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給水の負荷流量計算

ポンプの選定などをする際に給水の負荷流量として瞬時最大流量を算出する必要があります。

流量の確認をするために計算したい、だけど教科書をひっぱり出してきて思い出しながら計算するのがおっくうだと思う方、私もその一人です。流量計算の考え方を簡単にまとめてみます。

PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像 

器具給水負荷単位による方法 まず給水負荷単位数の累計を算出

SHASE-S2009などに瞬時最大流量の求め方として4つの算出方法が示されていますがそのうちのひとつの方法、器具給水負荷単位とHunterの同時使用流量のグラフから簡便に求めることができます。

単純化した給水管ルートの図を下に示します。このモデルの給水負荷単位から同時使用流量をどのように求めるか説明しながら話を進めます。

図:給水配管ルートのモデル 事務所と考え公衆用として扱うこととする

次に器具給水負荷単位が示された表が以下になります。

表:器具給水負荷単位      
給排水・衛生設備計画設計の実務の知識を参考に筆者作成

図から器具数をひろい、上記表より器具給水負荷単位を確認して器具給水単位の累計を求めます。実際の計算手順は以下になります。


表より大便器、洗浄弁、公衆用3個所の給水負荷単位は1台当たり10なので

10 × 3 = 30

同様に小便器、洗浄弁、公衆用5台の給水負荷単位は5なので

5 × 5 =25

洗面器、公衆用5台の給水負荷単位は2より

2 × 5 =10

給水負荷単位の累計はこれらの合計なので

30 + 25 + 10 =65

給水負荷単位累計は65となります。


ちなみに洗浄弁というのはフラッシュバルブのことでタンクなしのタイプのハンドルやボタンあるいは自動操作で給水管から直接便器に大量に洗浄水を流すタイプの洗浄の仕方のことです。

グラフから同時使用流量を読み取る

下に示すグラフから器具給水負荷単位数65の時に同時使用流量の数値を読み取ります。

グラフ1:器具給水負荷単位数と同時使用流量を表すグラフ  R.B.Hunter
グラフ2:器具給水負荷単位数と同時使用流量を表すグラフ 器具給水負荷単位数の小さい部分を拡大

曲線1は大便器洗浄弁の器具が多い場合 曲線2は洗浄弁の大便器が多い場合に使用します

赤でマーキングしたように器具給水負荷単位65の位置から上にまっすぐ伸ばした直線と曲線1が交わる点でまっすぐ横を見ていくと同時使用流量は210l/minとなることがわかります。


流量がわかったら配管径や給水ポンプの選定ができるわけですが、そのあたりの話は次の機会にしたいと思います。

また、このグラフの曲線について計算式はないのか?疑問に思うかもしれませんが近似式はあるようですので興味のある方はさらに調べてみてください。

もっと簡易的に流量の概算値を知る方法

水栓をかなり大きく開いたときに流れる流量は15l/min程度です。おおよそ下の写真右から2番目の状態です(1000l/h≒16.7l/min)。

給水栓からの時間当たり流量比較 米子市のHPより(おそらくどこかの衛生器具メーカーカタログの抜粋)

例えば、ある店舗で同時使用する水栓が5個所だと想定した場合に1栓あたり15l/minですから同時使用流量の概算値は下記の計算になります。

15l/min × 5個所 = 75l/min  

上記の結果が得られます。この計算はシンプルですが申請などが絡まない現場において必要最低限の流量の概算値を予測する場合はかなり役に立ちます。

建築設備専門家の方には是非使っていただければと思います!

厨房の換気量計算について

店舗の施工における飲食店などの厨房の換気量は居室の換気量の考え方とは全く異なる考え方で計画します。汚染された空気を排出するためにかなり換気量が大きくなる傾向があります。

acworksさんによる写真ACからの写真 

フードの形状などによって厨房の換気量は変わる

法的に必要な換気風量を計算します。

建築基準法施行令20条の3および建設省告示第1826号より調理室等に設ける換気設備の内容に下記の換気量計算法が示されています。


・火気使用する厨房機器の上部にフードなしで排気する場合

火気使用排気計算イメージ図 筆者作成

V=40kQ

V : 有効換気量(m3/h)

k : 理論廃ガス量 定数0.93

Q : 燃料消費量 (kW)


・火気使用する厨房機器の上部にフードⅠ型を設置して排気する場合

火気使用排気計算イメージ図 筆者作成

V=30kQ

V : 有効換気量(m3/h)

k : 理論廃ガス量 定数0.93

Q : 燃料消費量 (kW)


