店舗の施工においては階高が低くまともに給排気のダクティングができない現場がかなり多いです。
排気量が取れないと建築基準法に不適合ということになりかねないため排気ダクトのスペースは意地でも確保、給気ダクトは排気ダクトの間をぬってなんとかダクティングしたが必要なサイズでの施工ができず試運転をしたら給気不足が発覚…というようなことはたまに起きます。
給気不足によって起きる現象とその原因などについていくつか事例をあげていきます。

入口などのドアの隙間から風切音がしてしまう
これは店舗の施工に関わる方であれば過去に何回かいただいているクレームかと思います。
10年以上設備の仕事をしていますが、この現場は給気がしっかりとれていないから風切音出ちゃうかなと思っていたら意外となんの問題もないこともあると気付き、何が違うのだろうかと考えてみたのです。
そして、至った結論はロードサイドなどの平屋建て鉄骨造の場合はあまり問題が出ない傾向があるのかなということ。鉄筋コンクリート造でしっかり気密がとれていそうな建物ほど風切音の問題は起きやすい傾向があるということです。木造の場合もあまり問題が起きない傾向だと思われます、感覚的な話でしかないのですが。
気密がしっかりとれていない建築物だと給気のバランスがとれていなくても隙間風としてどこかから不足分の給気がまかなえているのかもしれません(気密をとらないつもりで造っているわけでもないと思うので語弊のある言い方かもしれませんが)。
話を戻して風切音が出てしまった場合どう対処するかですが、排気量を下げるか給気量を上げるかで対処するしかありません。
現実的には開口部が限られていて給気をこれ以上とることができない場合がほとんどなので、まず法的に許される範囲でかつ営業に支障がない範囲で排気量を絞るという対策をとります。
それでも給気不足が解消しない場合、新規開口が可能であれば新たに開口を増やして自然給気の形でもよいので制気口を設置すれば風切音を緩和できる可能性はあります。
新鮮空気が不足することによる空気環境の悪化
一酸化炭素中毒については以前ブログに取り上げたことがあります、聞いたことがある方も多いと思います。一酸化炭素中毒は死に直結する〜給湯器の設置について〜
あまり耳にしないかもしれませんが二酸化炭素中毒というものも存在していて二酸化炭素の濃度が3%を超えたあたりから頭痛などの症状が出て7%を超えると意識障害が出たり最悪は死に至るというものですが、これが起きることもあります。
過去に一度、営業中の店舗で店員さんが倒れたということで連絡が入ったことがあります。原因が二酸化炭素中毒とのことで給気が入ってこないため換気が機能していないという指摘でした。
すぐ現場に向かいました。現地に着くと換気工事の施工業者さんがすでに状況確認を終えていて給気不足の原因は給気の取込み口の目詰まりとのことでした。
シロッコファンを介し強制給気をしている現場でしたが取込み口を確認したら完全に目詰まりしていました。清掃が十分に行われていないことが原因で施工不良ということにはなりませんでしたが防虫網を取付けていたことについて、目が細かすぎるのではないか?とお客様から指摘されてしまうという事態に。
この問題については施工中も話題に上がっていて「防虫網だとすぐ目詰まりするので防鳥網にしてはどうでしょうか」とお客様にお伺いを立てていました。結局お客様から「防虫網でお願いします」という指示で施工したのでその旨を営業の方から伝えてもらい、納得していただきました。当時のやりとりははっきり記憶に残っていて、書類の記録にも残っていたのでお客様も思い出してくれたようでした。
まあ、お客様としてはやり込められた感があって面白くなかったかもしれませんが。
対処としては防虫網を防鳥網に交換して、あとは定期的に店員さんに掃除を実施していただきたいことを伝えました。
防虫網と防鳥網のメッシュ数について
防虫網と防鳥網という言葉をさんざん使ってここまで書いてきましたが、この2つはどんなものなのか、どう違うのか説明しておきます。
どちらが目が細かいか?というともちろん虫を防ぐという字を書く防虫網の方が目が細かいのですが、具体的にどれほどの大きさの網の目なのかと言うと
・防虫網は10メッシュ
・防鳥網は3メッシュ
1インチの中に10個の網目があるのが10メッシュで網の目間隔は2.54mm、1インチの中に3個の網目があるのが3メッシュで網の目間隔は8.5mmです。
10メッシュはかなり目詰まりするのが早いです。外部に取付けたものでもちょっと油断するとほぼ閉塞している状態になってしまいます。空気中にこんなに埃やチリが飛んでいるんだなと思うほどです。
次回もう少し給気不足についての話をしようと思います!