カテゴリー別アーカイブ: 換気設備

給排気ファンの選定

風量と静圧がわかればファンを選定できます。

メーカーのカタログなどに線図があるので、線図に風量と静圧を書き込めば選定できます。

ファンもいろいろ種類があるので、店舗などの設備工事でよく使用するものについて説明します。

筆者撮影

シロッコファンを性能表から選定

風量と静圧の条件につては

風量:5350m3/h

静圧:480Pa とします。

今回は荏原製作所シロッコファンの性能表に風量と静圧をプロットして選定します。

機種は一般的な空調、換気用に使用するSRM4 を選びます。

番手については No.2 1/2 で検討

性能表に上記の風量と静圧をプロットすると以下のようになります。

SRM4 No.2 1/2 の性能表

風量と静圧の線が交わった点は2.2kwの範囲に入っているのでモーターは2.2kwとなります。

では、同じSRM4で番手が No.2 だったらどうなるでしょうか。

サイズが小さければコストダウンになるので検討してみます。

性能表に風量と静圧をプロットします。

SRM4 No.2 の性能表

風量5350m3/h 静圧467Paをとった点が選定エリアから外れていることがわかります。

この場合はNo.2での選定は不可であることを意味します。

コストダウンしたくてもファンの能力が出ない可能性があるのでNo.2はあきらめてNo.2 1/2 で選定することになります。

また、風量と静圧から求めた性能表上の点の位置はできるだけ性能表の中央付近になるように番手を選定します。

あまりにも上の方に点が来てしまった場合は例えばファンを設置した後に風量がやや足りなかったりすることがありますが、その時にモーターの能力を上げたりプーリーアップして回転数を上げたりしますが、それらの対応ができないことになります。

性能表上にプロットした点の位置が下の方によってしまう場合は能力を過剰にみている可能性が高いので番手をひとつ下げる検討が必要です。

ファンの種類はどのように使い分けているのか

シロッコファン

シロッコファンについては、風量および静圧が大きくとれるので排気量が多めに必要となる場合に選定します。

厨房排気はシロッコファンの選定が多いです。

荏原製作所で言えばSRMや気体温度80℃まで対応可能なSRMOが選定されます。

シロッコファン 荏原製作所のHPより

ストレートシロッコファン

ストレートシロッコファンは天井のふところ内に本体が納まるようにコンパクトな形をしています。

ストレートシロッコファン 三菱電機のHPより

居室の一般換気で使用することが多いです。

かなり運転音が静かで最近の機種は40dBを下回るものもあります。

また、厨房用のストレートシロッコファンもあります。

風量は大きいもので10000m3/h程度まで対応できる機種があるので(風量大きい場合はシロッコファンの方が良いですが)必要に応じて選定することになります。

天井扇

天井扇はマンションや事務所などの建築物で比較的風量が小さい居室やトイレの排気などで選定されます。

天井扇 三菱電機のHPより

一台あたり風量が小さいもので50m3/h、大きいもので400m3/h程度までの対応となります。

風量と静圧ともに小さめの時に選定されます。

風量や用途で細かく品番が分かれていて、かなり多くのバリエーションが存在しています。

サニタリー用や事務所用など用途によって最適な天井扇を選定することができます。

全熱交換器

ロスナイ(三菱電機商品の商品名ですが)と呼ばれる全熱交換器は事務所によく設置されます。

全熱交換器 三菱電機のHPより

室内空気と室外空気の顕熱と潜熱ともに交換できます。

エンタルピー交換効率が75%の機種を採用すれば空調負荷計算の際に外気風量を75%減じて計算することができます。

ラインファン

ラインファンについては給気用で設置することがあります。

得られる風量に対してファンの値段は安いと言えますが、運転時の騒音が問題視されることがあります。

LFMのNo.3で59〜56.5dBです。

過去の現場において何度か「音がうるさいからなんとかしてほしい」というクレームをいただいたことがあります。

ラインファン 荏原製作所のHPより

消音型の機種もありますが消音部材の大きさが大きく納まりが悪くなるので、それならばストレートシロッコの方がコンパクトで納まりが良いため最近は給気ファンもストレートシロッコで選定してしまうことが多いです。

ミニシロッコファン

ミニシロッコファンも騒音が比較的大きく過去現場でクレームをいただいたことがあります。

ミニシロッコファン 三菱電機のHPより

BF-21S4の吸込部分で63dBなのでかなりの騒音が出ます。

これもできれば居室の天井内設置は避けたいです。

過去に一度でもクレームをいただいてやむなく是正工事で交換という経験をしてしまうとなかなかその機種を同じシチュエーションで選定することはできませんが、騒音があまり関係のない場所では使用できるので臨機応変に選定してください。

最後は騒音のクレームの愚痴みたいになってしまいましたが、ファン選定の参考にしてみてください!

