一酸化炭素中毒は死に直結する〜給湯器の設置について〜

室内に給湯器を設置して排気筒により排気する場合やダクト対応型の排気ダクト内に燃焼後の汚染された空気を排気する方法の給湯器を設置する場合は特定ガス工事監督者の資格を持つ者が施工を指導しなければいけない決まりになっています。

給湯器の設置工事は取り扱いを間違えると一酸化炭素中毒により最悪は死亡事故につながる可能性もあるほどのリスクを伴うものです。

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過去におきた重大事故例

平成5年5月、山梨のリゾートマンションで密閉式の暖房機能付瞬間湯沸器の機器のみを交換して排気筒の健全性を確認せずに再利用したことが原因で7名の死亡と中毒者2名となる事故が発生しています。

ガス消費機器設置工事監督者 再講習テキスト より

既存の排気管は20年以上使用されていたもので腐食によって穴が空いていたことに加えて給排気トップの金網が破れて、そこから鳥が入り込み排気管内部に巣が作らてれている状態でした。

また、機器交換時に排気管と機器接続部のサイズが合わずガムテープで隙間を塞ぐという杜撰な施工がなされていました。

鳥の巣が障害になり排気が正常に排出されない状態のまま運転し続けたことにより一酸化炭素が発生し、排気管の穴などの隙間から天井内を経由して居室へ流れ出ました。

一酸化炭素を吸い込んだ結果、居室にいた7名が死亡、2名が中毒となる重大な事故に至っています。

事故から考えられる対策としては

・機器交換時に排気管の確認を行い、新設する機器と合うものか確認する。

・天井裏の排気管に異常がないか確認する、目視できない場合は内視鏡などで確認する。

・排気管については容易に外れないよう抜け防止の処置が講じられていること、気密保持の処置が講じられていることを確認する。

以上になります。

正直、この事例を見た時に私が思ったのは20年以上使用された排気管の再利用を安易にしてはいけないということです。

現場確認をよくした上で排気管の再利用でなく新規に交換する機器に合わせて排気管も更新する判断をすべきでした。

気を抜くとこのような判断をしてしまう可能性はゼロではないので、自分自身も現場調査は丹念に行い安易な判断に繋がらないように心がけたいです。

CO濃度と吸入時間および体に現れる症状について

一酸化炭素、COの比重は0.967で無色無臭なので空気中に拡散しても気づきにくいですが、発生時にアルデヒド等の刺激物も発生するのでその異臭はします。

COは血中の酸素を運搬するヘモグロビンと結びつきやすい性質がありますが、酸素よりも200から300倍も結合力が強いため微量でもCOを吸込むと酸素の運搬能力は著しく低下します。

ガス機器の使用中に頭痛や脱力感、または目が痛くなったり異臭を感じた場合はすぐにそのガス器具の使用を中止して窓を開けるなどして換気をしてください。

CO濃度によって中毒症状は大きく違います。

以下にCO濃度と中毒症例についてに資料を添付します。

CO濃度と吸入時間による一酸化炭素中毒症例  ガス消費機器設置工事監督者 再講習テキスト より

ガス消費機器設置工事監督者は排気筒の確実な施工を実施することが重要

特定ガス消費機器工事の監督に関する法律は、特定ガス消費機器の設置工事の欠陥に関わる災害を防止するために工事事業者の工事の監督に関する義務等を定めたものです。

特に排気筒の確実な施工は重要なものなので強制給排気型や強制排気型、フード対応型の給湯器を設置するなどの特定工事を特定工事業者が施工した場合には表示を付すことが第6条に規定されています。

いわゆる特監シール これを給湯器などに添付します

FF(強制給排気型) および FE(強制排気型)の場合の表示ラベル貼付位置の例を下に示します。

フード対応型の場合の表示ラベル貼付位置の例を下に示します。

最近の給湯器はセンサーで汚染物質を感知して自動で運転停止するなど性能が向上してることもあり事故は減少傾向です。

しかし過去の事故事例から死亡者が発生している事例もあり、このような痛ましい事故を起こさないために排気筒などが確実に施工されているか確認することは大事なことです。

ちなみにこのシールを貼ることができるのはガス消費機器設置工事監督者の資格者となります。

講習のみで資格はもらえるので必要があればお金はかかりますが講習を受けて資格をとりましょう!

