失を計算します。


G点の静水頭:H=9.5+1.5-0.6-0.6=9.8mAq=96.1kPa

…9.8mは高架水槽からGまでの落差を意味します。最後にPaの単位に換算し直しています。

G点の必要静水頭:P=7.0mAq=68.6kPa 

…これは大便器洗浄弁自体の摩擦損失です。器具によって任意の摩擦損失になります、ここでは7.0mAqとするということです。

A-B間の距離  LAB=1+3+9.5=13.5m

B-G間の距離 LBG=0.5+1.5+1.5+1.5+1.0+1.0+1.5+1.0+0.6+0.5+0.6=11.2m

許容摩擦損失Rは

R=((HG-PG) / K(LAB+LBG) )×1000mmAq /m 

で表されるので上記の数値をそれぞれ代入して

=((9.8-7.0)/2(13.5+11.2))×1000

=56mmAq/m = 549Pa/m これが2F部分の許容摩擦損失です。

同様に1F部分の許容摩擦損失を計算します。

R=((9.8+4.5-7.0)/2(13.5+4.5+11.2))×1000

=125mmAq=1226Pa/m これが1F部分の許容摩擦損失です。

瞬間最大流量を求めてから流量線図で配管径を選定する

次に瞬間最大流量を求めます。

これについては給水の負荷流量計算を参照してください。

2FのG-F間は110L/minになります。

この区間の配管径を流量線図で判断します。

硬質塩化ビニルライニング鋼管の流量線図  建築設備設計基準(国土交通省大臣官房官)より

2Fの許容摩擦損失は594Pa/mという計算結果だったので摩擦損失はそれ以下になる範囲で選定していきます。

110L/minの位置から右にまっすぐ線を伸ばして配管径50Aとぶつかったところのまっすぐ下をみていくと235Pa/mです(ウィリアム・ヘーゼンの公式より数値を求められますがここでは詳細を省略)。

そして流速は2.0m/sを超えないように選定します。これは大事です。

給水配管の流速はおおよそ1.0~2.0m/sの間で選定するというのは覚えておくとよいです。

594Pa/mなので配管径50Aは問題なし、ということになります。

1Fについては1226Pa/m以下の範囲でみていきます。

計算と配管選定の結果を以下の表に示しますので流量線図で間違いがないか確認してみてください。

1Fの摩擦損失で1箇所だけ許容摩擦損失を超えた1275Pa/mでの選定があります、水色で網がけしたところになります。

超えたらダメなのでは?と私も思いましたが流速が2.0m/sを超えていなければ多少許容摩擦損失は超えていても確かに大勢に影響はないのでこのような結果を教科書でも示しているのだと思います。

さらに言ってしまうとポンプで圧送する場合は2m/sを超えた設計となっている現場はかなりあります。

許容摩擦損失はあくまで目安であり、水がある程度の勢いで水栓などから出て問題なく使用できればそれでよいということです。

給水圧が足りなかった苦い経験

とは言っても、やはり基本にはある程度忠実に考えて設計や計画をしないと思わぬトラブルがおきるので注意が必要です。

まだ3年目か4年目の頃だったと思いますが既存で屋上に高架水槽が設置されている現場で最上階にお客様用のトイレを作った現場でのこと。

大便器から水が出ないと騒ぎになっだことがあります。

高架水槽との落差が無さすぎて圧力が確保できなかったのです。

大便器はサティスだったと思いますが最低使用圧力が静水圧で150kPaは必要です。

通常の考え方で高架水槽から最上階大便器までの落差は15mは必要ということです。

落差も足りないことに加えて配管長もやや長く分岐が多かったので摩擦損失も大きかったのだと思います。

新装開店するお店でトイレが使えないのはあり得ない、ということで急遽小さい加圧ポンプを発注して最上階のみ別系統で給水を配管し直して圧送するという処置をとりました。

これ言葉で書くと数行ですがお客様への説明から計画し直しの図面描いて承認とってとかなり大変な騒ぎでしたよ…。

しかも設計施工での受注だったので追加工事として認められることもなく利益を削って対応したという現場でした。

勉強にはなりましたが残せるはずの利益が残せなかったのは痛かったです。

と言うか、高架水槽は屋上に架台つけて高さ確保しないとダメなのではないか?と後で気づきましたが。

既存の利用者は最上階にトイレは設置していなかったのかもしれません。

高架水槽の現場では圧力が足りたないという事態がおきやすいので設備屋のみなさん気をつけてください! そんなこと知ってるか…。

やっと配管径まで選定することができました…次の衛生設備の回ではポンプの選定について説明したいと思っています!