角ダクトの静圧計算

丸ダクトの計算の次に来るのは角ダクトの計算ですよね。

この計算もちょっと複雑といえば複雑というのと結局どう計算していいかわからないパターンなどが出てきたりするため混乱するのですが簡易的な例を示しながら計算の説明をしてみます。

筆者撮影

ダクト経路の図とその静圧計算書

言葉だけで説明しようとしてもわけがわからなくなるので、まずはダクト経路の図と計算書を示します。

筆者作成
筆者作成

直管部分は丸ダクトの計算と同様に単位あたりの静圧と管路長をかけ算します。

継手のエルボや分岐部分は 抵抗係数ζ×動圧ρv2/2 を計算していきます。

継手の形状毎に抵抗係数や計算方法が違うので資料を見ながら計算していきます。

この計算で行き詰まるパターンとして現実のダクトの形状にあてはまる局部抵抗の計算式が資料に見当たらないということがあります。

局部抵抗の計算は参考書によって異なるものもある

まだ駆け出しのころは一冊の参考書を頼りに勉強しており、局部抵抗の計算の種類はその教科書に掲載されているものが全てだと思っていました。

しかし、いろいろな参考書を見るようになって、それぞれの参考書によって書いてある種類の数も違うし、同じ形状の継手の計算式でも違う計算方法が書いてある場合もあることがわかってきました。

ちなみに上の計算に用いた局部抵抗の資料は以下です。

・エルボ部分

空気調和設備計画設計の実務の知識より

・合流部分

建築設備設計基準(いわゆる茶本と呼ばれる参考書です)より

角ダクト合流部分の直通の流れの静圧は丸ダクトの計算と同様でよいとのことで合流部分については丸ダクト合流の資料を参考にしています。

細かい説明もしたほうがよいのかもしれませんが、うまい説明の仕方が思いつかないです。

この静圧計算については計算例や参考書を見ながら自分で何度も計算して理解していくしかないのかもしれません。

あるいは最近は簡単に計算できるプログラムを誰かが組んでいるかもしれませんが。

混乱するといけないのでひとつ言っておきたいこととして、シロッコファンなど選定する時に計算しているのは機外静圧です。

前回のブログで機器静圧も足し算した計算を紹介していますが、今回の計算では機器内の静圧は無視してゼロとして計算しています。

経験上では、ほとんどのメーカーが機外静圧の計算で機器選定しますので混乱しないようにしてください。

丸ダクトの静圧計算〜2〜

前回は継ぎ手部分などを直管部分の50%とする簡易的な計算方法を紹介しました。

最近の教科書にはこの計算例しか掲載されていませんがエルボとチーズ部分の静圧を別途算出して加算する方法もあります。

今回はその計算方法について説明します。

筆者撮影

エルボ部分と分岐部分の静圧

エルボ部分静圧の計算式があるのですがこの計算式はそのまま使うことはありません。

教科書見るたびに、あれ、こんな式で計算していたかなと思ってしまうのですが私の記憶力が悪いだけで、エルボの静圧計算はエルボ部分をその直径の何倍の長さの丸ダクト直管長に相当するかを計算するのみです。

なので、難しい式は書いてありますがやることは単純です。

エルボ部分の静圧⊿PTを具体的に求めるための資料が以下です。

いろいろ式が書いてありますが一番右のle/dを判断すればよいだけです。

例えば直径300mmの丸ダクトでエルボの曲がり具合を示すR/dの値が1.0の場合は le/d=17です。

つまり直管相当長はダクト直径の17倍ということなので

le=0.3×17=5.1[m]

