排水配管のトラップについて

排水配管の基本的な事をまとめようかと思ったのですが、いろいろありすぎるなということで今回は排水トラップに関する事をまとめてみました。

管工事施工管理技士の試験にもトラップ関連の問題はよく出てくる印象があります。

これまでの経験もふまえて紹介してみます。

トラップの構造などについて

排水配管内の硫化水などを含む下水ガスや臭気、害虫などが器具を通して室内へ侵入してくるのを防止するためにトラップを設置します。

代表的なトラップの構造が以下のような形です。

排水トラップ各部の名称 給排水衛生設備計画設計実務の知識より

排水トラップの深さ、封水深(図のディップからウェアまでの距離)は5cm~10cmとします。

浅すぎても破封しやすいし、深すぎると流れを阻害する恐れがあるので注意が必要です。

トラップには以下の図のように様々な形があります。

トラップ中の水分がなんらかの理由でなくなってしまう、あるいは減ってしまい配管内の下水ガスが出てきてしまう状態を破封と呼びますが、破封する原因として代表的なものは

・誘導サイホン(排水管内が負圧になり封水が引っ張られる、あるいは正圧になり押し出されてしまう)

・自己サイホン(排水が満水状態で流れるために封水が誘引されて損失する)

・蒸発作用(長い期間にわたって衛生器具を使用しない場合に蒸発によって封水が消失する)

・毛細管現象(トラップ内に髪の毛などがひっかかり、毛細管現象により風水がすこしずつ下流へ流れ込むことにより封水が消失する)

以上があげられます。

洗濯パントラップの接続は排水用フレキを必ず使用する

トラップの話になったついでに洗濯パントラップについての話をしておきます。

TOTOの洗濯パントラップ

洗濯パントラップの接続を塩ビ管で直つなぎした場合、洗濯パントラップを固定する時に本体が微妙に回転して塩ビ管を差し込んだ接続部が剥離してしまうことがあります。

この状態は目に見えないところでおきていて、マンションを引き渡し、入居者が使用し始めてから数ヶ月後に床下が浸水していることが判明するという事故があります。

その住戸の床下全体が浸水しになり居室の壁のボードまで湿ってブヨブヨになった状態を見たことがあります。

一度、部屋の中のものを全て出して移住していただいて全部改装するということになった事例でしたが、これほんとに一大事です。

この解決方法として、洗濯パントラップの接続には排水用フレキシブルジョイントの使用をおすすめします。

排水用フレキシブルジョイント アキレス

雨水配管を汚水管に合流させるには

雨水配管を汚水管へ合流する場合は臭気があがってこないようにトラップマスを経由させて接続します。

溜めマスや塩ビのトラップマスを設置します。

場所が狭くてマスが設置できなければ塩ビ管でUトラップを組むなどで対処します。

雨水トラップマス設置イメージ
塩ビのトラップマス 前澤化成工業(株)

ダブルトラップの禁止

トラップは2つ直列に配置することは禁止されています。

トラップ内が満水状態のためトラップとトラップの間での流れが阻害されるためです。

たまに、グリーストラップへトラップ付きの器具からの排水を接続するのはダブルトラップなのではないのか?という質問をされることがありますがグリーストラップの上流に設置された器具にトラップが付いていてもダブルトラップにはなりません。

グリーストラップはゴミを沈殿させ油を分離するために一度、槽へ放流する形になりますが、この槽は大気に開放されている状態になるためダブルトラップの状態にはなりません。

今回はここまでになります、参考にしていただければと思います!







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