制気口やフードの面風速について〜制気口はなるべくコンパクトサイズで選定〜

制気口や厨房内に設置されるフードなどの面風速はどのように考えて設定すればよいのか?

大きく取りすぎると風量も大きくなりダクトの納まりが悪くなるため換気設備の設計や施工に支障が出ることがあるので注意が必要です。

厨房のフード 筆者撮影

制気口サイズを風速から設定する

排気設備の吸込口あるいは給気設備の吹出口に取付ける制気口。

このサイズについては大きすぎるものを取付けるとコストの無駄なのと天井の納まりが悪くなるので最低限の大きさで設定します。

ではなにを基準に決めるかと言えば、吹出しあるいは吸込みの風速です。

4m/sを越えると風切り音が発生する可能性があるので基本は3m/s以下で考えます。

計算する時は2〜3m/sで考えればよいです。

制気口には様々な形状があります。

空調技研工業(株)のWEBカタログより

代表的なものとして上の写真のような制気口がありますがルーバーが横に付いている制気口をH、風量調整のシャッター付きのものをHSと呼んでいます。

縦横にルーバーが付いていればVH、さらにシャッター付きであればVHSです。

右上に開口率82%と書いてあります、これは制気口の大きさを決定する上で重要です。

開口率が半分になると制気口は2倍の大きさにする必要があるので。

では上記HSのサイズを求める計算例を下に示します。


風量400m3/hの吸込口として設置するHSのサイズをもとめます。

制気口の吹出し風速は3m/sで考えます。

まず制気口面積Sをもとめます。

S=400m3/h÷3600s/h÷3m/s÷0.82

最後の0.82は開口率です、メーカーカタログなどに書いてありますがわからない場合HSやVHSについては私は0.7として計算しています(今までそれで不具合が出たことはありません)。

よって S=0.0451m2

正方形の制気口だとした場合一辺の長さは平方根でもとめます。

√0.0451=0.212m

きりのよい大きさで選定するので制気口の大きさは250mm×250mmとします。


開口率についてもう少し補足します。

室内の制気口やガラリは開口率70〜80%程度に対して外部に面して取付けるガラリは雨風の侵入を抑えるため開口率は少なめで20〜40%程度です。

計算する前にカタログなどで開口率を確認する必要があります。

厨房フードの面風速はどう考えるか

厨房の換気量計算についてで説明したように火気使用室の換気量はV=40KQやV=30KQなどの式を用いて求めます。

しかし、例えば厨房器具のガス消費量をもとにV=30KQで求めた風量が700m3/hだったとしてもその厨房器具の上部に設置する厨房フードの風量を700m3/hとすることはほぼありません。