ということになります。

次に、丸ダクト分岐部分の静圧計算についてですが以下の資料のようになります。

分岐方向と直流方向で係数ζ(ゼータ)の値の選び方が違うので気をつけます、ρv2/2の部分は動圧です。

具体的に計算

前回ブログと同じダクトルートで具体的に計算をしてみます。

条件:吹出口の風量はそれぞれ300m3/hとします

最遠のルートA-H間を計算していきます。

R/d=1.0として計算していきます。

A-H間の全長は49mです。

ダクトサイズはすべて1.0Pa/mとなるサイズで選定しているとして(前回ブログを参考にしてください)直管部分の静圧は

1.0×49=49Pa‥①

エルボBの静圧について、直管相当長はR/d=1.0よりle/d=17

A-C間は350Φなので 0.35×17=5.95m

よってエルボBの静圧は 1.0×5.95=5.95Pa‥②

同様にエルボEは 0.25×17=4.25mより4.25Pa‥③

エルボGは 0.175×17=2.975mより2.975Pa‥④

次に分岐Cについてv1=1800/3600/(0.175*0.175*3.14)=5.2m/s

v3=1800/3600/(0.15*0.15*3.14)=4.72m/s

v3/v1=4.72/5.2=0.9よりζ=1.3

分岐Cの静圧は ζρv32/2=17.4Pa‥⑤

次に分岐Dについてv1=1200/3600/(0.15*0.15*3.14)=4.72m/s

v2=600/3600/(0.125*0.125*3.14)=3.4m/s

v2/v1=4.72/3.4=1.39よりζ=0

分岐Dの静圧は ζρv22/2=0Pa‥⑥

次に分岐Fについてv1=600/3600/(0.125*0.125*3.14)=3.4m/s

v2=300/3600/(0.0875*0.0875*3.14)=3.47m/s

v2/v1=3.47/3.4=1.02よりζ=0

分岐Fの静圧は ζρv22/2=0Pa‥⑦

①~⑦を合計すると

49+5.95+4.25+2.975+17.4+0+0=79.6Pa

吹出しHの静圧15.0Paとしてこれを足して漸拡大および漸縮小の継手を無視しているなどのため安全率10%見込むと

(79.6+15)×1.1=104Pa

ファンを選定する場合は機器抵抗を考慮し200Paであればその数値を加えて最後に動圧分を差し引きます。

動圧は機器吹出し部分で7.0m/sの場合ρv2/2=29.4≒30Pa

よって 104+200-30=274Pa

ファンは1800m3/h 274Paで選定します。

丸ダクトの静圧計算〜1〜

空調や換気のためのダクトサイズや送風機の選定をする際に静圧を考慮しなければなりません。

静圧は配管で言うところの圧力損失のようなものです。

店舗の設備設計においては静圧計算書の提出を求められることはあまりないのですが例えば設計図書で設定された風量が出ない場合などは静圧が大き過ぎないか確認しなければならなくなります。

後から計算したのでは遅いので本来は設計時に計算しながらダクトサイズ選定していくのが理想ですが、まずは1.0Pa/mという静圧の目安を守って設計していればまずトラブルになることはありません。