・火気使用する厨房機器の上部にフードⅡ型を設置して排気する場合

フードⅡ型は排気口に向かってテーパーがかかった形状でフードを製作します。フードⅠ型の補修効率25%に対してⅡ型は50%としての計算となります。

火気使用排気計算イメージ図 筆者作成

V=20kQ

V : 有効換気量(m3/h)

k : 理論廃ガス量 定数0.93

Q : 燃料消費量 (kW)


・火気使用する厨房機器から直接的に煙突によって排気する場合

排気量はかなり少なく設定することが可能な形です。

火気使用排気計算イメージ図 筆者作成

V=2kQ

V : 有効換気量(m3/h)

k : 理論廃ガス量 定数0.93

Q : 燃料消費量 (kW)


フードⅠ型を設置する場合の換気量の計算例を示します。

Ⅰ型を設置するのでV=30kQの式を使用します。

燃料消費量25kWのガスコンロが設置されていた場合に必要な有効換気量Vは

V=30 × 0.93 × 25 =697.5(m3/h)

よって法的に必要な風量は697.5(m3/h)であることがわかりました。

フードと火元の離隔距離

上記の計算をする場合の条件としてフードの下端と火元(ガスコンロであれば五徳の上端まで)の距離を1.0m以下とする必要があります。

フードおよびグリースフィルターの離隔距離の関係 筆者作成

また、火災予防条例で火元からグリースフィルターまでは1.0m以上としなさいという決まりがあるので混同しないよう注意が必要です。

フードは換気量の計算上ある程度火元に近くないといけないが、グリースフィルターは火災の可能性を考慮してあまり火元に近付け過ぎないでください、という意味です。

厨房の排気量は最終的にフードの面風速を確保することで決定します。

これに関しては次の機会に説明をしたいと思います。

空調機選定の考え方~2~

空調機の形にはさまざまな種類があります。どのような形の機種がどのような用途の部屋で選定、使用されているのでしょうか。

mohamed_hassanさんのイラスト pixabayより

事務所などで使用されている天井カセット形

・天井カセット4方向形

天井カセット4方向は事務所でもっともよく使われている形状です。どこの施設に行っても必ずどこかでみかけると思います。

天カセット4方向形  写真ACより

吹出し方向が多いので小さい部屋であれば中央あたりに配置すれば1台で部屋を均等に空調できます。

広い事務所や飲食店の客席においても天カセ四方向を複数台バランスよく配置して設計することが多いです。

各メーカーともこの形の空調機のオプション機能や周辺部材が最も充実しています。

加湿機能や中性能フィルターの追加、少し離れた位置にダクト延長により吹出し口を取付けることができるなどシチュエーションに応じて様々な対応が可能です。

・天井カセット2方向形

天井カセット2方向 三菱電機のHPより

廊下の長手方向に吹出すように配置したり事務所などのライティングレールに沿って配置して見た目を整える目的で使用するなどが考えられます。

・天井カセット1方向形

天井カセット1方向形 三菱電機のHPより

天井のレイアウトの都合上、空調機を部屋の片側に寄せたい場合があります。

そんな時は天井カセット1方向形を選定し、片側に寄せて配置します。こちらも事務所や店舗の客席などで使用されています。

デザイン重視の場合は空調機を隠す

・天井ビルトイン形

天井ビルトイン形 三菱電機のHPより

デザインの都合上天井に空調機があらわになることを避けたい時はこのビルトイン形を選定して写真で丸い穴が見えますが、そこにダクトを取付けて延長し吹出口を取付けます。

ダクト延長のイメージ  三菱電機の仕様書に筆者加筆

吸込みパネル部分は見えてくるのでデザイン的に邪魔にならない位置に配置します。

吹出口を自由な位置に取付けられること、吹出口のデザインを自由に選べることが利点でこの形の機種を選定すればデザインの幅が広がります。

また店舗の厨房はこのビルトインで空調することが多いです。吸込口を厨房の汚れた空気に影響されない位置に配置して空調機自体の劣化を防止するねらいがあります。

・天井埋込形

天井埋込形 三菱電機のHPより

さらに吸込口の形状や色も自由にしたい、位置も自由に配置したいという場合には天井埋込形を選定します。メーカーによっては天井隠蔽形と呼ぶ場合もあります。

吸込み側もダクティングするので全体の工事費用はアップします。

天井内に納まらない場合は天吊形

・天吊形(1方向)