厨房フードの風量の大きさは面風速を基準にして決めることがほとんどだからです。

厨房フードの面風速は通常0.3~0.5m/sで設定します。

数字の根拠については厨房設計の知識やさしい局排設計教室などを確認していただければと思います。

参考書などによっては1.0m/sでの設定を推奨している場合もありますが風量が大きくなり過ぎるため実際の設計においてはほとんど採用していないのが現実です。

では面風速0.4m/sとしてフードの風量を求める計算例を示します。


フードのサイズが1500W×850D

面風速0.4m/sとする場合の風量は

1.5m×0.85m×0.4m/s×3600s/h=1836m3/h

設計風量として10%程度の余裕を考慮して

1836×1.1=2020m3/h とします。

フードの面風速をもとにして計算した風量とV=30KQで求めた法的に必要な風量700m3/hを比較します。

2020m3/h > 700m3/hより法的に必要な風量を満たしているので問題なし。


喫煙室の入り口は面風速0.2m/sで計算

東京都福祉保健局の資料に喫煙室の出入口で喫煙室の外から中に向かって0.2m/s以上の風速を確保することが書かれています。

リンク東京都福祉保健局 喫煙室出入口風速

神奈川県の資料に風の流れのイメージがあります。

神奈川県公共施設における受動喫煙防止条例分煙に関する基本的考え方より

喫煙室の入口が800W×2000Hの開口だった場合、0.2m/sの風速を確保したいときに必要な風量は

0.8m×2.0m×0.2m/s×3600s/h=1152m3/h

となります。

喫煙室を作る場合、思ったより大きな風量が必要になります。

なので一軒の店舗でも複数箇所喫煙室を設ける場合は客席の一般排気の何倍もの風量が喫煙室の排気として必要になることも実際にあります。

またこれは建築的な内容ですが喫煙室の出入口を開き戸で計画すると煙があおられて外部に出てしまう可能性が高くなるため引き戸で計画することが推奨されています。

0.2m/sの風とはどのくらいのものなのか疑問に思う方もいると思います。

言葉で説明するのが難しいですが、そよ風以下です。

気流検知器という煙を流して風の流れを調べるものがありますが、それを使ってやっと流れがわかるくらいで皮膚で感じ取れるレベルの風ではありません。

あるいは風速計で計測すれば風速の数値は測ることができます。

ちなみに人間がそよ風と感じているのは2〜3m/sくらいの風です。

今回は淡々と面風速の考え方と計算例などを紹介してみましたがぜひ参考にしていただければと思います!

屋内消火栓の概要〜非常時に消火栓を使いこなせるか?〜

屋内消火栓には1号消火栓と2号消火栓があります。2号消火栓は起動ボタンを押してホースを1人で伸ばすことが可能なので非常時でもなんとか使えそうな気がしていますが1号消火栓は非常時にうまく使いこなせるか?

屋内消火栓設備の概要の紹介と合わせて考えてみます。

himawariinさんによるPhotoACからの写真

屋内消火栓の概要

屋内消火栓の設置基準は消防法施行令第2章第3節第2款第11条にあります。

消防法令別表に建築物の用途の種類分けがありますがその用途と面積によって消火栓設備が必要かどうかを判断します。

例えば(3)項に分類されている飲食店や(4)項の百貨店などについては延べ面積700m2以上の場合設置が必要ですがショッピングセンターなどの複合用途となる(16)項のイに分類される建築物になると150m2以上から設置しなければならないです。

不特定多数が利用することが想定される建築物では規制が厳しくなります。

主要構造部を耐火構造として壁および天井を難燃材料とした場合は面積を3倍の数値として読みかえることもできます。つまり700m2なら2100m2まで緩和されます。

詳細については建築消防adviceや建築関係法令集などの書籍で確認をお願いします。

屋内消火栓の概略図が下記になります。

屋内消火栓設備概略図 筆者作成

地下に水源となる消火水槽と消火栓ポンプを設置します。

ポンプには呼水槽がセットになります。

また起動装置と連動などをするために制御盤も必要になります。

各階に消火栓を設置し屋上に補助高架水槽を設置します。

1号消火栓と2号消火栓はどう違うのか

次に消火栓の種類について、1号消火栓と2号消火栓が存在します。下記がそれぞれの消火栓の外観などになります(能美防災㈱と㈱立売堀製作所の製品)。

能美防災(株)のHPより
(株)立売堀製作所のHPより

ショッピングセンターや中規模以上の事務所ビルなどでみかけたことがあるかと思います。

1号消火栓と2号消火栓の仕様をまとめた表が下記になります。

1号2号屋内消火栓の仕様 日本消火装置工業会の資料を参考に筆者作成

1号と2号の違いとして大きいのは1号消火栓が2人で操作することを前提としてしているのに対して2号消火栓は1人でも操作できることです。

易操作性1号消火栓の普及が進んでいる

消火栓は消防隊しか使用できないと思っている方もいるかもしれませんが一般の方が使用する前提のものです。

しかし1号消火栓は訓練を受けた人でなければなかなか非常時にとっさにその操作はできないというのが現実です。

1号消火栓は平ホースと呼ばれる布製のホースをいったん伸ばした状態にする必要があります。

そして起動ボタンを押してバルブを開ける。

バルブを開けるときにホースは伸ばした状態で先端のノズルは火元に向いていないとならない、そういう前提です。

実際、屋内消火栓がどれほど使われて効果を発揮しているのか?