今回は丸ダクトの簡易的な静圧計算方法について説明してきます。

筆者撮影

静圧の簡易的な計算方法

下図のダクトサイズと静圧を求めます。

条件:吹出口の風量はそれぞれ300m3/h       吹出口の静圧抵抗を6Paとします

最遠のルートであるA-H間を計算していくことにします。

単位あたりの静圧は1.0Pa/mとして下に示したダクト流量線図を利用してダクトサイズを選定します。

ダクト流量線図 空気調和設備計画設計の実務の知識より抜粋

選定したサイズを以下に示すと

A-C間 1800m3/h 350Φ

C-D間 1200m3/h 300Φ

D-F間 600m3/h 250Φ

F-H間 300m3/h 175Φ

となります。

次に静圧の計算ですが、エルボやチーズ部分の局部抵抗については簡易的にダクトルート全長の50%分とします、単純な経路の場合はこのように計算してかまいません。

ダクトルート全長を求めると

10+10+6+6+10+6+1=49m

よってダクトルート全体の静圧は

1.0Pa/m × (49m + 49m × 0.5)+ 6Pa =79.5Pa となります。

数字上静圧が大きくなくても風量確保困難の場合がある

静圧計算をいくらしっかりしても風量が確保できない場合があります。

と言うのは、ダクトルートの途中にダクトサイズが細すぎる部分があると、抵抗がかかり過ぎてその先は風量が全く確保できないということがあるからです。

例えば1400m3/hの風量が通過するメインダクトのサイズを350Φで施工するとしてこのダクトを途中で200Φに縮小するとします。

350Φのときは長さ単位あたり1.0Pa/mの静圧ですが200Φの場合は10Pa/mと静圧は10倍となります。

200Φの部分が2mあってまた350Φにもどせば計算上はその2m分で20Paを足せばいいのだから大丈夫だろう、という考えは間違いです。

ダクトルートの途中で急激にサイズを縮小した場合は、縮小部分で抵抗が大きくなり過ぎてその先へ空気がうまく搬送されなくなります。

つまり、誤って途中でおかしなダクトサイズ選定をしてしまうと計算上はそこまで静圧の数値は大きくならないが風量が確保できないということが起こり得るということです。

経験値の浅い設計者が以外とこのミスをしてしまいます、どこまでサイズを絞っても大丈夫そうかという勘が働かないからです。

まずは1.0Pa/mを目安に設計することです。

ちなみに低圧ダクトは0.8〜1.5Pa/mで設計することになっています。

なのですが、店舗の換気設備を設計する場合は、納まりが厳しい現場が多くダクトサイズを大きく取れないことが多いので1.5〜2.0Pa/mまでは許容範囲として計算しながらサイズ選定および静圧計算していけばよいです。

もし、その現場や施設において静圧に関する設計基準がある場合はそちらを順守してください。

換気方式と換気回数

感染症のこともあり、いま話題にあがることが多くなった換気についてですが今回取り上げるのは特別なことではなく設備工事や設備設計に携わるかたが知るべき基本的な換気方式の種類や換気回数の目安についてです。

筆者撮影

換気方式の種類

建築に関わらない方からは換気に種類などあるのか問われそうですが送風機を給気と排気どちらに使用するか、しないかなどで種類分けがあります。

建築関係の仕事をしていると換気方式については基本的な知識として知っているものとして打合せなどの会話で普通に出てくることもあるので覚えておいて損はないです。

換気方式の概要図を示します。

第1種は給気、排気とも送風機を用いる換気方式で換気量の設定によって室内の静圧を正圧にも負圧にも計画することが可能です。

ここで正圧と負圧の説明をしておきます。

正圧の状態は室内から空気が押し出される状態になります。

なので外部から汚染された空気を取り込みたくない手術室などは正圧にします。

負圧の状態は上記の逆で室内へ空気を引き込むイメージになります。

トイレの臭気など汚染された空気をその室から周囲へ漏らしたくない場合は負圧で計画します。

換気方式の説明にもどりますが、第2種は給気に送風機を用いる換気方式で室内は正圧になります。

第3種は排気に送風機を用いるので室内は負圧になります。

上記の3種に加えて自然換気も換気の種類としてあげられます。

給気も排気も送風機を用いずに自然の風圧や気温の差を利用して換気します。春や秋の気候が良いときは窓を開け放しで部屋の空気を入れ替えます、それが自然換気です。

建築的にボイドと呼ばれる空気の通り道を設けて風圧差と温度差で換気を促すのも自然換気の考え方です。

基準換気回数について

室の用途別で基準換気回数をまとめた表です。

換気設計風量基準換気回数 空気調和設備設計計画の実務の知識より             表中の×は一般的に採用されない方式を示す

上記以外の事務室の居室などは以前書いたブログ居室の換気量計算についてに詳細がありますがV=20Af/NとV=0.5Ahなどの計算で算出して決定していきます。

上記の表もあくまで目安なので居室あつかいになる室となる場合は必ず換気量計算をして必要な風量を確認する必要があります。

喫煙室の換気量はどうするか、度々問題になりますが最近は入口などの開口部で喫煙室の外側から内側に向けて0.2m/sの風速が確保できる風量で考えることが多いです。

入口ドアでW800 H2000の開口の場合は

0.8×2.0×0.2×3600=1152m3/h

という感じの計算になり、かなりの風量になることがわかります。

ダクト内風速と静圧について

ダクト内風速はどう考えて決めればよいのか?入札のために用意された設備図を見ていてたまに風量に対してこれは細過ぎるのではないか、と思われるダクトサイズ選定がされていることがあります。

さすがにそのまま見積もりしてしまったら後からヤバいことになりそうなレベルの場合はダクトメジャーで確認しながらダクトサイズを修正して拾いをします。

適正なダクトサイズを選定するための風速と静圧の考え方とは?

