居室や火気使用室は換気をするために必ず外気を取り入れる必要があります。
夏期に室内へ外気を取り込んで冷やす際に空気中の気体の状態で存在する水蒸気が液体の水へと状態変化するために熱がうばわれます。
この潜熱負荷が夏期の空調負荷が大きくなるひとつの要因となっています。

すきま風負荷の計算式
すきま風負荷には顕熱負荷と潜熱負荷があり以下の計算式によって計算します。
すきま風による顕熱負荷qs[W]を求める計算式は
qs = cp・ɤ・Δt・Qi / 3600
= 0.33 Δt・Qi
すきま風による潜熱負荷qL[W]を求める計算式は
qL= r・ɤ・1000・Δx・Qi / 3600
= 833 Δx・Qi
cp:空気の低圧比熱 1.0×103[J/kg・k]
ɤ:空気の比重量 1.2[kgf/m3]
r:水の蒸発潜熱 2500[J/g]
Δt:室内外乾球温度差 [k]
Δx:室内外絶対湿度差 [kg/kg(DA)]
Qi:すきま風の風量 [m3/h]
上記の式を使って実際に数値を代入して計算してみます。
外気温度34.7℃ 室内温度設定27℃で取り込む風量が3000m3/hの場合の顕熱負荷は
qs = 0.33 Δt・Qi より
qs = 0.33 ×(34.7-27.0)×3000[m3/h] = 7623[W]
となります。
外気の絶対湿度0.0186[kg/kg(DA)]で室内がの絶対湿度が0.01229[kg/kg(DA)] 取り込む風量が3000m3/hの場合の潜熱負荷は
qL = 833 Δx・Qi より
qL = 833 (0.0186 – 0.01229)×3000[m3/h] = 15768.7[W]
となります。
厨房に取り込む給気もすきま風負荷として計算
すきま風負荷という名前がついているため、あくまですきまから入ってくる風量を計算するイメージかもしれませんが厨房に給気として取り込む外気による負荷もこの計算で求めてしまいます。
上記の計算では風量を3000m3hとしましたが、これは喫茶店などのお店全体の風量を想定しました。
居酒屋などの飲食店の場合は厨房の換気量がもっと大きいため8000~10000m3/h程度にはなります。
さらにここに機器類からの発熱も考慮すると空調負荷がかなり大きくなり、空調機の台数が増えて厨房の天井が空調機だらけになるような設計になってしまう可能性もあります。
このため、厨房は作業員に直接風を当てるスポット空調という考え方で計画されることがほとんどです。