排煙設備について~1~排煙設備の設置基準と構造概要

火災が起きた時に火傷によって死亡するイメージがありますが、実は煙を吸い込むことによる呼吸困難からの窒息が原因で亡くなる方が多く存在することはよく知られています。

防災設備のひとつとしてその建築物の用途や規模によっては排煙設備を設置しなければなりません。

排煙設備の設置基準は建築基準法と消防法に定められています。

排煙窓を開けて煙を排出する自然排煙と排煙ファンで強制的に排出する機械排煙がありますが、今回は主に機械排煙についてその概要を説明していきます。

天井に設置された排煙口 筆者撮影

建築基準法における排煙設備の設置基準

建築基準法における排煙設備の設置対象については以下の表になります。

特定の人が使用する建築物や天井が高く広々としている建築物については設置が免除されています。

不特定多数の人の使用が見込まれる、ある程度の規模の建築物には基本的に排煙設備が必要だと考えたほうがよいです。

設置義務免除部分の要件①~⑩が下記の表になります。

建築基準法施行令126条の2、平成12年建設省告示第1436号より

消防法における排煙設備の設置基準

消防法においては用途と面積で設置するかどうか決められています。

劇場、集会場等は舞台部床面積≧500m2

キャバレー、遊技場、性風俗関連特殊営業店舗、カラオケボックス、百貨店、車庫、これらを含む複合用途施設、などは地階または無窓階床面積≧1000m2

この条件で排煙設備を設置しなければいけません。

消防法施行令より

不特定多数の利用が見込まれる建築物には設置が必要になると考えたほうがよいです。

排煙設備の設置については建築基準法と消防法の両方の条件を満たすようにしなければなりません。

地階(地下の階のこと)には用途によって排煙設備(地下なので機械排煙になる)が必要になるので気をつけたほうがよいです。

また、31mを超える室において準耐火構造の壁で100m2以内に仕切れない場合、経験上だいたいそれは設計計画上やらないか予算上やらないので31mを超える位置にある室については排煙設備の緩和が適用されず、何らかの排煙設備が必ず必要になると思っていたほうがよいです。

排煙設備の構造概要

排煙の区画は最大500m2で排煙垂壁などで区画します。

排煙垂壁は50cm以上(地下街の場合80cm以上)とします。

TEIJINのwebサイトより 不燃シート防煙垂壁

排煙口は歩行距離で30m以内をカバーするように設置します、30mを超える部分があれば排煙口をプラスしていきます。

排煙口は排煙ダクトに直結します、排煙ダクトは不燃材で作製し防煙壁を貫通する場合は隙間をモルタル等不燃材で隙間なく埋めます。

排煙口は通常閉鎖されていて開放装置により開放します。

開放装置は床から0.8~1.5mの位置に設置します。

排煙風量は1m2あたり60m3/hで計算しますが風量やダクトサイズの選定などについては次回説明していくことにします!

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