建築現場にどこまでAIが入り込めるのか?素人なりに考えてみる

建築設備の仕事をしていますが建築現場の仕事にどれくらいAIが入り込んで来ることができるのかよくわからない…。これからの時代AIが人間の仕事を奪うというのはわかるけど、いつまでに、どうなるのかいろいろ本を読みながらAIに関しては素人ながら考えてみました。

AIは建築図や設備図を読み取って見積ができるか?

昨今よく話題になるAI、現在の技術では人間と同じように考えて行動できるようなレベルのAIは実現できていません。しかし、AIには得意分野はあります。その得意分野においては人間の能力をしのぐ効果を発揮しています。

ディープラーニングの登場によって最近はAIによる画像処理技術(パターン認識)はかなりの進化を遂げました。と言っても人間とまったく同じように画像を認識できるわけではありません。でも、ある写真の中に存在する椅子やテーブルや猫や犬など特定の画像を探し出して認識するのは得意です。CTやMRIの画像をスキャンして疾患があるかどうかを判断するという作業は日々サンプル画像を得ることが可能で膨大なデータが蓄積されているためディープラーニングに向いておりAIは自律的に学習して仕事の精度を上げていくことができます。画像診断の仕事はAIが担う一歩手前まで来ているようです。ただしAIはなぜその画像を疾患があると判断したのか、その理由を説明することはできません。画像を何か「意味」があるものとして認識するということはないからです。なので医療の現場においてはあくまで補助的にAIに診断の手伝いをしてもらうという形をとり診断の最終判断は人間がして責任については人間が持つということになると思われます。

ここまでの話を参考に考えますが、では、ディープラーニングをすることによってAIが建築図や設備図を読み取れるようになるかどうか。建築図や設備図を何万枚とAIに読み取らせてもその図面全体の「意味」を読み取ることは現在のAIにはできません。でも、見積に必要な拾いであればかなりできるかもしれません。実際にCADで描いた図面はデータの入力をきっちりしながら描けば壁の面積や配管長さなどデータとしてすぐに出せます、これはAIと呼べるものとは違いますが。

ちなみに入札図面はCAD データではもらえません、なぜなら入札時点で図面データをいじられたくないからです。勝手に変更された図面が受注業者が決定する前の段階で出回ることはあってはならないので防衛手段としてデータを渡すということはされていません。なので、どうしても紙の図面あるいはPDFなどいじれないデータで拾いをすることになります。

よって、見積依頼でもらった図面をスキャンしたら配管長さや器具の個数などある程度拾って自動で見積してくれるAIがあったらいいなということになります。実際にある程度壁や床の面積を拾ってくれるソフトは今もあります。でも、これはAIではなく人間がかなり手をくだして成り立つというレベルのもので、そこまで劇的な作業効率のアップは感じません。

図面にはけっこう曖昧な表現があります。また、印刷がかすれていただけでも図面を読み取れないという事態が発生しそうです。AIが読み取れるように人間が図面を描き直すとしたら、それは効率が逆にダウンしていることになります。あとは図面上のこのシンボルが何なのかなど部分的にわかったとしても全体の意味がわからないとしたら結局、人間がこの図面は建築の平面図だよ、設備の給水設備図だよ、みたいなインプットからいちいちすることになるかもしれない。それなら最初から人間がやるのと変わらないじゃん、という話になりかねない。AIが人間と同レベルで図面の意味を理解して見積まですることは現在は難しそうです。

墨出し作業ができるロボットはすでに存在する

現場で墨出しという作業があります。これは例えば1/100スケールで描かれた図面があるとして、それを実寸で現場の床や壁などに描いていく作業になります、工程の初期段階においてかなり重要な作業になります。もう1年以上前ですが2019年の4月17日に竹中工務店から墨出しロボット実用化のめどがついたという情報がリリースされました。https://www.takenaka.co.jp/news/2019/04/03/index.html

OAフロアの墨出しができるとのことで、OAフロアの支持材の位置を現場の床にプロットしていくという作業ができる、というところまではできるようです。

では、店舗の内装のような複雑な間取りの墨出しをロボット単独でできるようになるのかどうかということです。OAフロアは決まった形のものを敷き詰めるイメージですから墨出しとしては比較的単純な作業になります。でも、店舗の内装はかなり複雑です。アールのついた壁がデザインされていることもある、図面で描かれた内容に従って部屋の大きさを確保しようと思っても躯体の歪みがあって微妙な調整が必要になったりします。お客様の要望をかなえるためにはどう墨を出すのがベストなのか悩む現場監督を何度も見てきました。AI技術を駆使してこれらの仕事はできないのか、と思いますが墨出しロボットがお客様の要望まで考慮しながら墨出しをすることはありません。そのような意思をAIは持っていませんし、それをインプットすることは現在の技術では不可能です。できたとしても遠い未来の話になります。そもそもAI自体が意志を持つことはありません。あくまでAIは人間が作り出した道具であってそれ以上でもそれ以下でもありません。

それでも単純な作業はできるところまで来ているとしたら、基準となる墨をザックリ出してもらうという補助的な仕事まではしてもらって複雑な部分や微妙な調整が必要になる部分は人間が行うという使い方をしていけば良いのかもしれません。うまく仕事の棲み分けをしていけば効率は上がる可能性がかなりある、だからスーパーゼネコンも開発に力を注いでいるのだと思います。

建築現場の作業は見た目よりかなり複雑だAIはこなせるのか?

セキスイハイムが住宅のユニット工法の組み立て作業においてにロボットを取り入れています。全ての作業をロボットでできるようになったわけではないようですが効率は上がった、そこにかけていた時間を付加価値の高い作業に振り替えることができるようになったとのこと。また、三和シャッターは壁などに使用するALC(軽量気泡コンクリート)にかわる施工支援ロボットで施工可能な耐火間仕切用耐火パネルを売り出している。これらは年々、現場作業従事者が減っていく中で人材不足を補うための解決策として開発されています。私など状況をただ手をこまねいて見ているだけの人間からは素晴らしいアイデアだと感心してしまいます。

一方、AIというものが現場に取り入れられているのかどうか、です。それができている状態とはAIを頭部に装備したヒューマノイドが人間や図面の指示に従って自立して複雑な現場作業をこなしている、そういうことになりそうですがこれは現在の状態からしたら到底無理なレベルの話だとわかります。

AIという言葉を聞くと、私などは人間に変わってなんでもできるものを想像してしまっていましたがAIに関連する本を何冊か読むと、それは妄想に過ぎないことがわかります。「東ロボくん」という東京大学受験に挑戦するAIを開発するプロジェクトを率いる新井紀子という方の著書に人間の知能と同等の機能を果たす人工知能はできるかどうかについての記述があります。コンピューターがしているのは四則演算なので人工知能を実現するには人間の知的活動を四則演算で表現するか、それができていると感じる程度に近づけることだとあります。そしてそれができるかどうかについては明確に、遠い未来はともかく近未来にそれができることはないと述べています。それはなぜなのか知りたい方はは「AI vs教科書が読めない子供たち」を読んでいただければと思います。

ということで結局、AIが現場で大活躍というのはただの妄想。ですが人間に変わって様々な作業の補助をしてくれる可能性はかなりある。建設業においては人手不足を補う一つの方法として真剣に取組んでいかなければならないのだろうなと、そう思います。

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