給水設備において受水槽から高架水槽までの送水、あるいは受水槽から直接各水栓などへはポンプによって送水されてます。
ポンプを選定するときにどのように考えればよいのか、建物の高さや配管の距離によって変わることは想像がつきます。
計算例を示しながら説明していきます。

直送ポンプの選定について
給水ポンプ選定をする際に能力を決定するために瞬時最大流量と揚程を確認する必要があります。
給水ポンプの送水量は瞬間最大流量以上とし、揚程は算出した揚程以上として選定します。
まず瞬時最大流量の求め方は以前のブログで紹介した給水の負荷流量計算を参照してください。
瞬時最大流量は210L/minとします。
次に揚程ですが下記に示す式で求めます。
H≧H1+H2+H3
H:直送ポンプの揚程[m]
H1:直送ポンプの吸水面から最高位にある器具までの実高さに相当する水頭[m]
H2:管路における摩擦損失水頭[m]
H3:最高位にある器具や水栓の必要圧力に相当する水頭[m]
ちなみに揚程とは摩擦損失などを水柱の高さとして表現したものになります。
下に図示した系統について揚程の計算をしてみます。

また、計算を簡略化するために条件を下記のように設定します。
最遠の器具までの配管長は60mとし摩擦損失はその配管長の摩擦損失と同等とします。
単位当摩擦損失は0.35kPa/mとします。
以上の条件での計算例を示します。
H1は図より11.0m
H2については配管長60mで摩擦損失はその配管長の摩擦損失と同等という条件より配管長の2倍に対する摩擦損失をもとめればよい
H2=60×2×0.35/9.8=4.3m
H3については最高位かつ最遠の位置にある大便器洗浄弁の流水時必要圧力が70kPaより
H3=70/9.8=7.14m
これらの値を代入して計算していきます。
H≧H1+H2+H3
=11.0+4.3+7.14=22.44m
H≧22.44m という結果が得られます。
ポンプ選定図で品番を決定する
エバラポンプのカタログを参照します。
F1300型吐き出し圧力一定・並列交互運転方式で選定していきます。
下記の選定図で給水量210L/min を垂直にとり、揚程22.44mを水平にとって交わる点がどこに位置するかを確認します。

ちょっと微妙な位置になりますが32-5.6Sの範囲に交点が記入されます。
次に下に示した仕様表から32-5.6Sの機種は 32BIPME5.6S となります。
この機種は単相100Vなのでもし三相200Vで選定したい場合は32BIPME5.75 を選定すればよいです。

エバラの給水ポンプユニットF1300型、交互並列運転方式の外観は下の写真です。
とりあえずはポンプの選定ができました。
本音を言うと配管経路の摩擦損失計算をもっと細かくしたかったのですが煩雑になるので今回は簡略化しました。
またの機会に挑戦したいと思います。
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