給湯能力と給湯器の選定について

設備屋さんのBLOGというタイトルなのですが最近、脱線したままどこかに行ってしまいそうになっていたので設備に関する内容にいったん戻りたいと思います。

今回は給湯能力と給湯器の選定について、どのように考えればよいか。

店舗工事において、よくあるのが食器洗浄器用に16号給湯器が1台、そしてお湯の水栓用で24号給湯器1台を設置するというパターンです。

筆者撮影

給湯器の号数と給湯能力

業務用の給湯器でよく使用するのが24号給湯器です。

この24号という部分がその給湯器の給湯能力を示していますが、その定義を確認します。

給湯器1号あたりの能力は1Lの水を1分間に25℃上昇させる能力のことです。

つまり24号給湯器の場合、冬場5℃の水を30℃まで上昇させて24L/minの量を給湯できることになります。

一般的な飲食店の考え方ですが、だいたいお湯の水栓は厨房に4個程度あります。

以前のブログでも書いたことがありますが水栓1カ所あたり、水栓をほぼ全開で使用したとして15L/minの使用量です。

厨房の水栓1カ所を使用していた場合は40℃上昇させることが可能です。

同時に2カ所を使用していたとしても20℃上昇まで可能となり、冷たくない程度の温度にはできることになります。

4ヶ所の湯栓があったとしても、同時に全て全開で使用することはまずないので同時2ヶ所までなんとかなればよしとします。

食器洗浄機がある場合はお店のピーク時の食器を大量に洗う時間帯は頻繁に食器洗浄器が稼働してお湯の供給が増大するため、その専用で16号給湯器1台を別で設置しておくという考え方になります。

最近は省エネや効率化またはイニシャルコストを下げたいという観点からとくに多店舗展開するチェーン店などにおいては厨房をコンパクトに計画する傾向があります。

食器洗浄機自体がない、あるいはあっても電気のヒーターで補助するタイプでお湯の供給はしないという場合は食器洗浄機専用の給湯器は不要になります。

さらに、厨房内に湯栓が2ヶ所しかなく同時使用もめったにありませんよ、という場合は24号でなく16号給湯器1台で十分ということになります。

ノーリツのHPより 飲食店でよく使用するフード対応型の24号および16号の給湯器

シャワー1台につき16号給湯器1台

フィットネス業態などでシャワーユニットを設置することがあります。

この場合は基本はシャワーユニット1台につき16号給湯器1台設置という考え方になります。

シャワーユニットの台数が10台などある程度まとまっている場合は16号給湯器10台分つまり160号分の給湯器を設置するのが無難ですが同時使用率を70~80%と考えて100号で計画する場合もあります。

その判断は、その店の考え方次第です。

まとまった人数でレッスンしたあと一斉にシャワーを使用するということであれば同時使用率100%となることはあります。

個別レッスンがメインの場合は一斉にシャワーを使用することはないので同時使用をそこまでシビアに考える必要がないということになります。

シャワーの台数が多くなると、必要になる給湯器の能力がとんでもなく大きくなることがあり、施設によっては必要なガス容量の供給がそもそもできなかったり、できたとしても何百万円もかかってしまうことも有り得ます(実際に見積もりしてみたらガス管の敷設で500万円以上の見積が出てくることはあります)。

シャワーの計画をする場合は、インフラの供給が可能なのかどうかも同時に考慮して進めなければなりません。

貯湯式電気温水器の場合は

ガスの供給が困難な場合に、では電気温水器でお願いします、とさらっと言われることがありますが、これはそんなに単純な話ではありません。

なぜかといえば電気温水器の場合は貯湯式がメインなので貯湯タンクの設置スペースが必要になるからです。

最初から貯湯式の温水器で計画されている場合は設置スペースも考慮されているのでよいですが、ガス給湯器がダメだから貯湯式でどお?みたいな行き当たりばったり系の話で置き場がない場合、きっぱりと、その計画は無理ですね、と答えるようにしています。

シャワーユニットの台数がそこまで多くなければ他のスペースを削って設置が可能な場合もありますのでそこは臨機応変に対応ですが。

貯湯タンクがかさばるのでなるべく少ない台数で計画したいところです。

私自身が考える目安は、30分間シャワーの連続使用をカバーできる貯湯量の確保をすることです、逆に言えば30分以上もシャワーを出しっぱなしで使用することはないだろうということからの考えですが。

単純に使用する湯量そのままのタンクの大きさが必要かというと、そうではありません。

なぜなら、電気温水器の湧き上がり温度は80℃程度(設定によりますが)なので必ず水と混ぜて使用することになるからです。

では、冬場5℃の水道水に80℃のお湯を混ぜて40℃、16L/min流量で使用する場合、水とお湯はどれくらいの割合で混合させるのか、それを計算する必要があります。

その計算の仕方ですが、中学校のときに習った熱量保存の法則を使います。


Q=mc⊿t

Q:熱量[J]

m:質量[g]

c:比熱[J/(g・k)]

⊿t:温度[k]

比熱は水の場合4.2[J/(g・k)]、1分間に供給する流量、16L中のお湯の量をV[L]として80℃のお湯の熱と5℃の水が混ざって40℃となっているので

1000V[g]×4.2[J/(g・k)]×(80-40)[k]=1000(16-V)[g]×4.2×(40-5)[k]

V×(80-40)=(16-V)×(40-5)

40V+35V=560

75V=560

V=7.47[L]


計算結果から16L中7.47Lが80℃のお湯であれば40℃になるということになります。

シャワー1台あたり7.47L/minの供給ができればよいことになるので30分間連続使用すると仮定した場合

7.47[L/min]×30[min]=224.1[L]

よって、タンクに224.1[L]以上のお湯があれば足ります。

シャワー2台であれば450[L]程度の貯湯量があればよい。

計算しておいて言うのもなんですが、けっこうな量が必要ですね。

この計算も目安として30分連続使用で計算していますが20分設定にすればもっと貯湯量は小さく考えることができます、業態や使用の仕方によってそこは臨機応変に変える必要があります。

SRG-466E 三菱電気 貯湯量460L

瞬間湯沸電気温水器の場合は電気容量が大きいので注意

貯湯式だとタンクが邪魔なのであれば電気の瞬間湯沸しもあるではないか、という声が聞こえてきます。

その通り、電気の瞬間湯沸しも存在します。

電気の瞬間湯沸器も号数換算するとどれくらいか、カタログ等に書いてあるのでガス給湯器の代わりに同程度の能力ものを選定すればそれでOK!

と思ったら大間違いです。

イトミックの電気瞬間湯沸器 EI-30N5 これが号数換算で17.2号の能力ですが消費電力が動力で30kw必要です、 EI-40N5で22.9号ですが消費電力40kwです。

40kwの動力となると一つの店舗全体がまかなえるほどの電力です。

厨房機器や空調機に使用する動力電源と合わせて70kwや80kwの動力を準備する必要が出てくることもあります。

これだけの電力を供給するためにはもとの幹線を太くして引き直すなど大掛かりなインフラ工事が必要になってしまう可能性が高く、予算的あるいは物理的にできない、という話になることもあります。

電化厨房にする都合で最初から電気瞬間湯沸がスペックされていて電気容量も足りる計画であればもちろん問題はありません。

お湯を使用する条件や施設の状況など総合的に判断して最適な選定ができればと思います!









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