天吊形 三菱電機のHPより

天井ふところが200mmしかない場合など、そもそも空調機が天井内に隠せない場合はきよく天吊形を選定します。

なにか物体が天井から出てくる感じになるので高級感のある雰囲気重視の店舗などでは選定されませんが、事務所や量販店の売場などではよく選定されています。

・厨房用天吊形

厨房用 三菱電機のHPより

ステンレスボディで汚れに強くオイルガードフィルター付きで内部の熱交換器を保護しています。

調理時にあまり油煙の出ない喫茶店の厨房であれば厨房用以外の天井カセット形を設置することもありますが、フライヤーや大型のグリルを使用するような厨房には厨房用空調機をつけたりビルトイン形で吸込み口を汚染されない位置に配置するなどの対策をします。

これらの対策を怠ると空調機が短期間で傷んだり故障したりするので注意が必要です。

家庭用といえば壁掛形

・壁掛形

家庭用の空調機はほとんどが壁掛形です。

 壁掛形 三菱電機のHPより

なぜかと言われるとはっきり答えられませんが、一般的に住居は天井高がその他の用途の建築物に比べて低く設計される傾向があり天井内に空調機本体を納める前提で設計されていないことが多いからかもしれません。

壁掛形で計画される場合多くは空調機を取り付けた壁の外部側に室外機を設置する計画にします。

壁掛形で計画された場合でも室外機の位置が屋上など離れた位置にある場合もありますが冷媒管の長さに制限があるため家庭用の場合と業務用の場合で室外機設置条件の自由度は変わってきます。

そのあたりの詳細はまた次の機会に書きたいと思います。

居室の換気量計算について

設備設計などに頻繁に使う換気量計算について説明します。初級の設備屋さん向けの内容になります。まず法的に必要な風量をクリアさせることを考えます。

居室の換気量計算

事務所や店舗の客席など人が滞在する室については建築基準法施行令第20条の2に示された下記の計算方法にに基づいて居室の換気量を求めなければなりません。


V=20Af/N

V : 有効換気量(m3/h)

Af : 居室の床面積(m2)

N : 一人あたりの専有面積(m3)


ちなみにm3/h(立米パーアワー)は換気量を表す時に使用する単位で一時間あたり何m3の換気をするかを意味しています。

Af/Nの部分は居室の床面積を一人あたりの専有面積で除してします。つまり居室に何人の人間が存在するのかということを計算しています。それを20倍すれば必要な換気量が得られます。

もう少し噛み砕いて言うと、一人あたりに必要な換気量は20m3/hでこの値に居室を利用する人数を掛け算すれば必要な換気量を算出することができる、ということになります。

計算例を示します。

居室面積 Af=30m2 の居室の換気量を求める場合、一人あたりの専有面積 N=5mとしたときの有効換気量Nは

N=20Af/Nより

N=20×30/5=20×6=120

よって必要となる換気量は120m3/hとなります。

居室に存在する人が6人で1人あたり20m3/hが必要なので居室全体で120m3/hが必要となるということです。

シックハウス対策で必要な換気計算量

次に2003年7/1から建築基準法施工令第20条の7および20条の8によって施行されたシックハウス対策のために必要となる換気量について説明します。

規制の対象となる科学物質はクロロホルピスとホルムアルデヒドとなります。このうちクロロホルピスは使用禁止とされています。

よってホルムアルデヒドを発散する可能性のある建材についての規制を確認していきます。

まず、内装仕上材の使用制限についてですがホルムアルデヒドの発散量は下の表のようにクラス分けされています。

国土交通省のHPより抜粋

ホルムアルデヒドの発散量が0.005mg/m2 以下の場合はF✩✩✩✩(フォースターと呼んでいます)発散量が多くなるごとに星は減ります。最下クラスの第1種ホルムアルデヒド発散建築材料に関しては使用禁止、第2種と第3種は建材の使用面積が制限されます。

この時、換気量によって使用可能な面積が変わりますが下の計算式によって求めることができます。

三菱換気送風機総合カタログを参照して筆者作成

しかし、実は上記のN2S2 + N3S3 ≦A の計算について少なくとも私は実務で使用したことがありません。なぜなら現在生産されている仕上材のほぼ全てが規制対象外のF✩✩✩✩で作られているからです。

24時間換気の換気計算量

ただしF✩✩✩✩で作られた仕上材を使用した場合においても家具などからの発生が考えられるため下記の計算式で求めた居室の換気量を確保する必要があります。これがいわゆる24時間換気と呼ばれるものです。


