風量測定とは言うものの、測定するのは風速です。
風速に制気口などの面積と開口率を掛け算すれば風量を算出することができます。
風量測定も慣れてしまえばいつものやり方で測定すればいいかなという感じなのですが今回は風量測定の方法などについて少しだけ詳しく調べてみます。

風速から風量を算定する計算式
まず風速から風量を算定する計算式について。
Q=Av×3600
Q:風量[m3/h]
A:計測するダクトやフードや制気口の面積[m2]
v:風速[m/s]
3600を掛け算するのは秒[s]の単位を時間[h]にするためです。
毎分当たりの風量[m3/min]で算出したい場合は60を掛け算してください。
制気口の面積についてはその面積に開口率、70%などを掛け算して開口部分の面積の数値で計算します。
風速計について、どんなものを使用する?
建築設備の仕事に携わる方の中でも空調設備や換気設備に関わる方は何気なく使っている風速計ですが風速計にもいろいろ種類があります。
どんな風の風速を測るかで使用する風速計も違います。
室内の弱い風の風速を計測する場合は熱式風速計を使用します。
つまり、設備屋さんが使用している風速計はほとんどが熱式風速計です。
熱式風速計は通電状態にあるセンサーが風で冷却された時の抵抗値の変化によって風速を測定しています。
その他にベーン式風速計、風杯型風速計がありますがベーン式風速計は0.4〜30m/s程度が測定範囲なので空調換気設備の風量測定には適しているとは言えません。
実際に計測してみると、不具合があって風の出が悪い制気口で0.1m/s以下を記録することがあります。
ベーン式風速計では、どこが風の出が悪いかを確認するという意味において役不足なのです。
また、風杯型風速計は気象観測用に屋外で用いられるもので制気口の風量を計測するようなものではないです(言われなくてもわかるわ、というツッコミが聞こえますがいちおう‥)。
実際に風速を何点とるか?
風速はひとつの制気口やフードで何点か測定してその平均値をとりますがどこを何点とるか。
風速計のメーカーKANOMAXのサイトに空調・換気の風量測定について記載があるので参考にしようと思いましたが実際、現場で計測する方法としては無理があります。
丸ダクト内で20点とか矩形ダクト内150mm間隔以下で16点以上測定などやってもよいですが…。
ダクト内の風速をとる場合、ダクト点検口からとるとして径がそんなに大きくないダクトであれば突っ込んで少しずつずらしながら奥と真ん中と手間で3点くらいというイメージでしょうか。
計測しながら必要以上の数値がでればOKとしています。
天井扇や制気口の風速を測定する場合は300×300程度の大きさであれば4点程度でしょうか、サイズが大きければ測定点を適宜増やします。
フードの面風速については1000×1000程度であればフードの4隅から100mm以上入った位置で4点プラス真ん中あたりで1点の5点、フードのワイドか大きくなれば測定点を増やしていきます。

ワイドが大きくなれば下のように8点など適宜測定点を増やしていきます
みなさんはどんな感じで測定しているでしょうか?
風量測定するときは事前に、これくらいの面風速は出ていないとおかしい、という数値をあらかじめ算出して図面などにメモしておいて制気口のシャッターやダンパーを調整しながら計測していきます。
計測時に明らかに風量が少ない異常値を示す箇所があった場合が問題です。
フレキの部分が天井下地材に潰されていたり、ダクトサイズが細すぎるなど、わかりやすい原因であればまだよいのですが、そもそも設計時点での考え方に無理があるということもあります。
この場合が頭をかかえてしまうのですが…どうやって直せばいいのか分からず迷宮入りするパターンもあるので。
換気風量に関しては厨房の排気風量は火気使用に対して必要とされる風量を守らなければならないことや、実際の営業時に料理をしてみたときに煙の吸い込みが悪いなどの問題があってはいけないのでお客様も気にされることが多いです。
必ず風量測定結果表は作成して竣工に間に合うように提出するようにした方がよいです。
居室部分も同様です、こちらも法的に必要な居室に対する風量と24時間換気の風量は必ず確保しなければならないので。