給水方式について

建築物への給水の仕方について、その建築物の規模や用途などで違った方式が採用されます。

今回は、給水方式にはどのような方式があって、どのような特徴があるのか説明していきます。

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給水方式の分類

給水本管から配管を分岐して受水槽を経由しないで直接的に給水する方式を水道直結方式といいます。

水道直結直圧方式 と 水道直結増圧方式があります。

建築物内に受水槽を設けて給水する方式を受水槽方式といいます。

高置水槽方式 ポンプ直送方式 圧力水槽方式

がありますが、圧力水槽方式については新規の採用がないため説明を省きます。

水道直結方式は衛生的

・水道直結直圧方式

水道本管から直接、建築物内へ給水を引き込む方式で2F建てまでの建築物に限定されていましたが、最近は高圧配水システムを採用してる水道事業所において4~5Fまで供給できるようになっています。

受水槽を設けないので水が滞留する時間がなく衛生的であることがメリットですが、水道本管が断水した場合は直ちに断水することがデメリットとなります。

・水道直結増圧方式

給水本管から直結の形ですが10F程度までの中規模建築物についても対応できるように増圧ポンプを設置して水圧を制御する方式です。

増圧ポンプのイメージ テラル㈱のHPより

インバーターによる変速制御と台数制御によって流量をコントロールしています。

また、ポンプユニットから本管側へ逆流しないように逆流防止装置が設けられています。

水道本管の圧力を利用できるため省エネルギーになるのと、1年毎の清掃が義務付けられていない10m以下の受水槽の建築物を水道直結増圧方式にすることによる衛生面の向上がメリットとしてあげられます。

この方式も水道本管が断水すると断水します。

増圧ポンプを設置する場合に水道局メーターはバイパスユニットとしなければなりません。

メーターバイパスユニット ㈱日邦バルブのHPより

受水槽が無いためメーター交換時でも給水可能とするためにこのような処置がとられています。

受水槽方式は給水本管が断水してもすぐに断水しない

・高置水槽方式

高置水槽方式は1FあるいはB1Fなどのレベルで受水槽を設け揚水ポンプで屋上の高置水槽まで水を持ち上げます。

高置水槽からは自然の重力によって給水する方式です。

最上階での水圧確保ができるように高置水槽の高さを設定しなければならないので、ペントハウスの上にさらに架台を組んで屋上のスラブから7~10m上になるように設置されている水槽を見かけたことがあるのではないでしょうか。

ちなみに10m上に持ち上げれば約0.1Mpa(1.0kgf/cm2)の水圧を確保できます。

しかし最近はこの高置水槽の採用はかなり減っています。

水槽は2つ必要なのでその設置場所および維持管理に労力や経費がかかることが避けられる理由だと考えられます。

改修工事の際に高置水槽をやめて水道直結増圧方式かポンプ直送方式かいずれかに変更している事例が多いです。

新築工事にいたっては、現在ほとんどこの高置水槽方式は採用されていないというのが実感です。

・ポンプ直送方式

受水槽でいったん水を貯めて、そこから直送ポンプ(加圧ポンプとも言う)で建築物内の各所へ水を送る方式です。

受水槽方式のメリットとしては給水本管が断水しても受水槽内に貯められた水は電源喪失さえしてなければ使用できることです。

受水槽への給水には定水位弁(通称FMバルブ)を使用します。

定水位弁は副弁(ボールタップから電磁弁に至る部分)と主弁がセットになっていて水位が下がってボールタップが下がると副弁が開きそれに連動して主弁が開きます。

主弁はマンションなど流量が多い場合は50Aなどのサイズとなるため、この配管径のバルブの開閉はウォーターハンマーを起こす可能性が高く、その衝撃音が問題となることや配管継手部や機器類の損傷につながる可能性があるためそれらを防止する目的で定水位弁を用いています。