・住宅の居室等 V=0.5・A・h

・上記以外   V=0.3・A・h

V : 有効換気量(m3/h)

A : 居室の床面積(m2)

h : 居室の高さ(m)


住宅の居室は0.5回/hつまり1時間で居室の50%にあたる体積の空気を入れかえる、それ以外は30%にあたる体積を入れかえるということを意味しています。

計算例を示します。

面積が40m2で平均天井高さ2.7mの住宅の居室の24時間換気量を求める場合V=0.5・A・hより

V=0.5×40×2.7=54

よって24時間換気として必要な換気量は54m3/hとなります。

店舗などの居室は住宅の居室ではないのでV=0.3・A・hでも本来よいはずですが実際確認申請に絡む図面を作成する場合の換気計算書では安全側の値になるV=0.5・A・hを使用していることが多いです。

設備設計で換気量計算をする場合、法的に必要な換気量を計算する場合は上記の居室の換気量N=20Af/N と 24時間換気のV=0.5・A・hとV=0.3・A・h これを覚えておけばよいです。

空調機選定の考え方 〜1〜

空調設備設計の際に空調機を選定するためにはまず、どれくらいの空調能力が必要になるかを検討する必要があります。

今回は空調負荷 概算値の算出方法について説明します。

業態・用途別の単位面積あたり空調負荷について

空調負荷は日射負荷 貫流熱負荷 外気負荷 照明負荷 人体熱負荷などがあり本来はそれぞれを計算し合算して熱負荷を求めます。

しかし、これらを計算して空調負荷を求めるのは手間がかかるので概算値を知りたい場合は面積あたりの空調負荷を想定して算出する方法がよくとられています。

単位面積あたりの空調負荷はおおよそ以下になります。


業態・用途別の単位面積あたり空調負荷


一般家庭の住居の居室…………………150〜180w/m2

事務所 保育園の保育室
アパレル店舗の売場 …………………180〜250w/m2


喫茶店の客席    …………………250〜350w/m2


レストラン・
居酒屋などの客席  …………………350〜450w/m2


焼肉店などの客席  …………………450〜550w/m2


上記値についてはあくまでも概算のための想定値になりますので日射が直接差し込む室などについては日射負荷をプラスした数値で考える必要があります。

その詳細ついてはまたの機会に説明したいと思います。

面積を掛け算するだけ

あとは空調負荷を知りたい部屋の面積に上記の単位あたり空調負荷の値を掛け算するだけで概算値が出せます。

例えば、家に新しいエアコンを付けたいと思った時は一般家庭の住居の居室、この値を使ってください。

150〜180w/m2ですね。

一般家庭の通常のリビングであれば150w/m2みておけばよいです。縦6m、横4mの部屋の場合面積は24m2です。よってこの部屋の空調負荷を算出する式は

150w/m2 × 24m2 = 3600w=3.6kw

これで空調負荷がわかりました。空調機の品番で例えばダイキンの家庭用壁掛け空調機、ルームエアコンと言われているものですが、の品番で AN36XCS-W や AN36XSS-F などがあります。

品番中の36という数字、これが空調機の能力を表しています。察しの通り36が入っている場合の能力は3.6kwとなります。

算出した空調負荷3.6kwにぴったりの能力の空調機がAN36XCS-W や AN36XSS-F ということになります。

壁掛ルームエアコンAN36XSS-F ダイキンHPより

微妙な面積の場合は?

わかりやすくするために空調負荷と空調機能力が同じになる計算例で説明しましたが部屋の広さが20m2の時は空調負荷の計算結果は3.0kwになります。このような場合はどのように考えればよいか。

やはりこの場合も3.6kwの空調機を選定することになります。基本は空調負荷を上回る能力の空調機を選定します。

ちなみに空調機能力は

2.2kw 2.8kw 3.6kw 4.0kw

5.6kw 6.3kw 7.1kw

この刻みの能力でラインナップされています。メーカーや機種によっては3.2kwがあるかもしれません。

と言っても家庭用空調機についてはこの機種は何畳用です、という売りかたをしているので何畳かわかれば計算は不要なのですが。

自分の家の部屋が何畳かわからない場合や、お店で勧められた機器の能力がはたして適正なのか、ある程度の基準を自分で計算したいという方

納得いく買い物をするために是非、スケールで部屋の縦横の長さを計測して求めた面積から空調負荷を求めてみてください!

次回はどのような場所にどのような形状の空調機を設置すればよいか説明したいと思います。