今回は仕事で設計の方から質問がありスプリンクラーヘッドのことについて調べたので、そのついでにスプリンクラーヘッド及びその周辺の部材についてブログに書くことにしました。
たまに見かけるスプリンクラーヘッドの上についているまるいお皿について。
これは集熱板だと、みんなそう呼んでいたはずなのですが。
しかし、2年前に行った消防設備士の免許更新の講習で実はこれは集熱板ではないという、かなり衝撃の事実を知らされて個人的にはびっくりと言うか、そぉなんだ、と思わされたことがありまして…。
集熱板というものは存在しない、今は防護板と呼ばれている
集熱板と言われたら字のごとく、火事などになった際にその熱を受け止めてヘッドへ伝えることにより間違いなく作動するために設置するものと思っていました。
しかし、講師の方が実験の結果、集熱板と呼ばれていたまるい板にはあまり集熱効果がないことがわかった、という話をし始めたので眠気が吹き飛んだのですが。
最近では集熱板とは呼ばずに防護板と呼んでいるとの説明。
更新講習のテキストにも集熱効果が認められないという記載があり、思わずアンダーラインを引いてしまいました。

読んでみると、平成10年(1998年)には他のヘッドからの被水を防止するものと位置付けられたと書いてありますから、ずいぶん前から集熱板ではないという話はあったことがわかります。
それで昔、消防設備士の試験勉強をした時の問題集H13年版ですが、これも見てみたら、もうすでに集熱板ではなく「ほかのスプリンクラーヘッドから散水された水がかかるのを防止する装置」と書かれていました。
ということは‥集熱板という認識は逆にただ私の思い込みだったということになります。
いや、試験勉強する時点ですでに集熱板という名称は出てきていないので、自分の記憶力や事実の認識がいかに適当で曖昧かを再認識させられました。
でもね、15年前くらいでしょうか、そのころスケルトンで施工した現場で集熱板をつけなさいと上司から言われて何個か発注して取り付けた記憶があります、絶対「集熱板」と呼んでいました。
呼び方も、取り付ける目的も間違っていたということになりますが‥。
まあ、当時の消防検査も通ったし、いまはそのお店も存在していないから完全に過去の歴史として闇に葬りますが。
とにかく、スプリンクラーヘッドの上のまるいお皿は防護板という名称で他のスプリンクラーヘッドの放水による被水を避けるためのものであるということです。

スプリンクラーヘッドの種類について

ヘッドの種類について、上記の表のようになります。
閉鎖型ヘッドの1種と2種というのは感度の種別のことで、1種はr=2.3m以上、高感度であればr=2.6m以上のものもあります。
2種はr=2.3mでr=2.6m以上のものは設置できません。






上段右:閉鎖型シーリングプレート付きの状態(立売堀製作所)
中段左:ヘッドガード 天井が低位場合にヘッドを保護するためのもの(千住スプリンクラー)
中段右:開放型 (ホーチキ)
下段左:放水型天井面設置(ヤマトプロテック)
下段右:放水型 側壁設置(ヤマトプロテック)
消防設備士1類の試験でもよく問われる内容になりますがヘッドの表示温度と最高周囲温度についての表が以下になります。

ヘッド本体の集熱部あるいはデフレクターの中心部に色別されています。
スプリンクラーヘッドの設置個数と必要水源水量
スプリンクラーヘッドの必要個数、この個数は火災時に同時開放するヘッドの個数です。
これは防火対象物の種類とヘッドの種類により下の表のようになります。

また、必要となる水源水量は上の表から算出した個数に下記の表の右の欄の水量を掛け算して求めます。

例えば地階を除く階数が8階の事務所ビルの場合、標準型ヘッドであれば必要な個数は10個です。
必要な水源水量は
1.6m3/個 × 10個 =16m3
となります。
ヘッドの必要個数は10階までの建築物であれば10個、11階以上だと15個になります。
建築物の床面積に比例して増えるような考えではなく、初期消火にどれくらいのヘッドが必要か、という考え方であることを覚えておいた方が良いです。
改修工事などで床面積が多少増えたからといってスプリンクラーの水源水量まで増えることはあまりないということです。
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