20Aまでの細い配管であればボールタップそのままで給水していますが25A以上では副弁を用いた定水位弁での供給をしています。

定水位弁の配管例 ㈱ベンのHPより

今回のテーマである給水方式の説明はここまでになります。

参考にしていただければと思います!

給排気ファンの選定

風量と静圧がわかればファンを選定できます。

メーカーのカタログなどに線図があるので、線図に風量と静圧を書き込めば選定できます。

ファンもいろいろ種類があるので、店舗などの設備工事でよく使用するものについて説明します。

筆者撮影

シロッコファンを性能表から選定

風量と静圧の条件につては

風量:5350m3/h

静圧:480Pa とします。

今回は荏原製作所シロッコファンの性能表に風量と静圧をプロットして選定します。

機種は一般的な空調、換気用に使用するSRM4 を選びます。

番手については No.2 1/2 で検討

性能表に上記の風量と静圧をプロットすると以下のようになります。

SRM4 No.2 1/2 の性能表

風量と静圧の線が交わった点は2.2kwの範囲に入っているのでモーターは2.2kwとなります。

では、同じSRM4で番手が No.2 だったらどうなるでしょうか。

サイズが小さければコストダウンになるので検討してみます。

性能表に風量と静圧をプロットします。

SRM4 No.2 の性能表

風量5350m3/h 静圧467Paをとった点が選定エリアから外れていることがわかります。

この場合はNo.2での選定は不可であることを意味します。

コストダウンしたくてもファンの能力が出ない可能性があるのでNo.2はあきらめてNo.2 1/2 で選定することになります。

また、風量と静圧から求めた性能表上の点の位置はできるだけ性能表の中央付近になるように番手を選定します。

あまりにも上の方に点が来てしまった場合は例えばファンを設置した後に風量がやや足りなかったりすることがありますが、その時にモーターの能力を上げたりプーリーアップして回転数を上げたりしますが、それらの対応ができないことになります。

