空調負荷計算〜3 すきま風熱負荷〜で書いた内容の中で外気を取り込んだときに顕熱負荷と潜熱負荷に分けて計算すると説明しました。
ところで、顕熱負荷そして潜熱負荷とはいったい何なのでしょうか。
潜熱負荷のイメージ
顕熱負荷というのは例えば外気温33℃の空気を27℃に下げる場合は温度差6℃を下げるための負荷ということになります。
では、潜熱負荷とは何でしょうか。
33℃の外気を27℃に下げる場合、空調機内の熱交換器は20℃程度となっていると想定したとき外気が熱交換器を通る際に外気に含まれている気体の状態である水蒸気が液体の水に変化します。
この状態変化のために熱が奪われています。
見かけ上に顕れる温度を下げているわけではないので潜んだ熱ということで「潜熱」と呼ばれています。
つまり、冷房する際は単純に33℃を27℃に下げる分の熱を奪えばよいのではなく、水蒸気が水になる状態変化のために奪われる熱の分もプラスして冷却しているのです。
ちなみに水蒸気が変化した水は空調機のドレンとして排水されています。
状態変化と熱のやり取りのイメージを以下に図示しておきます。

潜熱については中学校の理科でも話が出てきます。
氷⇒水⇒水蒸気という変化をする場合の時間と温度の関係を簡略的に示したグラフが以下になります。

なんか中学校の時に勉強したかもな、となんとなく思い出す方もいると思います。
グラフが階段の踊り場のように水平になっている部分は氷が水へ、あるいは水が水蒸気へ状態変化してる最中であることを意味します。
この最中は温度変化はしません。
しかし加熱はし続けていて熱は移動しています、このとき移動している熱が「潜熱」です。
空気線図上で変化の動きをみてみる
夏期の空冷空調機による冷房時の温湿度の変化を空気線図上で追ってみると下図のようにななめ左下へ移動するような変化をたどります。

温度が下がると同時に絶対湿度も下がることがわかります。
また、気温が高いほどこの矢印の角度が急になります、つまり温湿度が高い時期の外気ほど少ない温度変化でも多くの結露水が発生することを意味しています。
次に冬期の温湿度変化をみてみます。

冬期は加湿機能のない通常の空冷の空調機では温度のみが変化して絶対湿度は加湿されないので変化しません。
よって相対湿度は下がることになります。
冬の室内の乾燥の原因のひとつがこの暖房によるものです。
加湿器を併用しなければかなり相対湿度が下がってしまうということになります。
室内の環境として相対湿度は最低でも40%以上にしておくべきです。
一般的な空調機で暖房する場合は室内の相対湿度が30%以下になっていることもあり得ますので冬場は加湿器の併用をしないと室内がかなりの乾燥状態になる可能性があります。