調べてみたら初期消火器具等のユニバーサルデザイン化に関する調査研究会報告に参考になる資料がありました。

この報告によると実際の火災時の消火栓の使用率は平均すると消火栓の設置対象物のうち年間平均で2391件の火災がありそのうち328件で消火栓を使用したので使用率は13.7%ということがわかります。

そして、この数値はここで独自に計算しますが鎮圧に効果ありの件数が平均で57件なので2.37%ということになります。

初期消火器具等のユニバーサルデザイン化に関する調査研究報告より

なんとなく思っていた通り、消火についてそこまで大きな効果がある設備ではないが、ないよりはあったほうがよい設備というのが正直なところかなとは思います。

法的な設置基準があるので、そのようなことに関係なく条件に当てはまる場合は設置しなければならないのですが。

能美防災の消火栓の紹介にもあるとおり、現在は易操作性1号消火栓という1人でも操作可能なものも製品として販売されており設置の推奨がされています。

1人で操作できる消火栓の場合、効果を発揮する確率が15%程度は上がる傾向があります。

1人で操作可能な消火栓にはこのシールが添付されています。  筆者撮影

なかなか1号消火栓を非常時に使いこなすのは難しそうだけど易操作性1号消火栓や2号消火栓であればなんとかなりそう…な気がします!

空調機選定〜3~困った時はこのメーカーのこの機種で

空調の設計図を見ていると室内機から室外機までが遠すぎる図面がしばしばあります。機種によって室外機までの距離は決まっていて遠すぎると施工不可能の時があります。

また、これだけビジネスの先行きが不透明な状況だと現在どんなに利益が出ていても設備投資は極力抑えようとするお客様がほとんどです。空調設備について困った時の対処法とコストダウン提案について少し考えてみます。

スネーィルさんによるphotoACからの写真

家庭用ルームエアコンの配管延長は20mまで

高付加価値機種やハウジングエアコンなどは30m以上というものもありますが

家庭用ルームエアコンと言えば壁掛形、そして冷媒管延長は20mまでという機種がほとんどです。

正直言って制限された長さを多少超えても能力は出ます。

制限の倍の長さを延長した場合は話は別です、規定の能力は期待できません。

では、制限をちょっと超えて何が問題かと言うと何か不具合があった場合のメーカー保証が効かなくなることです。

冷媒の長さは関係ないのではないかと思われるトラブルでも、決まり事を無視した場合はなんやかんや言われて施工側の責任にされるパターンが多いのでメーカーが決めていることはできる限り守らなければなりません。

話がやや脱線しましたが、では制限長さを超えた冷媒配管長で設計されていた場合どうするか?

まず、考えるのは室外機をもっと近くに置くことができないか、ですが物件によってはどうしても無理ということもあります。

例えば設計図書に広めの事務所にダイキンの壁掛ルームエアコンS40XTFXPが選定されていたとします。冷媒管長の制限は20mです。

家庭用の壁掛ルームエアコンFXシリーズ    ダイキンのHPより

しかし図面を見る限り室外機置場がどう見ても室内機から40m程度離れている…

スケールをあてて確認してみても40m以上ある…これは設計ミスだ!というのは簡単ですが施工側として解決案を提示すれば仕事全体もスムーズに進むし追加金額もいただけるかも…。

ということでダイキンの店舗オフィス用エアコンSZRA40BFVへの変更を提案します。もちろん配管延長50mまでOKです!