Tama66 さんによるpixabayよりの画像

風速の許容値と静圧

ダクト内風速については用途によって許容値があります。

騒音の許容をどこまで受け入れられるかで決まっているようです。

ダクト内風速の許容値(低圧ダクト) 
空気調和設備計画設計の実務の知識より

私自身は店舗の設備設計をすることが多いですが、だいたい6~8m/s程度が許容範囲かなと思いながら設計しています。

上記の表でも一般店舗、食堂は 9.0m/sまで許容範囲となっています。

静圧というのは、全圧から動圧を除いたもので、ダクトの抵抗、あるいは圧力損失と思えばよいです。

この静圧については基本は1.0P/mで考えて、低圧ダクトでは0.8~1.5Pa/mの範囲で抑えます。

天井ふところがあまりないため、ダクトサイズを絞らなければならない場面があります。

2.0P/m超えてくるとちょっと風量確保ができるか怪しくなってきます。

ダクトサイズを絞った部分で抵抗がかなり大きくなりその先の風量がしっかり出ない場合もあるので注意が必要です。

もう一点、排煙ダクトは20~15m/sと記載がありますが、これはその施設によって設定が違うので確認が必要です。

経験上の話で言ってしまうと排煙ダクトも高圧ダクトとしてではなく低圧ダクトと同様に考えて設計している施設が多く、ダクト内風速を最高で10m/s程度の考えで設計した方が無難です。

現実的に20m/sというダクト内風速だとかなり抵抗が大きくなってしまい希望している風量が得られないパターンが多いです。

排煙ファンが700Pa以上の静圧で設定されているのになぜか計算通りの風量がでないという‥そんな経験もしました。

過去に風量確保ができず苦労した数件の現場が思い出されます。

ほんとうにこれは一度施工してみて風量測定するまで性能が出るかどうか確認しようがないこともあり注意が必要です。

ダクト圧力の分類とダクトの板厚

ダクト圧力の分類とダクト板厚は以下の資料のようになります。

ダクト圧力の分類
ダクトの板厚 角ダクト
ダクトの板厚 スパイラルダクト
すべて空気調和設備計画設計の実務の知識より

高圧ダクトの板厚は低圧に比べて1番手上を選ぶイメージです。

スパイラルダクトはハゼの部分の強度があるため角ダクトのような板厚は要求されていません。

制気口やフードの面風速について〜制気口はなるべくコンパクトサイズで選定〜

制気口や厨房内に設置されるフードなどの面風速はどのように考えて設定すればよいのか?

大きく取りすぎると風量も大きくなりダクトの納まりが悪くなるため換気設備の設計や施工に支障が出ることがあるので注意が必要です。

厨房のフード 筆者撮影

制気口サイズを風速から設定する

排気設備の吸込口あるいは給気設備の吹出口に取付ける制気口。

このサイズについては大きすぎるものを取付けるとコストの無駄なのと天井の納まりが悪くなるので最低限の大きさで設定します。

ではなにを基準に決めるかと言えば、吹出しあるいは吸込みの風速です。

4m/sを越えると風切り音が発生する可能性があるので基本は3m/s以下で考えます。

計算する時は2〜3m/sで考えればよいです。

制気口には様々な形状があります。

空調技研工業(株)のWEBカタログより

代表的なものとして上の写真のような制気口がありますがルーバーが横に付いている制気口をH、風量調整のシャッター付きのものをHSと呼んでいます。

縦横にルーバーが付いていればVH、さらにシャッター付きであればVHSです。

右上に開口率82%と書いてあります、これは制気口の大きさを決定する上で重要です。

開口率が半分になると制気口は2倍の大きさにする必要があるので。

では上記HSのサイズを求める計算例を下に示します。


風量400m3/hの吸込口として設置するHSのサイズをもとめます。

制気口の吹出し風速は3m/sで考えます。

まず制気口面積Sをもとめます。

S=400m3/h÷3600s/h÷3m/s÷0.82

最後の0.82は開口率です、メーカーカタログなどに書いてありますがわからない場合HSやVHSについては私は0.7として計算しています(今までそれで不具合が出たことはありません)。

