受水槽方式の場合に受水槽のサイズをどのように考えて選定すればよいのか。
建築物の規模が大きくなれば受水槽も大きくなるであろうことはわかりますが何を基準に選定すればよかいのか、どのような計算に基づき選定するのか説明します。

受水槽の容量を計算
受水槽の容量Vsは使用時間から考えたときに以下の計算式により考えます。
Vs ≧ Vd – Qs・T ‥①
Vs :受水槽の有効容量[m3]
Vd:一日の使用水量[m3/日]
Qs:水源からの給水能力[m3/h]
T:1日の平均水使用時間[h]
また、水の使用時間帯意外の時間帯に受水槽を満水にする必要があるため次式も満たすようにします。
Qs ・(24-T) ≧ Vs ‥②
実際に数値を代入しての計算例を示します。
事務所で Vd:一日の使用水量120[m3/日]
Qs:水源からの給水能力127[L/min]
T:1日の平均水使用時間9[h]
の場合を計算します。
まず給水能力Qsの単位を直しておきます。
Qs=127[L/min]=0.127×60 [m3/h] =7.62 [m3/h]
以上の数値を①の式に代入していきます。
Vs ≧ Vd – Qs・T= 120-7.62×9=51.4 [m3]
次に②の式も確認しておきます。
Qs ・(24-T) ≧ Vs ‥②
7.62×(24-9)=114.3 [m3]
よって受水槽容量は51.4[m3]以上 114.3[m3]以下 で選定します。
受水槽の容量の目安は一日使用水量の半分程度となるので
60[m3] で決定します。
半分程度なので70[m3]などでもよいですが、とりあえずジャスト半分ということで。
1日の使用水量について
受水槽の容量については各自治体や水道事業所によって規定があるので必ず各地域の水道局などへ確認する必要があります。
各自治体で規定はそれぞれですが、よく見かけるのは1日の使用水量の4/10~6/10の範囲で計算する規定です。
1日の使用水量については下記の資料などを参考に求めてください。

水同局の担当者とはよく打合せをする必要があります
類似の既存施設や既存店舗の過去の給水使用量のデータを参考にすれば、もっともその現場に合致した選定ができるはずであるし受水槽サイズを小さくしたいときなど、水道局との交渉にそのような資料を持っていくと話がまとまりやすいです。
ただし、水道局によって考え方がだいぶ異なるためその水道局独自の規定に従ってくださいの一点張りの場合もありますので気をつけてください。
既存店舗の使用量の資料を持って、受水槽の容量を抑えたい要望を水道局に相談した場合に8割〜9割は柔軟な対応をしてくれます。
受水槽のサイズダウンが可能な場合もありますが、やはりその水道局の規定にどうしても従ってほしい、ということも当然あります。
その場合は、交渉を長引かせても意味がないので妥協できるところで妥協するしかありません。
そんなに水の量は使わないのにな、と思いつつかなり大きい受水槽を設置した例は過去にも何回かありました。
本来、受水槽の容量が大きすぎると水槽内の残留塩素濃度が減少し雑菌繁殖の原因となるため好ましくはありません。
類似既存店の過去データという、もっとも信頼に値するデータを無視して規定に従わせる水道局の判断が正しいのか疑問は残ります。
ただ、「この地域の他の店舗もこの規定に従っていますので平等性を考慮すると特例を認めるわけにはいきません」という話にも一理あるため、なかなかゴリ押しはできません。
まあ、仕事が滞ることは問題なのでそのときの状況を見ながらうまくやるしかないです!