今回は通気配管について書きます。
通気配管については正直に言うと店舗工事の場合、床下の納まりも厳し過ぎるし、どこかで通気立上げるとしてもその場所を確保できない、どうやって通気とるの?という現場がほとんどなのでまともに通気をとれていないという現実があります。
とれる場合はとっていますが、最悪はドルゴ通気頼みという現場がほとんどではないでしょうか。
ドルゴ通気弁は配管内が負圧になった場合しか機能しないので本当の通気の役割を果たしているのかわかりませんが、ないよりはあった方が良いということで取り付けています。
案件によってはドルゴ通気弁の使用を禁止していたりする場合もあるので注意が必要ですが。
まずは通気の取り方の種類から説明していきます。

代表的な排水通気方式
1.ループ通気方式

上の図のように最遠の排水器具のトラップの下流で分岐をとり、立ち上げて通気立管にまで延長して接続する形をとります。
通気横間の通気立管への接続高さはそのフロアの最高位の衛生器具のあふれ縁から150mm以上、上方向に離した位置で接続します。
これは万が一、排水管が詰まって器具が満水になってしまったとしても通気配管内へ汚水や雑排水が流れ込まないようにするためです。
この接続高さは気を付けていないと意外と最高位のあふれ縁より下だった、ということもあるので施工時によく確認する必要があります。
2.各個通気方式
この方式は、各器具のトラップから通気を延長して通気横菅にそれぞれ接続するというかたちですが現実的にこの方法で施工している現場を私は見たことがないです。
器具ひとつづつから通気管をとるような施工は想像してみただけでも納まりが悪いし現実的にそのような配管スペースを意匠上確保できない現場がほとんどでしょう。
この方式は指定されない限り現実的に採用されることはほぼないので説明を省きます。
3.伸長通気方式
この方式は通気立管を省略して排水立管上部の伸長通気管のみを用いて通気を行う方式です。
ただし排水立管下部の正圧緩和機能や横枝管内の負圧緩和機能がループ通気に比べて劣り許容流入値も小さくなるため以下の点に留意する必要があります。
1.通気管路には過度の通気抵抗を持つ部材を使用してはならない
2.排水立管にはオフセットを設けてはならない
3.排水立管と排水横主管の接続には大曲ベンドまたはそれと同等以上の性能を持つ継手を使用する
4.排水横主管の水平曲がりは排水立管の芯から3m以内は設けてはならない
5.複数の排水立管を同一の排水横主管に接続する場合は排水横主管に十分な通気を設ける
6.排水横主管または敷地排水管が満流にならない場合は伸長通気方式を使用してはならない
7.排水立管の高さが30mを超える場合はSHASE-S218集合住宅の排水立管システムの排水能力試験法により把握できた排水能力値を許容流量値としその範囲内で使用する。
4.特殊継手排水システム
伸長通気方式の一種で特殊な継手を設けて配管します。

排水管を立管に接続する特殊継手は管内の負圧を緩和するために流速を抑えて流れるようにします。
排水立管と横主管の接続部には正圧を緩和するための特殊継手を設置します。
一般に高層、超高層の集合住宅やホテルで採用されています。
特殊継手のメーカーによって許容流入量値が異なるので確認が必要です。
特殊継手の参考として、クボタケミックスの集合管のカタログの抜粋を以下に掲載しておきます。
排水通気配管の例

教科書には低位通気管は避ける方がよいと書いてありますが、横引き配管は低位通気管として床下を配管するのが現実的な方法です。
できるだけ長さを短くするしかありません。
店舗工事の場合は木工事で床上げすることが多々ありますが、スラブと床の仕上げの間でなんとかするかです。
なのですが、現実は排水管ですらぎりぎり納まるかどうかという現場がほとんどで通気管配管ができない…というかそもそも計画に考慮されていないことがほとんど、というのが現実です。
通気管をとる場合は排水管の真上から45°以内で取り出すので床仕上げが排水管ぎりぎりになっていると、どうしても無理があるのです。

先ほども述べた通り通気立管に接続する位置はそのフロアのあふれ縁から150mm以上上で接続します。
通気管を横引きする場合も内部の水分が溜まらないように勾配をとって配管し、途中でアップダウンさせるような配管はしないようにします。
補助的な通気方式となりますがドルゴ通気弁を使用することが店舗工事ではかなりあります。
ただしドルゴ通気弁は排水管内の負圧の緩和はできますが正圧の場合は臭気の流出を防ぐため閉じる機構になっているので正圧の緩和はできないと覚えておいてください。
排水通気配管の図をもう少し補足しておきます。
排水立管の上部の最上階の横管の接続部分より上の部分の立ち上がりと解放部分までを伸長通気と呼んでいます。
この部分は縮小させずに排水立管径のまま立ち上げます。
また、汚水槽の通気は単独で配管します。
汚水槽はポンプアップするときに汚水槽内が急激に負圧に変動します。
この変動の影響を受けないようにするため、他の通気管とは切り離して考えて単独で外部へ解放する必要があります。
今回はこのあたりまでにしておきます!
排水については意外と論点が多いので次回も排水について書こうと思っています。