よって S=0.0451m2

正方形の制気口だとした場合一辺の長さは平方根でもとめます。

√0.0451=0.212m

きりのよい大きさで選定するので制気口の大きさは250mm×250mmとします。


開口率についてもう少し補足します。

室内の制気口やガラリは開口率70〜80%程度に対して外部に面して取付けるガラリは雨風の侵入を抑えるため開口率は少なめで20〜40%程度です。

計算する前にカタログなどで開口率を確認する必要があります。

厨房フードの面風速はどう考えるか

厨房の換気量計算についてで説明したように火気使用室の換気量はV=40KQやV=30KQなどの式を用いて求めます。

しかし、例えば厨房器具のガス消費量をもとにV=30KQで求めた風量が700m3/hだったとしてもその厨房器具の上部に設置する厨房フードの風量を700m3/hとすることはほぼありません。

厨房フードの風量の大きさは面風速を基準にして決めることがほとんどだからです。

厨房フードの面風速は通常0.3~0.5m/sで設定します。

数字の根拠については厨房設計の知識やさしい局排設計教室などを確認していただければと思います。

参考書などによっては1.0m/sでの設定を推奨している場合もありますが風量が大きくなり過ぎるため実際の設計においてはほとんど採用していないのが現実です。

では面風速0.4m/sとしてフードの風量を求める計算例を示します。


フードのサイズが1500W×850D

面風速0.4m/sとする場合の風量は

1.5m×0.85m×0.4m/s×3600s/h=1836m3/h

設計風量として10%程度の余裕を考慮して

1836×1.1=2020m3/h とします。

フードの面風速をもとにして計算した風量とV=30KQで求めた法的に必要な風量700m3/hを比較します。

2020m3/h > 700m3/hより法的に必要な風量を満たしているので問題なし。


喫煙室の入り口は面風速0.2m/sで計算

東京都福祉保健局の資料に喫煙室の出入口で喫煙室の外から中に向かって0.2m/s以上の風速を確保することが書かれています。

リンク東京都福祉保健局 喫煙室出入口風速

神奈川県の資料に風の流れのイメージがあります。

神奈川県公共施設における受動喫煙防止条例分煙に関する基本的考え方より

喫煙室の入口が800W×2000Hの開口だった場合、0.2m/sの風速を確保したいときに必要な風量は

0.8m×2.0m×0.2m/s×3600s/h=1152m3/h

となります。

喫煙室を作る場合、思ったより大きな風量が必要になります。

なので一軒の店舗でも複数箇所喫煙室を設ける場合は客席の一般排気の何倍もの風量が喫煙室の排気として必要になることも実際にあります。

またこれは建築的な内容ですが喫煙室の出入口を開き戸で計画すると煙があおられて外部に出てしまう可能性が高くなるため引き戸で計画することが推奨されています。

0.2m/sの風とはどのくらいのものなのか疑問に思う方もいると思います。

言葉で説明するのが難しいですが、そよ風以下です。

気流検知器という煙を流して風の流れを調べるものがありますが、それを使ってやっと流れがわかるくらいで皮膚で感じ取れるレベルの風ではありません。

あるいは風速計で計測すれば風速の数値は測ることができます。

ちなみに人間がそよ風と感じているのは2〜3m/sくらいの風です。

今回は淡々と面風速の考え方と計算例などを紹介してみましたがぜひ参考にしていただければと思います!

住まいの換気をコントロール

朝晩が肌寒い季節になってきました。なぜかこの家のこの場所で寝ているとすごく冷える感じがする、という時は近くに給気口があるのでは?工夫をしながらある程度住まいの換気をコントロールする方法を考えてみます。

kscz58ynkさんによる写真ACからの写真 

冷たい風を感じたら給気口の開閉で調整してみる

冬場、家の中でレビを見ているときや寝ているときに妙に寒さというか冷たい風のようなものを感じる場合は給気口からの外気流入が影響している可能性があります。

ソファーが置いてあるすぐそばに給気口がある場合もあります。

ご存知かとは思いますが住居の給気口は下のカタログ写真のようなものとなります。

UNIXのHPより

上の四角い給気口はプッシュ式で開閉します。下の丸い給気口は真ん中の部分を回して開閉します、開き具合を変えれば風量の調整も可能です。

寒いと感じた時にはこの給気口を閉めてしまうか調整可能なタイプであれば風量を絞ってしまえばかなり寒さは緩和できます。寒ければ寒い日ほど閉めた時にその違いを感じると思います。