性能表上にプロットした点の位置が下の方によってしまう場合は能力を過剰にみている可能性が高いので番手をひとつ下げる検討が必要です。

ファンの種類はどのように使い分けているのか

シロッコファン

シロッコファンについては、風量および静圧が大きくとれるので排気量が多めに必要となる場合に選定します。

厨房排気はシロッコファンの選定が多いです。

荏原製作所で言えばSRMや気体温度80℃まで対応可能なSRMOが選定されます。

シロッコファン 荏原製作所のHPより

ストレートシロッコファン

ストレートシロッコファンは天井のふところ内に本体が納まるようにコンパクトな形をしています。

ストレートシロッコファン 三菱電機のHPより

居室の一般換気で使用することが多いです。

かなり運転音が静かで最近の機種は40dBを下回るものもあります。

また、厨房用のストレートシロッコファンもあります。

風量は大きいもので10000m3/h程度まで対応できる機種があるので(風量大きい場合はシロッコファンの方が良いですが)必要に応じて選定することになります。

天井扇

天井扇はマンションや事務所などの建築物で比較的風量が小さい居室やトイレの排気などで選定されます。

天井扇 三菱電機のHPより

一台あたり風量が小さいもので50m3/h、大きいもので400m3/h程度までの対応となります。

風量と静圧ともに小さめの時に選定されます。

風量や用途で細かく品番が分かれていて、かなり多くのバリエーションが存在しています。

サニタリー用や事務所用など用途によって最適な天井扇を選定することができます。

全熱交換器

ロスナイ(三菱電機商品の商品名ですが)と呼ばれる全熱交換器は事務所によく設置されます。

全熱交換器 三菱電機のHPより

室内空気と室外空気の顕熱と潜熱ともに交換できます。

エンタルピー交換効率が75%の機種を採用すれば空調負荷計算の際に外気風量を75%減じて計算することができます。

ラインファン

ラインファンについては給気用で設置することがあります。

得られる風量に対してファンの値段は安いと言えますが、運転時の騒音が問題視されることがあります。

LFMのNo.3で59〜56.5dBです。

過去の現場において何度か「音がうるさいからなんとかしてほしい」というクレームをいただいたことがあります。

ラインファン 荏原製作所のHPより

消音型の機種もありますが消音部材の大きさが大きく納まりが悪くなるので、それならばストレートシロッコの方がコンパクトで納まりが良いため最近は給気ファンもストレートシロッコで選定してしまうことが多いです。

ミニシロッコファン

ミニシロッコファンも騒音が比較的大きく過去現場でクレームをいただいたことがあります。

ミニシロッコファン 三菱電機のHPより

BF-21S4の吸込部分で63dBなのでかなりの騒音が出ます。

これもできれば居室の天井内設置は避けたいです。

過去に一度でもクレームをいただいてやむなく是正工事で交換という経験をしてしまうとなかなかその機種を同じシチュエーションで選定することはできませんが、騒音があまり関係のない場所では使用できるので臨機応変に選定してください。

最後は騒音のクレームの愚痴みたいになってしまいましたが、ファン選定の参考にしてみてください!

角ダクトの静圧計算

丸ダクトの計算の次に来るのは角ダクトの計算ですよね。

この計算もちょっと複雑といえば複雑というのと結局どう計算していいかわからないパターンなどが出てきたりするため混乱するのですが簡易的な例を示しながら計算の説明をしてみます。

筆者撮影

ダクト経路の図とその静圧計算書

言葉だけで説明しようとしてもわけがわからなくなるので、まずはダクト経路の図と計算書を示します。

筆者作成
筆者作成

直管部分は丸ダクトの計算と同様に単位あたりの静圧と管路長をかけ算します。

継手のエルボや分岐部分は 抵抗係数ζ×動圧ρv2/2 を計算していきます。

継手の形状毎に抵抗係数や計算方法が違うので資料を見ながら計算していきます。

この計算で行き詰まるパターンとして現実のダクトの形状にあてはまる局部抵抗の計算式が資料に見当たらないということがあります。

局部抵抗の計算は参考書によって異なるものもある

まだ駆け出しのころは一冊の参考書を頼りに勉強しており、局部抵抗の計算の種類はその教科書に掲載されているものが全てだと思っていました。

しかし、いろいろな参考書を見るようになって、それぞれの参考書によって書いてある種類の数も違うし、同じ形状の継手の計算式でも違う計算方法が書いてある場合もあることがわかってきました。

ちなみに上の計算に用いた局部抵抗の資料は以下です。

・エルボ部分

空気調和設備計画設計の実務の知識より

・合流部分

建築設備設計基準(いわゆる茶本と呼ばれる参考書です)より

角ダクト合流部分の直通の流れの静圧は丸ダクトの計算と同様でよいとのことで合流部分については丸ダクト合流の資料を参考にしています。

細かい説明もしたほうがよいのかもしれませんが、うまい説明の仕方が思いつかないです。

この静圧計算については計算例や参考書を見ながら自分で何度も計算して理解していくしかないのかもしれません。

あるいは最近は簡単に計算できるプログラムを誰かが組んでいるかもしれませんが。

混乱するといけないのでひとつ言っておきたいこととして、シロッコファンなど選定する時に計算しているのは機外静圧です。

前回のブログで機器静圧も足し算した計算を紹介していますが、今回の計算では機器内の静圧は無視してゼロとして計算しています。

経験上では、ほとんどのメーカーが機外静圧の計算で機器選定しますので混乱しないようにしてください。