建築物への給水の仕方について、その建築物の規模や用途などで違った方式が採用されます。
今回は、給水方式にはどのような方式があって、どのような特徴があるのか説明していきます。
給水方式の分類
給水本管から配管を分岐して受水槽を経由しないで直接的に給水する方式を水道直結方式といいます。
水道直結直圧方式 と 水道直結増圧方式があります。
建築物内に受水槽を設けて給水する方式を受水槽方式といいます。
高置水槽方式 ポンプ直送方式 圧力水槽方式
がありますが、圧力水槽方式については新規の採用がないため説明を省きます。

水道直結方式は衛生的
・水道直結直圧方式

水道本管から直接、建築物内へ給水を引き込む方式で2F建てまでの建築物に限定されていましたが、最近は高圧配水システムを採用してる水道事業所において4~5Fまで供給できるようになっています。
受水槽を設けないので水が滞留する時間がなく衛生的であることがメリットですが、水道本管が断水した場合は直ちに断水することがデメリットとなります。
・水道直結増圧方式

給水本管から直結の形ですが10F程度までの中規模建築物についても対応できるように増圧ポンプを設置して水圧を制御する方式です。
インバーターによる変速制御と台数制御によって流量をコントロールしています。
また、ポンプユニットから本管側へ逆流しないように逆流防止装置が設けられています。
水道本管の圧力を利用できるため省エネルギーになるのと、1年毎の清掃が義務付けられていない10m3以下の受水槽の建築物を水道直結増圧方式にすることによる衛生面の向上がメリットとしてあげられます。
この方式も水道本管が断水すると断水します。
増圧ポンプを設置する場合に水道局メーターはバイパスユニットとしなければなりません。
受水槽が無いためメーター交換時でも給水可能とするためにこのような処置がとられています。
受水槽方式は給水本管が断水してもすぐに断水しない
・高置水槽方式

高置水槽方式は1FあるいはB1Fなどのレベルで受水槽を設け揚水ポンプで屋上の高置水槽まで水を持ち上げます。
高置水槽からは自然の重力によって給水する方式です。
最上階での水圧確保ができるように高置水槽の高さを設定しなければならないので、ペントハウスの上にさらに架台を組んで屋上のスラブから7~10m上になるように設置されている水槽を見かけたことがあるのではないでしょうか。
ちなみに10m上に持ち上げれば約0.1Mpa(1.0kgf/cm2)の水圧を確保できます。
しかし最近はこの高置水槽の採用はかなり減っています。
水槽は2つ必要なのでその設置場所および維持管理に労力や経費がかかることが避けられる理由だと考えられます。
改修工事の際に高置水槽をやめて水道直結増圧方式かポンプ直送方式かいずれかに変更している事例が多いです。
新築工事にいたっては、現在ほとんどこの高置水槽方式は採用されていないというのが実感です。
・ポンプ直送方式

受水槽でいったん水を貯めて、そこから直送ポンプ(加圧ポンプとも言う)で建築物内の各所へ水を送る方式です。
受水槽方式のメリットとしては給水本管が断水しても受水槽内に貯められた水は電源喪失さえしてなければ使用できることです。
受水槽への給水には定水位弁(通称FMバルブ)を使用します。
定水位弁は副弁(ボールタップから電磁弁に至る部分)と主弁がセットになっていて水位が下がってボールタップが下がると副弁が開きそれに連動して主弁が開きます。
主弁はマンションなど流量が多い場合は50Aなどのサイズとなるため、この配管径のバルブの開閉はウォーターハンマーを起こす可能性が高く、その衝撃音が問題となることや配管継手部や機器類の損傷につながる可能性があるためそれらを防止する目的で定水位弁を用いています。
20Aまでの細い配管であればボールタップそのままで給水していますが25A以上では副弁を用いた定水位弁での供給をしています。
今回のテーマである給水方式の説明はここまでになります。
参考にしていただければと思います!