店舗オフィス用の壁掛エアコン          ダイキンのHPより

家庭用ルームエアコンと見た目はほとんど変わりません。しかし備わっている機能が違います。

同じ壁掛けの機種でも室外機置場選定の自由度はかなり上がります。

ただし値段は店舗オフィス用の方がやや高額となる場合が多いと思います。

また電源ですがルームエアコンの場合、室内機側から電源を取る場合が多いですが店舗オフィス用は室外機から電源送りする場合が多いので電気の施工業者さんとも工事前に打合せをしてお互いに確認しておいた方がよいです。

室外機置場が狭くてレイアウトできない場合は

広めの店舗や事務所に複数台、例えば10台などの空調機の設置をしたいけど室外機置場が限られている場合、

マルチエアコンを選定すれば室外機は1台にまとめることが可能です。

また、配管延長距離もこの機種が最も長くとることができます。

室外機から最遠の室内機までダイキン、三菱電機など90mまで施工可能、高低差は50mまで対応できます。

ダイキン マルチエアコン RVR Aシリーズ   冷媒配管接続要領  ダイキンのHPより

このマルチエアコンの中でもさらにコンパクトな室外機として販売されているのがダイキンのmachiマルチや三菱電機のシティマルチSです。

ダイキン machiマルチ
通常のマルチエアコンの室外機がマッシブな形状をしているのに対してmachiマルチはスリムな形状をしているので狭小スペースにも納めることができます。
三菱電機 シティマルチS 
こちらもスリムな形状で狭小スペースに納まるのが売りですがダイキンのmachiマルチより能力選定のレパートリーが少ないのが難点

どちらのメーカーも同じようなラインナップだろうかと思いきや三菱電機が8.0kwから16.0kwまでの能力なのに対して

ダイキンは11.2kw〜33.5kwの空調能力までの機種が用意されています。

けっこう22.4kw〜33.5kwの室外機を選定する場面はあります。

ダイキンのmachiマルチの方が選択の幅が広いので正直、重宝しています。

冷暖同時仕様は2管式の三菱電機でコストダウン!

この仕事をするようになって初めて知りましたが、この世の中には冷房と暖房を同時にできる空調機が存在します。

どういうこと?と思った方のために簡単に説明するとカラオケ屋さんなど小部屋がたくさんある業態の場合

ある個室では若者が熱唱して汗をかいているので冷房運転をしているけどある部屋では年配の方がゆっくり過ごしていてちょっと肌寒く感じるから暖房運転をしている

冷暖同時のイメージ  ダイキンのHPより

このような使い方が可能な空調機になります。

通常の空調機を冷暖切替と呼ぶのに対して冷暖同時とか冷暖フリーと呼んでいます。

冷暖切替の室外機から延長する冷媒管はガス管と液管の2管式で配管します。

これに対してほとんどのメーカーの冷暖同時の室外機からは高圧液管と低圧ガス管そして高圧ガス管の3管式で配管します。

しかし三菱電機の冷暖同時だけは業界で唯一2管式です。

ダイキンの冷暖同時空調機は3管式
三菱電機の冷暖同時は業界唯一の2管式

ダイキンの配管模式図の赤丸で囲った部分、ここは室外機から室内の冷媒の流れを制御するBSユニットまでのメイン管です。

3管式になっています。

この部分、図面では短く見えますが室外機まで50m以上離れている場合もあります。

そのメイン管の部分が下の三菱電機の配管模式図では2管式になっているのがわかります。

配管が1本少ないだけでも以外とコストダウンの効果はあり、メイン管50mの延長だとしたら概算で20万円程度のコストダウンにはなります。

たった20万円と思うかどうかは人それぞれですが、数十万でもお客様にとっては大事なお金ですから同じスペックであれば少しでも安くできる方を選ぶべきです。

なので私自身が空調設備設計をしていて冷暖同時の機種を選ぶ場合、メーカー指定がなければ躊躇なく三菱電機をスペックしています。

蛇足ですが業務用エアコンについてはメンテナンスの対応が一番よいのはやはりダイキンです、その次が三菱電機です。

その他のメーカーのメンテンスの対応はあまり良くないという印象を私は持っています。

まず、現場にメーカーの人間が確認しに来るまでに時間がかかり過ぎます。

メンテナンスに割くことのできる人員が多くとれないのかもしれません。

ということで各メーカーの長所を確認して設計や施工に活かしてみてください!