様々なメーカーのいろいろな商品があるので自宅に取り付けられている製品の可能な範囲で調整してみてください。

本来は24時間換気の給気の意味で開けておくべきなのですが、寒い日は仕方がないです。

空気のよどみを感じたら窓を開けて換気しましょう。

また、1ヶ所を閉じたとしても部屋が複数あって複数の給気口がある住宅の場合は他の給気口からは新鮮空気が入ってきます。

屋内側の結露を緩和したい場合は

紺色らいおんさんによる写真ACからの写真 

冬場は朝方に屋内側の窓面で結露することがあります。窓面の表面温度は外気温の影響でかなり低くなります。

例えば室内温度が20℃相対湿度50%の場合、露点温度は10℃程度なので窓面温度が10℃を下回ってくると結露し始めます。

外気温度一桁の朝などはかなり結露する確率は高くなってきます。

特に気密性の高い新築のRC造のマンションなどではこのタイプの結露が起こりやすいです。

では、この結露を緩和するにはどうしたらよいかですが外気温と室内温度の差が小さければ結露は起こりにくくなるので給気口を開けてなるべく外気を取り込むということになります。

すると、冬場の室内温度を下げたくないから給気口を閉じたいのに結露を緩和させたい場合は開けることになり相反する調整をどうすればよいのか、ということになります。

では、どう考えるかですが例えば夜中の間、人が過ごさないリビングは給気口を開けておいて寝室となる部屋は閉めておくという調整をするかです。

あるいは換気扇の強弱で風量の調整、タイマーで朝方の数時間は換気扇の電源をオフにして寒さ対策とするなどが考えられます。

給気口のフィルター掃除をして空気がよどまないようにする

給気口にフィルターが付いているタイプが多いですが、このフィルターも放置していると目詰まりします。

フィルターが目詰まりすると外気の取り込みがスムーズにできないため室内空気のよどみの原因になります。

簡単にですがフィルターなどの清掃方法を以下に紹介します。

以上、換気をコントロールするというより給気口の管理をどうするかという話に終始した感じになりましたが参考にしていただければと思います!

厨房の換気量計算について

店舗の施工における飲食店などの厨房の換気量は居室の換気量の考え方とは全く異なる考え方で計画します。汚染された空気を排出するためにかなり換気量が大きくなる傾向があります。

acworksさんによる写真ACからの写真 

フードの形状などによって厨房の換気量は変わる

法的に必要な換気風量を計算します。

建築基準法施行令20条の3および建設省告示第1826号より調理室等に設ける換気設備の内容に下記の換気量計算法が示されています。


・火気使用する厨房機器の上部にフードなしで排気する場合

火気使用排気計算イメージ図 筆者作成

V=40kQ

V : 有効換気量(m3/h)

k : 理論廃ガス量 定数0.93

Q : 燃料消費量 (kW)


・火気使用する厨房機器の上部にフードⅠ型を設置して排気する場合

火気使用排気計算イメージ図 筆者作成

V=30kQ

V : 有効換気量(m3/h)

k : 理論廃ガス量 定数0.93

Q : 燃料消費量 (kW)


・火気使用する厨房機器の上部にフードⅡ型を設置して排気する場合

フードⅡ型は排気口に向かってテーパーがかかった形状でフードを製作します。フードⅠ型の補修効率25%に対してⅡ型は50%としての計算となります。

火気使用排気計算イメージ図 筆者作成

V=20kQ

V : 有効換気量(m3/h)

k : 理論廃ガス量 定数0.93

Q : 燃料消費量 (kW)


・火気使用する厨房機器から直接的に煙突によって排気する場合

排気量はかなり少なく設定することが可能な形です。

火気使用排気計算イメージ図 筆者作成

V=2kQ

V : 有効換気量(m3/h)

k : 理論廃ガス量 定数0.93

Q : 燃料消費量 (kW)


フードⅠ型を設置する場合の換気量の計算例を示します。

Ⅰ型を設置するのでV=30kQの式を使用します。

燃料消費量25kWのガスコンロが設置されていた場合に必要な有効換気量Vは

V=30 × 0.93 × 25 =697.5(m3/h)

