設備設計などに頻繁に使う換気量計算について説明します。初級の設備屋さん向けの内容になります。
まず法的に必要な風量をクリアさせることを考えます。

居室の換気量計算
事務所や店舗の客席など人が滞在する室については建築基準法施行令第20条の2に示された下記の計算方法にに基づいて居室の換気量を求めなければなりません。
V=20Af/N
V : 有効換気量(m3/h)
Af : 居室の床面積(m2)
N : 一人あたりの専有面積(m3)
ちなみにm3/h(立米パーアワー)は換気量を表す時に使用する単位で一時間あたり何m3の換気をするかを意味しています。
Af/Nの部分は居室の床面積を一人あたりの専有面積で除してします。つまり居室に何人の人間が存在するのかということを計算しています。それを20倍すれば必要な換気量が得られます。
もう少し噛み砕いて言うと、一人あたりに必要な換気量は20m3/hでこの値に居室を利用する人数を掛け算すれば必要な換気量を算出することができる、ということになります。
計算例を示します。
居室面積 Af=30m2 の居室の換気量を求める場合、一人あたりの専有面積 N=5m2としたときの有効換気量Nは
N=20Af/Nより
N=20×30/5=20×6=120
よって必要となる換気量は120m3/hとなります。
居室に存在する人が6人で1人あたり20m3/hが必要なので居室全体で120m3/hが必要となるということです。
シックハウス対策で必要な換気計算量
次に2003年7/1から建築基準法施工令第20条の7および20条の8によって施行されたシックハウス対策のために必要となる換気量について説明します。
規制の対象となる科学物質はクロロホルピスとホルムアルデヒドとなります。このうちクロロホルピスは使用禁止とされています。
よってホルムアルデヒドを発散する可能性のある建材についての規制を確認していきます。
まず、内装仕上材の使用制限についてですがホルムアルデヒドの発散量は下の表のようにクラス分けされています。

ホルムアルデヒドの発散量が0.005mg/m2 以下の場合はF✩✩✩✩(フォースターと呼んでいます)発散量が多くなるごとに星は減ります。最下クラスの第1種ホルムアルデヒド発散建築材料に関しては使用禁止、第2種と第3種は建材の使用面積が制限されます。
この時、換気量によって使用可能な面積が変わりますが下の計算式によって求めることができます。

しかし、実は上記のN2S2 + N3S3 ≦A の計算について少なくとも私は実務で使用したことがありません。なぜなら現在生産されている仕上材のほぼ全てが規制対象外のF✩✩✩✩で作られているからです。
24時間換気の換気計算量
ただしF✩✩✩✩で作られた仕上材を使用した場合においても家具などからの発生が考えられるため下記の計算式で求めた居室の換気量を確保する必要があります。これがいわゆる24時間換気と呼ばれるものです。
・住宅の居室等 V=0.5・A・h
・上記以外 V=0.3・A・h
V : 有効換気量(m3/h)
A : 居室の床面積(m2)
h : 居室の高さ(m)
住宅の居室は0.5回/hつまり1時間で居室の50%にあたる体積の空気を入れかえる、それ以外は30%にあたる体積を入れかえるということを意味しています。
計算例を示します。
面積が40m2で平均天井高さ2.7mの住宅の居室の24時間換気量を求める場合V=0.5・A・hより
V=0.5×40×2.7=54
よって24時間換気として必要な換気量は54m3/hとなります。
店舗などの居室は住宅の居室ではないのでV=0.3・A・hでも本来よいはずですが実際確認申請に絡む図面を作成する場合の換気計算書では安全側の値になるV=0.5・A・hを使用していることが多いです。
設備設計で換気量計算をする場合、法的に必要な換気量を計算する場合は上記の居室の換気量N=20Af/N と 24時間換気のV=0.5・A・hとV=0.3・A・h これを覚えておけばよいです。
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