よって法的に必要な風量は697.5(m3/h)であることがわかりました。

フードと火元の離隔距離

上記の計算をする場合の条件としてフードの下端と火元(ガスコンロであれば五徳の上端まで)の距離を1.0m以下とする必要があります。

フードおよびグリースフィルターの離隔距離の関係 筆者作成

また、火災予防条例で火元からグリースフィルターまでは1.0m以上としなさいという決まりがあるので混同しないよう注意が必要です。

フードは換気量の計算上ある程度火元に近くないといけないが、グリースフィルターは火災の可能性を考慮してあまり火元に近付け過ぎないでください、という意味です。

厨房の排気量は最終的にフードの面風速を確保することで決定します。

これに関しては次の機会に説明をしたいと思います。

居室の換気量計算について

設備設計などに頻繁に使う換気量計算について説明します。初級の設備屋さん向けの内容になります。まず法的に必要な風量をクリアさせることを考えます。

居室の換気量計算

事務所や店舗の客席など人が滞在する室については建築基準法施行令第20条の2に示された下記の計算方法にに基づいて居室の換気量を求めなければなりません。


V=20Af/N

V : 有効換気量(m3/h)

Af : 居室の床面積(m2)

N : 一人あたりの専有面積(m3)


ちなみにm3/h(立米パーアワー)は換気量を表す時に使用する単位で一時間あたり何m3の換気をするかを意味しています。

Af/Nの部分は居室の床面積を一人あたりの専有面積で除してします。つまり居室に何人の人間が存在するのかということを計算しています。それを20倍すれば必要な換気量が得られます。

もう少し噛み砕いて言うと、一人あたりに必要な換気量は20m3/hでこの値に居室を利用する人数を掛け算すれば必要な換気量を算出することができる、ということになります。

計算例を示します。

居室面積 Af=30m2 の居室の換気量を求める場合、一人あたりの専有面積 N=5mとしたときの有効換気量Nは

N=20Af/Nより

N=20×30/5=20×6=120

よって必要となる換気量は120m3/hとなります。

居室に存在する人が6人で1人あたり20m3/hが必要なので居室全体で120m3/hが必要となるということです。

シックハウス対策で必要な換気計算量

次に2003年7/1から建築基準法施工令第20条の7および20条の8によって施行されたシックハウス対策のために必要となる換気量について説明します。

規制の対象となる科学物質はクロロホルピスとホルムアルデヒドとなります。このうちクロロホルピスは使用禁止とされています。

よってホルムアルデヒドを発散する可能性のある建材についての規制を確認していきます。

まず、内装仕上材の使用制限についてですがホルムアルデヒドの発散量は下の表のようにクラス分けされています。

国土交通省のHPより抜粋

ホルムアルデヒドの発散量が0.005mg/m2 以下の場合はF✩✩✩✩(フォースターと呼んでいます)発散量が多くなるごとに星は減ります。最下クラスの第1種ホルムアルデヒド発散建築材料に関しては使用禁止、第2種と第3種は建材の使用面積が制限されます。

この時、換気量によって使用可能な面積が変わりますが下の計算式によって求めることができます。

三菱換気送風機総合カタログを参照して筆者作成

しかし、実は上記のN2S2 + N3S3 ≦A の計算について少なくとも私は実務で使用したことがありません。なぜなら現在生産されている仕上材のほぼ全てが規制対象外のF✩✩✩✩で作られているからです。

24時間換気の換気計算量

ただしF✩✩✩✩で作られた仕上材を使用した場合においても家具などからの発生が考えられるため下記の計算式で求めた居室の換気量を確保する必要があります。これがいわゆる24時間換気と呼ばれるものです。


・住宅の居室等 V=0.5・A・h

・上記以外   V=0.3・A・h

V : 有効換気量(m3/h)

A : 居室の床面積(m2)

h : 居室の高さ(m)


住宅の居室は0.5回/hつまり1時間で居室の50%にあたる体積の空気を入れかえる、それ以外は30%にあたる体積を入れかえるということを意味しています。

計算例を示します。

面積が40m2で平均天井高さ2.7mの住宅の居室の24時間換気量を求める場合V=0.5・A・hより

V=0.5×40×2.7=54

よって24時間換気として必要な換気量は54m3/hとなります。

店舗などの居室は住宅の居室ではないのでV=0.3・A・hでも本来よいはずですが実際確認申請に絡む図面を作成する場合の換気計算書では安全側の値になるV=0.5・A・hを使用していることが多いです。

設備設計で換気量計算をする場合、法的に必要な換気量を計算する場合は上記の居室の換気量N=20Af/N と 24時間換気のV=0.5・A・hとV=0.3・A・h これを覚えておけばよいです。